水温センサーのテスト方法
概要
このドキュメントではB230F型エンジンとBosch LH Jetronic(LH2.4)を搭載した最後期型volvo 240の、エンジン水温センサーをテストする方法を扱います。
水温センサーに問題があると、適切な燃料噴射量を維持できずエンジン不調や燃費悪化に繋がります。後述の通り、volvo 240は2種類の水温センサーを持ちますが、本ドキュメントでは制御コンピュータ(ECU/EZK)が使用する温度センサーのテスト方法を記します。
前提知識
LH Jetronicの動作
最後期型の直列4気筒2.3Lエンジンを搭載したvolvo 240は、ボッシュ製のLH Jetronicと呼ばれる制御コンピュータを採用しており、LH Jetronicは以下のデータを用いて燃料噴射量をフィードバック制御し、走行状況に応じて最適な空燃比に近付くよう動作します。
- マスエアフローセンサーから取得した吸気量
- 水温センサーから取得したエンジン温度
- O2センサーから取得した排気中の残存酸素量
- その他、各種センサーから取得した回転数など
水温センサーの種類
volvo 240は2種類の水温センサーを持ち、1つはメーターの水温計を動作させ、もう1つはECUによるエンジン温度の把握に使用されます。どちらもエンジンブロックのインテーク側側面に設置されますが、前者は車両前方側に設置され、後者は車両後方側に設置されます。エンジンルームを上から覗き込んだ時、よく見えるのは前者のメーター用センサーであり、ECU用センサーはインテークの下を覗き込むようにすると確認可能です。
水温センサーの動作
水温センサーは温度に応じて電気的な抵抗値が変化するセンサーであり、メーターやコンピュータから1本のケーブルで接続されます。金属製のセンサーはエンジンブロックと接しているため、センサー自体がグランドに落ちている状態となり、メーターやコンピュータは1本のケーブルのみで抵抗値を把握することが可能です。
エンジン温度と燃料噴射量の関係
まず、エンジンが冷えている場合はガソリンの気化が促進されず燃焼が安定しないため、燃料噴射量を増やすことで、混合気中の燃料密度が一定以上になるようにして燃焼を維持します。キャブレター車におけるチョークと同じですが、電子制御式インジェクター(EFI)を備えた車においては温度センサーを用いて自動的に制御します。
次にエンジン温度が適切な範囲にある場合は、理想的な燃焼を達成するために理論空燃比に近づくように各種センサーを用いたフィードバック制御を行います。本来、この状態を維持することが理想です。
最後にエンジンがオーバーヒート気味の場合は、燃料噴射量を増やすことでガゾリンが気化する際の冷却効果を利用してエンジン温度を下げようとします。
結果として、水温センサーに異常がありコンピュータがエンジン温度を誤認すると、適切な燃料噴射量を制御できずにエンジン不調や燃費悪化に繋がります。
センサーの確認方法
コンピュータ用の水温センサーはインテークマニホールド直下に設置されており、通常は手を突っ込んでもアクセス不可能です。本ドキュメントではコンピュータと水温センサーを繋ぐハーネスの端子を用いて確認する方法を説明します。
水温センサーに伸びるハーネス
コンピュータ用の水温センサーには2本のケーブルが接続されており、それぞれECUとEZKに繋がっています。右ハンドル車の場合、ECUは運転席足元, EZKは助手席足元に設置されているため、それぞれにアクセスして確認を行います。
ECU側の確認
ECUのハーネスを抜き13番ピンの抵抗値を計測します。グランドは車体の適当な金属部分から取得します。
引用元 : https://www.davebarton.com/
EZK側の確認
EZKのハーネスを抜き2番ピンの抵抗値を計測します。グランドは車体の適当な金属部分から取得します。
引用元 : https://www.davebarton.com/
正常値の範囲
メーターの水温計で針が中間地点を示している場合、水温は概ね85°Cです。
後期型volvo 240に適合する水温センサーはVolvo P/N 1346030(Bosch 0280130069)であるため、85°Cでの抵抗値は260Ω程度になるはずです。
※末尾032と069のセンサーは同等品
引用元と参考資料
B230FKエンジンでの解説動画(240のB230Fはセンサーが異なるので注意)
Boschの製品ページ
ECU/EZKのハーネスについて
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