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Macの解像度の仕様と、Apple高級ディスプレイの存在意義

2025/01/24に公開

はじめに

PCは解像度を設定できますが、それはMacも例外ではありません。
Macの解像度は、システム環境設定->ディスプレイから変更できます。

MacBookのディスプレイに限らず、市販のディスプレイに接続してMacを使う方も少なからずいると思います。

ディスプレイを新調しようと調査していたところ、Macの解像度の仕様と、高すぎるAppleの高級ディスプレイの存在意義について判明したので、本記事にまとめます。

Macは4ドットを1ドット化する

仮にMacを4Kディスプレイに接続した場合、初期では1920×1080の解像度として表示されます。
Macは4ドットを1ドット化して表示するため、3840×2160の解像度を持つ4Kディスプレイの場合は贅沢にも4倍の精細さで表示されます。
このときの1920×1080の解像度を擬似解像度と呼びます。あくまで論理的な解像度であり、ディスプレイそのものが持つ物理的なピクセル数(3840×2160)とは異なるものです。

擬似解像度のメリットとデメリット

擬似解像度のメリットとデメリットについて整理します。

メリット:見やすい文字と高精細な表示

擬似解像度で表示することで、文字やアイコンなどを高精細かつ適度なサイズで表示できます。単純に4Kをそのままネイティブ表示してしまうと、文字やUIが小さすぎて見づらくなることがありますが、疑似解像度にスケーリングことで美しさと見やすさが両立します。

デメリット:情報量の制限

擬似解像度は、物理的な解像度と比べて情報量が少なくなります。例えば、4Kモニターに接続し1920×1080の解像度で表示している場合、物理的な解像度が3840×2160であるため、実際には1/4の情報しか表示されていないことになります。
せっかくの4Kディスプレイを使っているのに、その性能を活かしきれていないということです。

「解像度を変えれば解決?」と思いきや

「4Kなのに1920×1080はもったいないから、もう少し大きな解像度を選べばいい」と思うかもしれません。

実際、Macの解像度はいくつかの選択肢が用意されています。下の画像は32インチの4Kモニターに接続した例ですが、例えば3008×1692あたりはサイズ的にも丁度良く表示されます。

しかし、Macは常に4ドットを1ドット化して表示します。

具体的には、

  • 3008×1692を選ぶと、内部的には6016×3384で描画し、それを4K(3840×2160)に落とし込む

要するにどの解像度でも4倍の解像度で描画しているということです。
システム情報を確認すると、実際には6016×3384で描画されていることがわかります。

唯一例外があり、ネイティブ解像度を選ぶことで、物理的な解像度と同じ解像度で表示することができます(俗に言うdot by dot)。例えば4Kモニターに接続した場合、3840×2160の解像度を選ぶと、3840×2160の解像度で描画されます。3008×1692よりも解像度が高いほうが逆に負荷が低いという不思議な現象が発生します。
しかし、文字やUIが小さくなり、見づらくなる可能性があります。

とはいえ、最近のMacなら4倍に描画してもそれだけで極端に重くなることはないでしょう。
しかし、わざわざ解像度を上げてから縮小するという処理を行うことで、勿体ないと感じるかもしれません。
その点、Appleのディスプレイなら勿体なくないのです。

Apple高級ディスプレイの存在意義

Appleが販売しているStudio Displayは5K(5120×2880)、Pro Display XDRは6K(6016×3384)の解像度を持っています。
昨今、世の中には4Kや8Kのディスプレイが数多く存在しますが、その中でなぜAppleは5Kや6Kという中途半端な解像度を採用しているのでしょうか。

ディスプレイにはdpi(dot per inch)という指標があります。インチあたりのドットの数を示すもので、これが高いほど密度が高いことを意味します。MacのUIは109dpiに最適化されています。4ドットを1ドット化した場合は218dpiが最適とされています。

実は、Studio Displayの5K(5120×2880)は218dpi、Pro Display XDRの6K(6016×3384)も218dpiになります。これはMacのUIに最適化された解像度と言えます。Appleのディスプレイでは、推奨解像度を選んだときにUIが見やすく、かつピクセルの粒度が目立たない最適なdpiを得られるよう設計されているのです。

しかし、流石にAppleのディスプレイは高価すぎます。Studio Displayは5Kで20万円、Pro Display XDRは6Kで70万円です。この価格を払ってまで解像度を上げる必要があるかは疑問です。
この点に着目してサードパーティが5Kや6Kのディスプレイを開発すれば、結構売れるのかもしれません。

まとめ

  • Macは高解像度ディスプレイを使う際、4ドットを1ドット化して擬似解像度を実現している。
  • スケーリング表示は文字の大きさやUIの美しさが保たれる一方、物理解像度をフルに活かしきれないという面もある。
  • ネイティブ解像度(dot by dot)にすれば情報量は増えるが、小さく表示されて見づらくなりやすい。
  • Apple製ディスプレイは約218dpiとなる5K・6Kを採用し、MacのUIをちょうど良く表示できる点が特徴。ただし非常に高価である。
  • サードパーティ製の5K・6Kディスプレイが増えれば、現行の4K・8Kとは異なる選択肢として有望かもしれない。

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