会議進行をサポートするAIエージェント「AiMee」の紹介
はじめに
会議はビジネスに欠かせない重要な場ですが、「会議が長引く」「議事録作成が負担」「決定事項が曖昧」といった課題に悩まされることも多いのが現実です。
そこで私たちは、「会議進行 & 議事録作成」を自動化する次世代のAIエージェント「AiMee」を開発しました!
本記事では、その機能やシステム構成を詳しくご紹介します!
👥プロジェクトが対象とするユーザ像と課題
想定ユーザ
「会議をもっと効果的・効率的にしたい」と考えるすべてのビジネスパーソン
抱えている主な課題
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会議の時間管理が難しく、予定がズレ込む
- 「つい話が脱線して、気づいたら 30 分オーバー…」といったことが頻発
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議事録作成に時間と労力がかかる
- 音声を文字起こしし、要点をまとめるだけでも膨大な手間
- 後から読み返すと何が重要か分からない
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意思決定が曖昧なまま終了してしまう
- ファシリテーター不在または経験不足により、議論が収拾しきれない
- 発言のバランスが偏り、重要なアイデアが埋もれがち
🚀課題へのソリューションと特徴
上記の課題を解決するために開発されたのが 「AiMee」 です。
LLM 技術を活用し、以下の特徴的な機能を提供します。
1. AIエージェントによるファシリテーター機能
- 事前に設定した会議の アジェンダ・ゴール に基づき、話題の切り替えや議論の方向性を自動提案
- 参加者の発言内容をリアルタイム解析し、「次のステップは〇〇について話し合いましょう」 などのナビゲーションを実行
- 脱線を検知すると、「本題に戻りましょう」 と促し、時間ロスを最小化
2. リアルタイム議事録作成 機能
- 音声入力 と 自然言語処理 を組み合わせ、発言を自動的にテキスト化
- キーワードや文脈を把握して、「アジェンダ」「決定事項」「アクションプラン」 などに即時分類
- 会議中に画面表示されるため、常に全員が 同じ情報を共有 できる
これらの機能により、ファシリテーターの負担を大幅に軽減 しつつ、意見を引き出す力 や 合意形成のスピード を高め、最終的には 会議そのものの質を劇的に向上 させることを目指しています!
🎥 デモ動画
実際に AIエージェント が会議を進行・議事録作成する様子をご覧ください!
🛠️システムアーキテクチャ
使用技術
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クライアントアプリケーション (React + Firebase Hosting)
- フロントエンドは React で作成され、Firebase Hosting によって提供
- 直感的なUIで、シームレスな会議体験を提供
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Web会議 (Agora)
- 会議音声・映像のリアルタイム配信に Agora を採用
- 主催者が会議チャネルを作成し、参加者がそこへ接続する形でリモート会議を実施
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バックエンドアプリケーション (Cloud Run)
- Flask で実装したサーバサイドロジックを Cloud Run 上で実行
- 音声認識結果や会議情報を受け取り、後述の AI エージェント(Vertex AI)へ分析リクエストを行う
- 処理結果を Firestore に保存し、クライアントとリアルタイムでデータを共有
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AIエージェント (Vertex AI Geminiモデル)
- 会議内容の要約・評価・フィードバックなどを行う LLM (Geminiモデル)
- プロンプトやスキーマ定義を厳密に設定することで、安定した出力を実現
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リアルタイムデータベース (Firestore)
- 会議データや分析結果を保存し、Websocket 通信でクライアントと同期
- 参加者全員が、リアルタイム更新される議事録やフィードバックを同時に共有可能
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音声認識 (GCP Speech-to-Text)
- ユーザの発言を、GCP Speech-to-Text で文字起こし
- 議事録作成やフィードバック分析のためのテキストデータを即時生成
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音声合成 (Text-to-Speech)
- AIエージェントが生成したフィードバックを 音声合成 (Text to Speech) により発話
- 参加者へ自然な音声でアナウンスし、会議進行をスムーズにサポート
🤖エージェントの説明
本システムでは、目的別に5つのエージェントが動いています。各エージェントの詳細については、以降で説明します。
エージェントの共通処理
エージェント共通での工夫点は、プロンプトの入出力IFの厳密化、LLM間での処理分担です。
プロンプトの入出力IFが曖昧な場合、余分な説明文や英文が出力され、LLMの出力が不安定になることがありました。
そこで、入出力のIFを指示文に加え、Function CallingやResponse Schemeを用いて日本語名のIF定義で厳密に定義することで、LLMの入出力を安定させました。
IF定義 サンプル
EVALUATION_RESPONSE_SCHEMA = {
"type": "object",
"properties": {
"参加者の関与度": {
"type": "string",
"description": "参加者の関与度に関する評価"
},
"議論の具体性": {
"type": "string",
"description": "議論の具体性に関する評価"
},
"議論の方向性": {
"type": "string",
"description": "議論の方向性に関する評価"
}
},
"required": ["参加者の関与度", "議論の具体性", "議論の方向性"]
}
また、LLMに与える指示が多くなると、一部の指示が守られなくなる恐れがありました。そこで、
エージェントの処理を分解し、シンプルな指示を全うするLLM同士を協働させることにしました。
1. 議事録エージェント
このエージェントは、会議での発言内容を自動的に記録・整理し、リアルタイムに参加者へ共有する役割を担います。主な特徴は以下のとおりです。
-
議事録の完了判定
ユーザ発言が追加されるたびに、自動で議事録に反映。参加者が画面をリロードしなくても最新の情報を確認できるよう、Firestore等と連携してリアルタイムに同期します。 -
アジェンダ進捗や決定事項・アクションプランの管理
会議の流れに沿って、どのアジェンダが完了したのか、どのような決定が出たのかを適切に整理し、必要に応じて要点だけを抽出して表示します。
2. フィードバック要否判定エージェント
このエージェントは、ユーザの発言状況と会議のアジェンダをもとに、会議の目的を達成できるかどうかを判定します。
会議の目的が達成できないと判断した場合は、参加者に対し、後述するフィードバックエージェントへ助言を求めるよう勧告します。
LLMに与えるシステムプロンプトは、以下の通りです。
システムプロンプト
あなたは会議のファシリテータとして、会議の進行状況を監視し、介入が必要かどうかを判断します。
与えられた入力を踏まえた上で、介入の必要性を判断してください。ただし、介入は最小限としたいため、参加者のスタンスが不明なうちは介入しないでください。
介入の判断基準:
1. 参加者だけでは解決が難しい状況にあるか
- 参加者が自力で軌道修正を試みたが失敗している
- 参加者に軌道修正を試みる兆しがない
- 意見の対立が深まる一方で、収束の兆しがない
2. 時間管理の観点
- 予定時間の半分以上を同じ議題で費やしている
- 残り時間に対して未討議の議題が多すぎる
入力:
- 目的:会議の目的
- アジェンダ:会議のアジェンダ
- 参加者:会議の参加者
- 発言履歴:会議の発言履歴
3. フィードバック
会議の状況をもとに、会議の目的が達成しやすくなるような発言を生成します。
エージェントは、要約、評価、フィードバックの3つのLLMを順に実行し、バケツリレーのように、前のLLMの出力を次のLLMの入力に与えます。
ワークフロー
各エージェントのシステムプロンプトは以下の通りです。
3.1 要約エージェント
あなたは進行途中の会議の状況を簡潔に要約する専門のAIです。
与えられた入力を踏まえた上で、会議の状況を要約してください
要約のポイント:
1. 議論された主要なトピック
2. 参加者から出された重要な意見
3. 決定事項や合意点
4. 未解決の課題
5. 会議は進行途中であるため、必ずしもすべてのアジェンダを網羅しているとは限らない
6. AIの発言内容は除外する
入力:
- 目的:会議の目的
- アジェンダ:会議のアジェンダ
- 参加者:会議の参加者
- 発言履歴:会議の発言履歴
3.2 評価エージェント
あなたは会議の進行状況を評価する専門のAIです。
以下の観点から会議の状況を評価してください:
1. 議論の具体性
- 抽象的な発言が多くないか
- 具体的な提案や例示があるか
- 参加者間で認識の共有ができているか
2. 議論の方向性
- 議論が脱線していないか
- 建設的な雰囲気が保たれているか
入力:
- 目的:会議の目的
- アジェンダ:会議のアジェンダ
- 参加者:会議の参加者
- 発言履歴:会議の発言履歴
3.3 フィードバックエージェント
あなたは会議のファシリテータAIです。
以下の評価結果に基づいて、適切な介入を行ってください:
1. 議論の具体性が低い場合
- 参加者間で認識の違いがあれば、わかりやすい説明を提案する
- 抽象的な発言には、具体例を提案する
2. 議論の方向性がずれている場合
- 議論を目的に沿った方向に戻す
- 次のステップを提案する
入力:
- 目的:会議の目的
- アジェンダ:会議のアジェンダ
- 参加者:会議の参加者
- 発言履歴:会議の発言履歴
- 評価結果:会議の評価結果
出力のルール:
- 評価結果に基づいて、優先度の高い課題から扱う
- 長い話は不快になるので、日本文で3文以内にする
- 提案の後は、発言者に対して意図と合っているか確認をとる
🎯まとめ:AiMeeの導入メリット
- 会議進行 & 議事録作成を AIエージェント に任せ、参加者は本質的な議論に集中
- 進行の偏りをなくし、多様な意見を引き出すことでイノベーションを促進
- 会議終了直後から正確な議事録を共有でき、アクションへの移行がスピーディー
会議は本来、意思決定や新しいアイデア創出 のための場です。AiMee を導入すれば、書記役や進行役の手間を大幅に削減し、より戦略的・クリエイティブな議論 を実現できます!
以上、会議の生産性を向上させる次世代のAIエージェント「AiMee」の紹介でした!
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