選択制、公平性、イノベーションを促進するアプリストアの10原則
最近アプリストアについて色々とごたごたがありましたが、マイクロソフトは2020/10/08に自身のアプリストアについてのスタンスを表明しました。
10 app store principles to promote choice, fairness and innovation
ソフトウェア開発者にとって、アプリストアは最も人気のあるデジタルプラットフォームの入口です。
我々や他の開発者たちは、時折一部のアプリストアについて疑問や懸念を表明してきました。
しかしながら、自分自身はどのようにあるべきか表明する必要があると認識しました。
そこで我々は、最も有名なプラットフォームであるWindows10と、Windows10のアプリストアであるMicrosoft Storeにおいて、選択制、公平性、イノベーションを促進する10の原則を採用します。
これはCoalition for App Fairness (CAF)のアイデアに基づいたものです。
1
開発者には、当社のアプリストアを通してWindows用アプリを配付するか否かを選択する自由があります。
Windowsが競合するアプリストアをブロックすることはありません。
2
コンテンツをあらかじめインストールするか、クラウドからストリーミングするかといった、開発者のビジネスモデルやサービスの配信方法などに基づいて、アプリをブロックすることはありません。
3
開発者がアプリ内で独自の決済ロジックを導入したことによって、アプリをブロックすることはありません。
4
当社の運用規則に定められているとおり、Windowsにおける相互運用性に関する情報を速やかに提供します。
5
全ての開発者は、セキュリティ・プライバシー・品質・コンテンツ・安全性などの客観的基準と要件を満たしているかぎり、当社のアプリストアにアクセスすることができます。
6
当社のアプリストアは、Windows上の他の競合アプリストアの兼ね合いを反映した適切な手数料を請求します。
また、開発者が販売したくないものを強制的に販売させることはありません。
7
当社のアプリストアは、適法であるかぎり、開発者とユーザが直接コミュニケートすることを妨げることはありません。
8
当社のアプリストアは、当社自身が発行するアプリを、他社のアプリと同じ基準で審査します。
9
マイクロソフトは、開発者の非公開情報やデータを、競合アプリを開発するために使用することはありません。
10
当社のアプリストアは、ルールとポリシーについて、またプロモーションやマーケティングの機会について透明性を保ち、一貫的に客観的に運用します。
変更については通知を行い、紛争を解決するために公正なプロセスを利用できるようにします。
我々は、技術やビジネス、規制などのために、これらの原則の追加や変更を随時行うことがあります。
How these principles will work
Windows10はオープンプラットフォームです。
他のデジタルプラットフォームとは異なり、開発者は自分のアプリをどのように配布するかを自由に選択することができます。
Microsoft Storeはその手段のひとつにすぎません。
Microsoft Storeから利用できるアプリは強力なプライバシー、セキュリティ、安全性を満たしていることを保証し、開発者が開発に集中できるようにツールやサービスを提供し、そしてユーザはアプリを容易に見つけることができることで、ユーザと開発者の共に大きなメリットをもたらすことができると信じています。
しかし、Windowsには他にも人気があり、競争力のある多くの選択肢が存在します。
SteamやEpicなどサードパーティ製のアプリストアが利用可能で、開発者に様々な価格のオプション、要件、機能を提供しています。
さらに開発者は、自分たちの思うままインターネット上で直接配布することすらも簡単にできます。
原則のうち最初の4つは、この選択の自由を守ること、それを可能にするWindwos10の競争と革新についてのものです。
Microsoft Storeを選んだ開発者には、他のストアを選んだ開発者と同じ客観的な基準による合理的で競争力のある料金を設定することができます。
残りの原則は、その原則を保証することを目的とします。
たとえば、アプリ開発者が望んでいないにもかかわらず、アプリ内課金を強制されることに不満を表明することがありました。
そこで原則6では、Microsoft Storeを選択した開発者は、アプリ内で何を販売するかを強制されず自由に決めることができることを保証します。
今後数か月にわたり、現在のMicrosoft Storeのルールやポリシーと、今回発表した原則についてのギャップを埋めるために必要な作業を行っていきます。
我々はXBOXコンソールも運営していますが、この原則はXBOXストアには適用しません。
ゲームコンソールは特定の用途に最適化された特殊な機器です。
熱狂的なファンが多数存在するとはいえ、PCや携帯電話よりはるかに小さい市場しかありません。
また、ゲーム機のビジネスモデルは、PCや携帯電話のエコシステムとは大きく異なっています。
ゲーム機メーカーは専用のハードウェアを開発するために多額の投資を行っていますが、コンソールを低価格で販売することで、開発者やパブリッシャーが利益を出せるモデルを構築しています。
このようにプラットフォームの重要度とビジネスモデルの根本的な違いから、ゲーム機のための正しい原則は別に確立する必要があります。
What's next?
我々は、ソフトウェア開発者とプラットフォーマーが公平に利益を得られる方法と、アプリストアが進むべき最善の進路について、オープンに話し合うことが重要だと考えています。
何十億人の消費者の日常生活においてアプリは重要な役割を果たし、何百万もの企業がデジタル経済を回す動力源になっています。
しかし、アプリ経済を加速させるイノベーションには、健全で活気のあるデジタルプラットフォームが必要です。
規制当局や政策担当者は、これらの問題を検討し、デジタルプラットフォームにおける競争とイノベーションを促進するための法改正を検討しています。
CAFの原則とその実施は、その現実的な例として役立つであろうと確信しています。
この原則をMicrosoft Storeに適用することは最初の一歩であり、今後のために開発者や多くのコミュニティからのフィードバックをお待ちしています。
感想
そもそもMicrosoft Storeってマイナーだよね。
Windowsをメインで使っている人でもMicrosoft Storeって何?って人は多いのではないでしょうか。
Windowsの場合、Amazonやら楽天やらヨドバシやらSteamやらその他多種多様な課金システムを使えるおかげで、あえてMicrosoft Storeを使おうって人はそんなに多くありません。
しかし、Microsoftがそれらのストアに対して制限を加えたなんて話は聞いたことがありません。
OS自体はオープンではなくとも、その上で動く課金システムには広く自由を認めているWindowsは、そういう意味でオープンです。
またAndroidについても、ほぼGoogle Playの独占とはいえ、他のアプリストアを使うことも一応は可能です。
たとえば手持ちのGalaxyにはGalaxy Storeがデフォルトで入っていました。
そういう意味で最も問題となるのは、他の選択肢を取ることが一切できないApple Storeということになるでしょう。
あと原則の8とか9とかはsharlockedの話ですね。
Microsoftはこんなことしないよ、という宣言です。
Microsoftの場合欲しいものは買収しますからね。
この原則をXBOXに導入しないのは、XBOXは所詮ゲーム機であり、インフラである電話とは立ち位置が異なるのでまあ妥当でしょう。
これが他に選択肢の存在しない独占レベルにまで普及したらまだわかりませんが、まあXBOXがそんなに売れるとは思えな…
ほぼ独占といえばSteamでも似たようなことで揉めていたところがありましたが、そこは結局別のアプリストアを立ち上げました。
別の解決策を取れるかどうか、市場の占有率がどうなっているか、そしてそれ以上に生活インフラであるかによって、この手の問題への解決策が変わりそうです。
小さいストアが奇妙な条件を設定したところで使わなければいいだけですが、それがインフラになっていたらそう簡単には変更できませんからね。
Apple Storeはそこらへんの見極めを誤ったという印象です。
今後Coalition for App Fairnessはどうなるでしょうかね。
なんとなく立ち消えになりそうな気がしないでもない。
あと心底どうでもいいんだけど、何度も原則って書いてるとどうしても人生最大の発見とかいう電波を思い出してしまう。
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