B2B SaaS事業者は社内向け管理画面をマルチテナント化しよう
はじめに
この度、社内向け管理画面をローコードで構築できるクエリアから、B2B SaaS事業者向けに新しいプランをリリースいたしました。
このプランは、B2B SaaS事業者のデータガバナンスの課題に対応するために開発されました。
今回は、この新プランの背景と重要性について詳しくお話しさせていただきます。
見過ごされがちな社内管理システムのセキュリティ
B2B SaaS事業者が提供するサービスにおいて、社内向け管理画面のセキュリティは非常に重要な要素です。しかし、顧客向けの機能開発やUI/UXの改善に注力するあまり、この部分が見過ごされがちになっているのが現状です。
なぜマルチテナント化が必要か
1. 社内の誰もが全顧客のデータにアクセスできてしまう
社内管理画面のマルチテナント化は、一見すると優先度の低い課題のように思えるかもしれません。しかし、マルチテナント化を怠ることで、想像以上に深刻なリスクが潜んでいます。
最も重大な問題は、顧客データへのアクセス制御の脆弱性です。マルチテナント化されていない管理画面では、社内の誰もが担当外の顧客の機密情報に簡単にアクセスできてしまいます。たとえば、顧客の機密情報や、重要な取引情報まで閲覧可能な状態になってしまうのです。このような状況が発覚すれば、顧客からの信頼を一瞬にして失うことにもなりかねません。
2. 設定変更時の人的ミスのリスクがある
また、日々の運用における人的ミスのリスクも見過ごせません。管理画面で設定変更を行う際、誤って別の顧客の設定を変更してしまうことがあります。
このようなミスは、サービスの信頼性を大きく損なう結果となります。
なぜこのようなリスクが見過ごされるのか
これほど重大なリスクがあるにもかかわらず、なぜマルチテナント化は後回しにされがちなのでしょうか。
その背景には、「社内システムだから大丈夫」という根拠のない安心感があります。また、サービス立ち上げ初期の顧客数が少ない段階では、これらの問題は表面化しにくいという特徴もあります。そのため、新機能の開発やUI改善といった、目に見える改善が優先され、セキュリティ対策が後回しにされがちです。さらに、マルチテナント化には一定の実装コストがかかることも、先送りの理由となっています。
しかし、事業が成長し顧客数が増えるにつれて、これらのリスクは急速に現実的な脅威となっていきます。一度でもデータ漏洩や大規模な設定ミスが発生すれば、その影響は計り知れません。企業の信頼性が失われ、事業継続そのものが危ぶまれる事態にもなりかねないのです。
なので、B2B SaaS事業者は、できるだけ初期の段階で社内管理画面のマルチテナント化に着手することをおすすめします。
クエリアで簡単にマルチテナント化
このような背景を踏まえ、クエリアでは、B2B SaaS事業者が社内管理システムを容易にマルチテナント化できる新プランを開発しました。
クエリア上で以下のようなSQLを記述することで、簡単にマルチテナント化を実装することが可能です。
SELECT * FROM users u
WHERE u.tenant_id = {{ querierCurrentTenant.tenantId }}
終わりに
B2B SaaS事業の成長に伴い、顧客データの管理はどんどん複雑化していきます。社内向け管理画面のマルチテナント化は、この課題に対する重要な解決策の一つです。
クエリアの新しいB2B SaaS事業者向けプランは、エンジニアリングリソースを最小限に抑えつつ、高度なデータガバナンスを実現することを目指しています。これにより、事業者の皆様は本来の事業価値の創出に、より多くの時間とリソースを割くことができるようになるでしょう。
今後も、B2B SaaS事業者の皆様のニーズに耳を傾け、より使いやすく、より安全な管理画面構築ツールを提供していく所存です。ぜひ、この新しいプランをお試しいただき、皆様のビジネスの成長にお役立ていただければ幸いです。
Discussion