翻訳書籍のレビューに参加した話
はじめに
株式会社COMPASS システム開発部の笹島です。
会社のテックブログではありますが、今回は私が個人的に技術書籍の翻訳レビューに参加した経験について紹介します。
普段の業務とは少し離れた活動ではありますが、この記事では参加した経緯やレビューの進め方、実際にやってみて感じた面白さや難しさなどをまとめています。
弊社には、こうした社外活動を通じて学びを深める社員が多く、今回の経験もそうした文化の一端として共有できればと思い執筆しています。
Be a Learner(真の学習者であること)は、弊社のバリューの一つです。
書籍について
まず、今回レビューに参加した書籍について軽く紹介させていただきます。
1. ソフトウェアアーキテクトのための意思決定術
「プロダクト目線でのアーキテクチャの意思決定」にフォーカスされており、UX〜パフォーマンスチューニングまで幅広く触れられた内容です。
難しいアーキテクチャを実現するための技術的な手法に着目した書籍とは異なり、プロダクトに必要なアーキテクチャを検討し、難しい手法を実現する上でのトレードオフが詳しく語られています。
2. エンジニアリング統括責任者の手引き
エレガントパズルなどを執筆しているWill Larson氏の書籍です。
「エンジニアリング統括責任者」とはなんぞやという気がしますが、VPoEやCTOに近しい何かです。
内容がかなり多岐にわたっており、正直まとまりがないなと思う書籍なのですが、その分あまり他所では語られないようなことも多く、技術に限らず何らか経営の意思決定に関わる立場の方には「目次から気になる内容の部分を読むこと」をおすすめしたいです。
3. ソフトウェア設計の結合バランス 持続可能な成長を支えるモジュール化の原則
「ドメイン駆動設計をはじめよう」の著者でもあるVlad Khononov氏の書籍です。
ソフトウェアの設計論を語った書籍は多くありますが、ここまで「結合」という一つの概念について深く語っている書籍はないと思います。
ソフトウェア開発に携わる人間であれば、学ぶことが多い書籍だと思いますので、広くおすすめ・布教したい一冊です。
「均衡結合」の概念を、ぜひ多くのソフトウェア開発の現場に広めていただきたく存じます。買いましょう📖
翻訳レビュー参加の経緯
翻訳者である島田さんは翻訳書籍のレビュアーを広く公募しておられます。
↓こんな感じ
私は元々ソフトウェアアーキテクチャ分野の興味関心が強く、実務でもアーキテクチャの意思決定・推進を行う立場でもあります。
島田さんの翻訳された書籍はほぼ目を通しており、大変勉強させていただいています。
以前より島田さんが翻訳レビュアーを募集している投稿は目にしていたのですが、
「自分なんぞがレビュアーとかしても役に立つことないしなぁ...」
みたいに思っていました。
しかし年と共に経験も経て、何よりやはり大変興味深い取り組みだよなぁと感じていたので、「そろそろ挑戦してみるか」と応募してみることとしました。
実は訳者の島田さんとは、新卒研修の外部講師をしていただき、個人的に現在でも交流をさせていただいておりました。
この個人的な繋がりがあったため、何の縁もない翻訳者の方に自分をレビュアーとして売り込みに行くようなハードルの高さがなく、この点はあまり再現性のない話ではあります...🫠
「エンジニアリング統括責任者の手引き」にも「ネットワークの構築がいかに重要か」という内容がありました。
人的ネットワークの構築、大事です。全ての出会いに感謝しましょう🙏
翻訳レビューの活動
翻訳レビューの目的は、「想定読者にとって自然に読める表現になっているか」を確認することにあります。
そのため、原文を精読して照らし合わせる必要はなく、読者としての視点が求められることとなります。
レビューはすべて GitHub 上で行われます。
レビュアーは気づいた点を issue に書き込み、翻訳者がそれに応じて修正したり意図を説明したりします。
修正が行われると GitHub Actions によって自動で PDF が生成され、更新された原稿をすぐに読める仕組みになっています。
まるでオープンソースプロジェクトの開発フローのように、軽快にレビューが回っていく点がとても面白い体験でした。
近代的!さすが技術書籍だなぁ...という感想です。
大変レビューしやすく、レビュアーへの配慮が行き届いているなと感じました。島田さんありがとうございます🙇
面白かった部分
特に興味深かったのは、他のレビュアーの意見をリアルタイムで見られることです。
技術書の感想を他の読者と共有する機会というのは、個人的にはそう多くありません。
しかしレビューでは、訳語や表現をめぐって自然に議論が発生し、その視点の違いから多くを学ぶことができました。
自分では気づけなかった違和感に、他のレビュアーが指摘を入れていたり、逆に自分のコメントに補足を加えてくれたりと、複数人が協力して翻訳を磨いていく過程は非常に刺激的でした。
中には専門的すぎてついていけないissueも多々...大変勉強になりました。
難しかった部分
普段の読書であれば、雰囲気で理解した気になるような文章でも、レビュアーという立場であれば、自分が解説できる程度には理解できることが必要ではないかと考え、細かな表現も自分の中で噛み砕けるように通読しました。
その中でも困ったのは「自分の理解不足」と「表現そのものの読みにくさ」をどう切り分けて訳者に伝えるべきか、という点になります。
「自分の前提知識がそもそもこの書籍を理解するのに達していないのか、書籍として難しすぎるのか」の切り分けができなかったためです。
結局「まあ、想定読者は自分と同じくらいのエンジニアだろう」という考えで「〜〜の部分が理解できませんでした」というようなissueを多々あげさせていただきました。
意外と共感がもらえたり、島田さんが丁寧に返信してくださったり、それを元に訳を修正していただいたりといった反応があり、「あー、ちゃんと伝えて良かったなぁ」という感じです。
あとは些細な引っかかりなど、nitpickなレビューが多くなってしまいました。島田さんごめんなさいandご対応ありがとうございました🙏
良かったと思うこと
何よりも、この活動は純粋に楽しかったです!
自分のissueが翻訳者の承認を経て世に出る書籍に反映される、という経験は何とも言い難い喜びがあります。
また、翻訳者の方がどのような意図で訳語を選び、原文とのバランスをどのように考えているのかというちょっとした裏側の世界を知ることも大きな学びでした。
わずかでもこれらの書籍の読者のためになる活動ができたのであれば、大変光栄なことです。
まとめ
島田さんとのご縁がこの機会を与えてくれたことに深く感謝しています!!
この活動は、会社からも人事的な評価に繋げていただき、学びを応援してくれる文化があることを改めて実感しました。
弊社の評価制度はバリューを体現する行動が評価される仕組みになっており、知見を社内外に共有・発信している状態は、学習者として質の高い行動と評価を受けます。
【関連note】
ということで、弊社エンジニアが会社として掲げるバリュー「Be a Learner」を体現している、というお話でした。
この記事を読んだ方が、
「こういう活動をしているエンジニアがいるんだ」
「自分も気になる分野で何か挑戦してみようかな」
と思っていただければ嬉しいです!
改めまして、このような大変貴重な機会をいただたことを感謝します。
島田さん本当にありがとうございました🙇
終わりに
株式会社COMPASSでは一緒に教育をより良くしていく仲間を募集しています。
少しでも興味を持っていただけた方は、以下よりお気軽にご応募ください。
とりあえず話をきいてみたい!という方はぜひカジュアル面談に来ていただけると幸いです。
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