量子ソフトウェア研究拠点のテックブログを開設しました
はじめに
はじめまして、大阪大学 量子情報・量子生命研究センター[1]特任研究員の宮永(@orangekame3)です。
今回、大阪大学 量子ソフトウェア研究拠点(以下QSRH)[2]のテックブログを開設しました。本稿では、QSRHの紹介とテックブログを開設した理由について説明します。
QSRHってなに?
私たちは、量子ソフトウェアを誰もが利用できるプラットフォームを産学が共創して構築し、持続可能な社会を実現するため、地球規模の問題を科学的に解決する新たな基盤とすることを目指しています。
研究拠点には国内外の研究機関や産業界とも連携し、量子ソフトウェアの研究開発を行っています。
なんでテックブログを開設したの?
大きく3つの理由があります。
- 当研究拠点の取り組みについて積極的に情報発信したい
- 量子コンピュータの現状について知ってもらいたい
- この分野に興味を持ったソフトウェアエンジニアやシステムエンジニアを増やしたい
それぞれ説明します。
当研究拠点の取り組みについて積極的に情報発信したい
ブランディングが目的です。私たちは国内外で私たちが作成したソフトウェアやプラットフォームを利用していただきたいと考えています。まずは国内での認知度を少しでも上げる一因になれればと思い、開設に踏み切りました。
量子コンピュータの現状について知ってもらいたい
量子コンピュータという単語を目にすることが多くなってきた昨今、より正確な情報を提供することが求められています。当研究拠点では、量子コンピュータの研究開発を行っており、日々の業務で得られた知見を広く社会に発信していくことが重要だと考えています。
この分野に興味を持ったソフトウェアエンジニアやシステムエンジニアを増やしたい
量子コンピュータを扱うには専門的な知識が必要ですが、研究者だけが量子コンピュータの開発に貢献できるわけではありません。以下はUnitary Fund[3]が行ったOpen Source Survey 2023[4]の結果です。
以下は「Which of the following statements best describe your background?(バックグラウンドとして最も適するものはどれですか?)」という質問に対する回答です。
複数回答可であることを踏まえても、バックグラウンドはClassical programming and software technologies、いわゆるソフトウェアエンジニアが半数を占めていることがわかります。
また、下図はロールとバックグラウンドの相関を示していますが、ソフトウェアエンジニアの構成としては量子の研究者よりも古典プログラミングのバックボーンを持つ人が多いことがわかります。
量子という単語が先行しているため、量子コンピュータの開発には量子力学の知識が必要だと思われがちですが、システムそのものを構築するうえでは必ずしも必要ではありません。この分野に興味を持ったソフトウェアエンジニアやシステムエンジニアを増やすことが重要だと考えています。
今後の展望
一般的なソフトウェア企業のテックブログと同じように、日々の開発業務や研究業務で得た知見をアウトプットする場として本テックブログを活用していきたいと考えています。また、量子コンピュータの開発に興味を持った方々に向けて、量子コンピュータの基礎知識や最新の研究動向についても発信していけたらと考えています。
おわりに
量子コンピュータ開発現場におけるシステム構築や量子ソフトウェアについて広く社会に知ってもらいたいという思いからテックブログを開設しました。今後も、当研究拠点の取り組みについて積極的に情報発信していく予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
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Unitary Fundは量子技術のエコシステムを支援するための非営利団体です。 ↩︎
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Open Source Survey 2023は、量子技術のオープンソースエコシステムに関する調査です。 ↩︎
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