個人の独自ドメインメールはiCloud+がよさそう
結論
送受信をしたいならiCloud+ (¥130/月~)、受信だけでよい場合はCloudflareのEmail Routingがおすすめです。(2024年11月現在)
経緯
独自ドメインを使ったメールアドレスを取得する場合、Google Workspace (旧GSuite)が主流だと思います。しかし、最小プランでも¥680/月かかるので、趣味で個人用のアドレスを維持するには、結構値が張ります。
また、Gmailのメール送信者ガイドラインによって、DKIMなどの認証実装が必須化され、遵守しない場合に迷惑メールに高確率で振り分けられてしまうようになりました。そのため、このあたりの設定が十分に行われていないサービスを利用すると、相手にメールが届かないリスクを抱えることになります。
そこで、今回は個人が独自ドメインのメールを作成する際の候補を整理し、比較を行ってみます。
考えられる候補
Google Workspace
資金が潤沢にあるのであれば、Google Workspace一択だと思います。使い慣れたGmailのインターフェースを使用することができるほか、採用実績も多く、誤って迷惑メールに分類されるリスクを最小限に抑えることができます。
唯一のネックは価格でしょう。最小プラン(30GB)でも¥680/月がかかり、個人用のメールアドレスを運用する目的を達成するだけには、少々高額な設定です。なお2TBのプランは¥1360/月で、通常のGoogle One(個人向け)の2TBプランが¥1300/月なので、すでにGoogle Driveなどで大容量のストレージの契約をしてる人は、こちらを検討してみてもいいかもしれません。
Office 365 Business
MicrosoftもGoogle同様のサービスを提供しており、最小プラン(Basic/1TB)の場合¥899/月です。Office 365を導入する動機として、Office系デスクトップアプリのライセンスが考えられますが、最小プランにはライセンスが付随しない点に注意が必要です。
iCloud+
上記2つがビジネス向けなのに対して、AppleのiCloud+は主に個人向けのサービスで、最小プラン(50GB)の価格はなんと¥130/月です。
サービス登場時にはDKIMの設定が正しく行われず、迷惑メールに振り分けられる場合もあったようですが、現在では問題なく設定されるようです。(Gmailで受信メールを確認したところ、'PASS'になっていました)
レンタルサーバー系のメール機能
レンタルサーバーが提供するメールボックス機能などもあります。ただ、Gmailなどと比較するとインターフェースが微妙なものが多い印象です。また、SPFやDKIM等の設定に対応していないなどの理由で、迷惑メールに振り分けられる可能性が高いことも考慮する必要があります。この点は大手のメールサービスと比較すると大きく見劣りするように思われます。
Cloudflare Email Routing
上記のサービスは送受信に対応していますが、こちらは受信専用です。正確には、メールアドレスごとに転送先を設定して、受信したメールを別のメールアドレスに転送することができます。
最大のメリットは無料であることです。Cloudflareのネームサーバーを設定していれば、管理画面から数クリックするだけで利用することができます。個人の場合、送信は必要ないというケースもあり、その場合は有力な候補になると思います。
そもそも必要か
ここまで、独自ドメインのメールアドレスを導入するための方法を検討してきましたが、そもそも必要なのかという点も考慮した方が良いと思います。例えば、iCloud+のカスタムメールドメイン機能などは現状問題なく使用できますが、今後も継続して提供されると確約されているわけではありません。サービス終了や値上げなどの理由でメールアドレスを維持することが困難になった場合、そのメールアドレスを放棄する必要が出てくる恐れもあります。その点、Gmailのサービスが終了することは、当分の間はないと言えるでしょう。
自分だけのドメインを冠したメールアドレスは魅力的ではありますが、維持コストやサービスに依存するリスクを踏まえたうえで、採用することをおすすめします。
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