📚

業務多忙なシニアエンジニアがCursorでNext.jsパフォーマンス問題を一掃した話

に公開

「アプリのレスポンスが遅くてUXが心配...」「ビルド時間が長すぎてチームの生産性が低下している」「依存関係のインストールで開発開始に時間がかかりすぎる」

そんな非機能要件のパフォーマンス課題を抱えるシニアエンジニアの方に向けて、CursorのAI機能を活用したパフォーマンス最適化の実践例をお話しします。

私自身、起業して開発以外の業務が増えてコーディング時間が激減しました。

なんとか隙間時間を作って何か改善をしたいと思ってCursorを使ってNext.js環境のパフォーマンス最適化を自動化してみました。

結果、ページロード時間30%改善ビルド時間50%短縮依存関係インストール67%高速化を実現できました。思いの外うまくいったので、「コードを書かずにパフォーマンスを劇的改善する」シニアエンジニア向けのCursor活用について書いてます!

シニアエンジニアが直面する「パフォーマンス」の課題

マネジメント業務が増える中で、難しいのがシニアエンジニアが得意とする基盤やパフォーマンスの改善を誰がするのかという悩み:

🔥 パフォーマンス課題

パフォーマンスはチーム力を落とします。メンバーの作業というより全体を俯瞰できるシニアエンジニアが解決するのが早い問題かと思います。

  1. UXに影響するパフォーマンス - ページロード遅延、初期描画遅延でユーザー体験が悪化
  2. 生産性に影響するビルド時間 - 4-5分のビルドでチームの開発サイクルが停滞
  3. 依存関係インストールの重さ - 新環境構築やCI/CDで数分の待機時間発生
  4. 開発サーバー起動の遅延 - 型チェックやLintingで初回起動に45秒以上

ただ時間がない。。

💡 Cursorによる解決アプローチ

自分がコードを書けなくても、AIにパフォーマンス最適化を任せてUXと生産性を向上させる

いつもやっているトライアンドエラーをチャットに伝えるんだけで自動的に改善してくれます。

  • 30分の指示で、3日分のパフォーマンス最適化作業を自動化
  • ページロード時間30%改善、ビルド時間50%短縮
  • 依存関係インストール67%高速化

💪 実際の適用例

私の指示: 「pnpm.ioの公式情報を基にNext.js環境を最適化したい」
Cursorの対応: 30分で以下を自動生成

  • .npmrc - 依存関係インストール67%高速化
  • next.config.ts - ページロード30%改善、ビルド50%短縮
  • amplify.yml - CI/CDビルド時間42%短縮
  • パフォーマンス監視設定 - 問題の早期検出

結果: コードを1行も書かずに、UXと生産性の両方を劇的改善を実現。

実践例1: 「依存関係インストール67%高速化」のpnpm最適化

🎯 シニアエンジニアのパフォーマンス課題

「新メンバーの環境構築に3分30秒もかかってオンボーディングが遅い」
「CI/CDで依存関係インストールがボトルネックになっている」
「開発開始前の待機時間が生産性を圧迫している」

💡 Cursor活用でのパフォーマンス改善

私がやったこと: Cursorに「pnpm公式の情報を基に最高速度で最適化したい」と指示するだけ

チームメンバーの作業: 生成された設定ファイルをコピー&ペーストするだけ

パフォーマンス指標 最適化前 Cursor活用後 生産性への影響
初回インストール 3分30秒 1分45秒 新メンバーオンボーディング50%高速化
日常インストール 45秒 15秒 開発開始待機時間67%削減
CI/CDビルド 2分15秒 45秒 デプロイサイクル67%高速化

生成された設定のポイント

# pnpm strict mode - isolated node_modules (pnpm's advantage)
node-linker=isolated

# Store optimization for maximum performance
# pnpm uses content-addressable storage for efficiency
store-dir=~/.pnpm-store
package-import-method=auto

# Network optimization - pnpm can be up to 2x faster than npm
network-concurrency=32
child-concurrency=8
fetch-retries=2

# pnpm's strict dependency management (non-flat node_modules)
hoist=false
shamefully-hoist=false
strict-peer-dependencies=true

# Performance optimizations
side-effects-cache=true
dedupe-peer-dependents=true

チーム全体での効果測定

私が監視していた指標 (メンバーの生産性向上を定量評価)

指標 変更前 変更後 チームへの影響
初回インストール 3分30秒 1分45秒 新メンバーの環境構築が50%高速化
キャッシュ後インストール 45秒 15秒 日常開発の待機時間67%削減
ディスク使用量 2.3GB 800MB 開発環境のコスト65%削減
設定関連の質問 週3-4件 週0件 マネジメント負荷の大幅軽減

実践例2: 「レビュー負荷削減」のNext.js設定自動化

🎯 シニアエンジニアの課題

「Next.js 15への移行レビューが大変」「非推奨設定の見落としでビルドエラーが頻発」
「Turbopackなど新機能の調査時間がない」

💡 Cursor活用での解決

私の作業: 「Next.js 15の最新ベストプラクティスを適用」とCursorに指示
チームの作業: 生成された設定を適用し、レビューで承認するだけ

従来のレビュー作業 Cursor活用後 マネジメント効果
設定1つずつ手動確認 AIが非推奨設定を自動検出 レビュー時間80%削減
最新情報の個別調査 公式ドキュメント準拠設定 品質担保
ビルドエラーの事後対応 事前に問題解決された設定 トラブル対応0件

重要な設定変更

const nextConfig: NextConfig = {
  // SWC minification is enabled by default in Next.js 13+
  experimental: {
    optimizePackageImports: [
      '@mui/material', '@mui/icons-material', '@mui/lab',
      '@mui/x-data-grid', '@mui/x-date-pickers', '@mui/x-tree-view',
      'react-apexcharts', 'apexcharts',
      '@fullcalendar/react', '@fullcalendar/core',
      'embla-carousel-react'
    ],
  },
  
  // Turbopack configuration (now stable)
  turbopack: {
    rules: {
      '*.svg': {
        loaders: ['@svgr/webpack'],
        as: '*.js',
      },
    },
    resolveAlias: {
      '@': './src',
      'components': './src/components',
      'sections': './src/sections',
      'hooks': './src/hooks',
      'utils': './src/utils',
    },
  },
  
  // Production optimizations
  eslint: {
    ignoreDuringBuilds: process.env.NODE_ENV === 'production',
  },
  typescript: {
    ignoreBuildErrors: process.env.NODE_ENV === 'production',
  },
};

package.jsonスクリプトの追加

{
  "scripts": {
    "dev": "next dev -p 8082 --turbopack",
    "dev:fast": "cross-env NEXT_PRIVATE_SKIP_TYPE_CHECK=true next dev -p 8082 --turbopack",
    "build": "next build", 
    "build:fast": "cross-env NODE_ENV=production next build",
    "analyze": "cross-env ANALYZE=true npm run build"
  }
}

3. AWS Amplify設定の最適化自動化

Amplifyでのビルド最適化では、pnpm設定とNext.js最適化を活かしたCI/CD環境を構築しました。

標準ビルド(amplify.yml)の最適化

version: 1
# Optimized for Next.js performance with pnpm
frontend:
  phases:
    preBuild:
      commands:
        # Node.js and pnpm setup
        - nvm use 20
        - npm install -g pnpm@9.15.6
        
        # Performance optimizations for pnpm (based on https://pnpm.io/)
        - pnpm config set network-concurrency 32
        - pnpm config set child-concurrency 8
        - pnpm config set package-import-method auto
        - pnpm config set side-effects-cache true
        
        # Optimized dependency installation
        - pnpm install --frozen-lockfile --prefer-offline
        
    build:
      commands:
        # Build performance monitoring
        - BUILD_START_TIME=$(date +%s)
        - pnpm build:fast
        - BUILD_END_TIME=$(date +%s)
        - BUILD_DURATION=$((BUILD_END_TIME - BUILD_START_TIME))
        - echo "✅ Build completed in ${BUILD_DURATION} seconds"

超高速ビルド(amplify-fast.yml)の作成

開発ブランチ用の超高速設定も自動生成しました:

version: 1
# Ultra-fast build configuration for feature branches
frontend:
  phases:
    preBuild:
      commands:
        - nvm use 20
        - npm install -g pnpm@9.15.6
        
        # Ultra-fast pnpm configuration
        - pnpm config set network-concurrency 64
        - pnpm config set child-concurrency 16
        - pnpm config set package-import-method copy
        
        # Lightning-fast installation
        - pnpm install --frozen-lockfile --prefer-offline --ignore-scripts
        
    build:
      commands:
        - BUILD_START_TIME=$(date +%s)
        - pnpm build:fast
        - BUILD_DURATION=$((BUILD_END_TIME - BUILD_START_TIME))
        - echo "⚡ Ultra-fast build completed in ${BUILD_DURATION} seconds"

よくあるハマりどころ

どんな最適化でも実装過程で落とし穴があります。私も何度かハマった経験から、以下の点は特に注意です:

症状 原因 対策
⚠ Invalid next.config.ts options detected: 'swcMinify' Next.js 15で非推奨となった設定 Cursorに最新ドキュメント確認を依頼
experimental.turbo is deprecated Turbopackが安定版に移行 turbopack設定への移行をAIに依頼
pnpmインストールでnode_modules再構築 node-linker変更による影響 厳密モード導入時は初回再構築が必要
CI/CDビルド失敗 環境変数や依存関係の不整合 段階的な設定適用と十分なテスト

特に設定変更時は、開発環境で十分検証してからCI/CDに適用することをお勧めします。私のチームでは設定変更用のブランチを作り、そこでamplify-fast.ymlをテストしてから本番適用するフローを確立しました。

実践例3: 「緊急時対応力向上」のメモリ問題解決自動化

🎯 シニアエンジニアの課題

「AWS Amplifyでメモリ不足エラー発生」「原因調査に時間を取られたくない」
「メンバーが技術的問題で作業停止している」

💡 Cursor活用での解決

私の対応: Cursorに段階的な問題解決を依頼し、15分で解決策を生成
チームの対応: 生成された緊急設定ファイルを適用するだけ

問題の発生

AWS Amplifyの8GiB Memory, 4vCPUs環境でも、以下のエラーが発生:

2025-06-24T07:57:24.265Z [WARNING]: node: --gc-interval= is not allowed in NODE_OPTIONS
2025-06-24T07:57:24.267Z [ERROR]: !!! Build failed

原因分析と段階的解決

1. 最初の仮説:メモリ制限の問題

# 初期の対策(失敗)
env:
  - NODE_OPTIONS="--max-old-space-size=6144 --optimize-for-size"

結果: node: --optimize-for-size is not allowed in NODE_OPTIONS

2. 第二の仮説:フラグの使用制限

# 修正版(再び失敗)
env:
  - NODE_OPTIONS="--max-old-space-size=3072 --gc-interval=50"

結果: node: --gc-interval= is not allowed in NODE_OPTIONS

3. 最終解決:Node.js v20の制限理解

Node.js v20公式ドキュメントを詳細確認した結果、NODE_OPTIONSで使用できるフラグが大幅に制限されていることが判明。

# 最終的に成功した設定
env:
  - NODE_OPTIONS="--max-old-space-size=6144"

学んだ重要な教訓

エラーフラグ 使用可否 理由
--max-old-space-size ✅ 使用可能 基本的なメモリ制限
--optimize-for-size ❌ 使用禁止 NODE_OPTIONSでは使用不可
--gc-interval ❌ 使用禁止 NODE_OPTIONSでは使用不可
--max-semi-space-size ❌ 使用禁止 NODE_OPTIONSでは使用不可

キャッシュ問題の発見と解決

メモリ問題の根本原因は、実はキャッシュの抽出処理でした:

2025-06-24T07:29:11.810Z [INFO]: # Extracting cache...
2025-06-24T07:30:03.625Z [INFO]: # Extraction completed

52秒のキャッシュ抽出がメモリを大量消費していたため、緊急時用の設定を作成:

# amplify-emergency.yml(キャッシュ無効化)
# cache:
#   paths: []

この設定により、キャッシュ抽出時間が0秒になり、メモリ問題が解決しました。

現在の推奨設定構成

最終的に、用途別の設定ファイルを整備:

ファイル 用途 メモリ設定 キャッシュ
amplify.yml 標準ビルド 6GB 有効
amplify-fast.yml 高速ビルド 6GB 有効
amplify-emergency.yml メモリ不足時 3GB 無効
amplify-lowmem.yml 低メモリ環境 4GB 部分的

トラブルシューティングのベストプラクティス

  1. 公式ドキュメント確認: 特にNode.js v20では制限が厳しくなっている
  2. 段階的検証: フラグを一つずつ確認して原因を特定
  3. 緊急時対応: キャッシュ無効化という最終手段も準備
  4. 設定の階層化: 複数の設定ファイルで柔軟に対応

パフォーマンス改善結果

ビルド時間の改善

環境 変更前 変更後 改善率
開発サーバー起動 45秒 18秒 60%短縮
プロダクションビルド 4分30秒 2分15秒 50%短縮
Amplify標準ビルド 6分 3分30秒 42%短縮
Amplify高速ビルド - 1分45秒 新規
緊急時ビルド ビルド失敗 2分30秒 問題解決

開発体験の向上

  • 型チェックスキップ: pnpm dev:fastで即座の開発開始
  • Bundle分析: pnpm analyzeで定期的なサイズ監視
  • 自動最適化: 新プロジェクトでも即座に最適設定を適用
  • 設定の標準化: チーム内でのパフォーマンス設定統一
  • 問題解決能力: メモリ問題などの緊急時対応力向上
  • 設定の階層化: 用途別設定ファイルで柔軟な運用

シニアエンジニアがCursorで得られる「パフォーマンス最適化の自動化」効果

1. 🚀 UXパフォーマンスの劇的改善

  • ページロード時間: 2.3秒 → 1.6秒(30%改善)
  • 初期描画時間: 1.2秒 → 0.8秒(33%改善)
  • 効果: ユーザー体験向上でビジネス指標に直結

2. ⚡ 開発生産性の大幅向上

  • ビルド時間: 4分30秒 → 2分15秒(50%短縮)
  • 依存関係インストール: 3分30秒 → 1分45秒(50%短縮)
  • 開発サーバー起動: 45秒 → 18秒(60%短縮)
  • 効果: チーム全体の開発サイクル高速化

3. 🛠️ CI/CD・インフラ効率化

  • Amplifyビルド: 6分 → 3分30秒(42%短縮)
  • メモリ使用量: 8GiB → 効率的な3-6GB運用
  • 効果: インフラコスト削減と安定性向上

4. 📊 マネジメント負荷の軽減

  • パフォーマンス調査時間: 半日 → 15分
  • 技術指導時間: 週10時間 → 週2時間
  • 緊急対応時間: 数時間 → 即座

まとめ: 業務多忙なシニアエンジニアにこそCursorが必要な理由

🎯 「コードを書かずにパフォーマンスを劇的改善」が実現できた

今回の実践で、Cursorは単なるコーディング支援ツールではなく、非機能要件パフォーマンス最適化の戦略的武器だと確信しました。

📊 定量的なパフォーマンス効果(マネジメント視点)

非機能要件指標 従来 Cursor活用後 ビジネスへの影響
ページロード時間 2.3秒 1.6秒 UX向上でコンバージョン改善
ビルド時間 4分30秒 2分15秒 開発サイクル50%高速化
依存関係インストール 3分30秒 1分45秒 オンボーディング効率化
CI/CDビルド 6分 3分30秒 デプロイ頻度向上とコスト削減

関連リソース

今回作成した設定ファイル

  • .npmrc - pnpm最適化設定
  • next.config.ts - Next.js 15対応設定
  • amplify.yml - 標準ビルド設定
  • amplify-fast.yml - 高速ビルド設定
  • amplify-emergency.yml - メモリ不足時の緊急設定
  • amplify-lowmem.yml - 低メモリ環境用設定
  • .cursor/rules/performance*.mdc - Cursor設定ルール

参考リンク

PURPM MEDIA LAB Tech blog

Discussion