🤔

「考えるって、なんだろう?」 “問い”が曖昧なまま答えを求めることの危うさ

に公開1

この記事は、この小冊子を参考にしています。
https://zenn.dev/psy_2t0k4ch1_z/books/39e1666dea7c0e

はじめに

問いが曖昧なままでは、答えは朧げなままだ

「考えているのに、いつもモヤモヤが残るんです」
よく聞く言葉ですが、本当に“考えて”いるのでしょうか?

あるいは、既に答えを決めたうえで、それらしく見せる理由を探しているだけではありませんか?

問いが曖昧なまま先に進むと、得られるのは“なんとなくわかった気”のままの結論です。
しかし、その結論はたちまち揺らぎ、再び同じ問いに戻らざるをえなくなってしまいます。


1. 「考える」とは、答えを出すことではない

多くの人が「考える=答えを探すこと」だと思い込んでいます。
しかしそれは、薄い思考にすぎません。
本当に「考える」とは、むしろ

問いを精査し、構造を分解し、材料を整理し、仮説を検証し、再構築すること。

これらのプロセスを踏んだ先に、初めて“納得できる答え”が出来上がるのです。


2. 問いを “裁く"

思考とは小さな裁判である


思考のプロセスを「裁判」に例えてみましょう。

問いは「被告」、あなたは「裁判官」です。
そして、事実や背景は「証拠」、感情は「情状酌量の要素」に相当します。

1. 被告(問い)を立証する材料は何か?

その問いはどこから来たのか。

何を前提としているのか。

どんな解釈やバイアスを含んでいるか。

2. 証拠(事実やデータ)を集める

観察できる事実、客観的な情報、信頼できるソースは何か。

情報が揃うまでは、判決(結論)を保留すべき段階もある。

3. 証人(感情・背景)の聴取

何故その問いに対して感情が生じたのか?

置かれた状況や立場はどうか?

感情を排除するのではなく、適切に位置づける。

4. 弁護と検察の主張を比較検討する

自分の中にある複数の仮説をぶつけ合い、メリット・デメリットを浮き彫りにする。

「この問いの立て方は正しかったのか」「そもそも違う問いを立てる必要はないか」。

5. 判決(仮の結論)を下す

材料に基づく最も整合的な仮結論を打ち立てる。

ただし、それはあくまで「暫定判決」。新たな証拠が出れば再審(再考)すべき余地を残す。

この一連の「脳内裁判」を経ることで、一度踏み出した問いは執拗に検証され、やがて初めて“納得できる”構造を獲得します。
これこそが、私が言う「問いを被告に置く」と言う事の意味です。


3. “式のない答え”は、ただの思い込みに過ぎない


数学では「証明」がなければどんな定理も成立しません。
同じように人生やビジネス、対人関係でも

「答えには、いつだって思考の"式"(=論理構造)が必須」

式がなければ、どこに誤りがあったのかも気づけませんし、新たな状況や情報に応じて答えを更新することもできません。

事実ベースの問いなら、観察・検証・帰納・反証。

仮説ベースの問いなら、定義・演繹・前提検討。

この構造を抜きにした答えは、ただの気休めか印象論にすぎず、簡単に揺らいでしまうのです。


4. 小冊子「考えるってなんだろう?」の狙い


この小冊子は

問いの立て方を、問いその物を問い直す為の構造、技術を提供する。

為に書きました。
具体的には以下のような人達に向けています。

問いを立て、答えを決めたつもりで、いつも何処かモヤモヤが残る人
→ 問いが曖昧なまま答えを探す癖を正したい。

話しても議論が平行線になりがちで、すれ違いが多い人
→ 互いの問いのズレを検証し、構造的に擦り合わせたい。

感情やバイアスに囚われず、事実と論理で考えたい大人
→ 自分の判断がどこで揺らいだのか、揺るがない判断の土台を作りたい。

これから思考訓練を本気でやりたい学生
→ 「考えることは何か?」をゼロから学び、将来の基盤を作りたい。

広く様々な人達が活用してくれたらな、なんて思っています。


5. 読み進めるための心得


今回お話したこの本は「読むだけでわかった気になる」類の文ではありません。
多少は効果があるとは思いますが、それは本質ではありません。

読む者が立ち止まり、自分の頭で問いを再構築し、思考の“式”を自分で引くことを手引きし、求めます。

読む前に、手を止める。
「私はなぜこの問いを立てているのか」を、自問してみてください。

章を読みながら、手を、頭を動かす。
与えられた問いをまず真っ白な紙に写し、自分なりに分解してみる。
できるだけ事実と感情を分け、背景と仮定を書き出す。

仮結論を「問い戻す」癖をつける。

あらゆる結論は暫定判決にすぎません。
新しい材料が出たら、必ず「それはどう問い直すと別の結論が出るだろうか?」を考える。

このプロセスを継続する事こそが、「考える技術」を身体に刻み込む最短の道なのです。


6. あなた自身の問いを更新する


もし今、何かに引っかかっているなら

1. その違和感を問いとして書き出す。

例:「なぜ私はこんなにイライラするのか?」「なぜこの議論ではいつも噛み合わないのか?」

2. 問いの分解を試みる。

事実・背景・動機・感情・仮定を一つずつ切り分ける。

それぞれの要素を書き出し、どれが不十分だったかを検証する。

3. 仮の判決を書いてみる。

今の材料で整合的に見える回答は何か?

その回答がどの前提に依存しているかを明示する。

4. 再審の余地を明記する。

「ここは新しい情報が出てきたら変わる可能性がある」という箇所に印をつける。

そうすることで、自分の思考を“常に可逆的”に保つことができる。

これだけでも、あなたの思考は劇的に変わります。
いったん自分で“問いを裁く”癖がつくと、感情に振り回される事はぐっと減ります。


7. まとめ:問いが澄んだとき、答えは鮮明になる


問いが曖昧なまま答えを探しても、結論は霞んだまま。

問いを分解し、事実・仮定・感情を整理し、仮説を立てる。

判決(結論)は暫定であり、新しい材料があれば再審する。

この手順を踏むことで、初めて私たちは

“考える”の本質に触れ、意図的に、自律的に、納得のいく結論を構築できる

のです。

「考えるって、なんだろう?」という問いそのものを、この小冊子であなた自身が“裁いて”いただければと思います。


小冊子『考えるってなんだろう?』はこちら

自分の思考の“式”を編み直すための簡単なテスト付き。
宜しければ、手に取ってみてください。

https://zenn.dev/psy_2t0k4ch1_z/books/39e1666dea7c0e


著者について

性格は論理的整合性を大事にし、逆解析思考構築の癖を持つ人です。
よく様々な事で、何故だ?と無駄に深く考えたり、趣味に繋がりを持たせ捩じ込んでみたり…新しい仕組みやルール、アプローチを考えたり思考を組み立てたりをよくします。
どうせ悩んだり拘ったりするなら、選択肢は多ければ多い程悩みがいあって良いよねぇ。
そんな人です。

Discussion

ピン留めされたアイテム
TokachiTokachi

https://note.com/glossy_iguana825/portal
noteの方にも記事があります。
基本構造は似た様な形から入っていますが、こちらの記事よりも柔らかめで、数は少ないですがボリュームはあります。
宜しければ併せてどうぞ。