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LLMモデルの選び方
LLM(大規模言語モデル)を選ぶ際には、用途、精度、計算コスト、データ要件、トレーニングの容易さなど、いくつかの基準を考慮する必要があります。以下に、目的別の選択基準を詳しく解説します。
1. LLM選定の基準
① 用途(目的)
LLMを選ぶ際、最も重要なのはどのような用途に使うかです。
用途 | 適したLLM |
---|---|
テキスト生成(文章作成) | GPT-4, GPT-3.5, Claude, LLaMA |
コード生成(プログラミング支援) | GPT-4, CodeLlama, StarCoder |
翻訳(多言語対応) | NLLB-200, M2M-100, GPT-4 |
要約(長文の圧縮) | GPT-4, Claude, BART |
会話型AI(チャットボット) | GPT-4, Claude, Mistral |
検索・情報抽出(RAGシステム) | LLaMA, GPT-4, Mistral |
ファインチューニング可能なLLM | LLaMA, Mistral, Falcon |
軽量・エッジデバイス対応 | Mistral 7B, Phi-2, Gemma |
② 精度(性能)
精度を求める場合、パラメータ数や事前学習データが重要になります。
精度重視(高性能モデル) | 軽量で動作が速いモデル |
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GPT-4, Claude 3, LLaMA 2 70B | Mistral 7B, Phi-2, Gemma 2B |
- GPT-4は最も高性能なモデルの一つで、多くのタスクで最良の結果を出しますが、APIコストが高い。
- Mistral 7BやPhi-2は、小規模ながら高性能で、オンプレミスやエッジデバイス向けに適しています。
③ 計算コスト(推論速度・GPU要件)
LLMは巨大な計算コストがかかるため、どの程度のリソースを確保できるかが選択基準になります。
リソースが豊富(GPUクラスタ利用) | 低コスト・軽量モデル |
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GPT-4, Claude 3, LLaMA 2 70B | Mistral 7B, Phi-2, Gemma |
- LLaMA 70BやGPT-4は大規模なクラウド環境での利用向け。
- Mistral 7Bは単体のA100でも動作可能で、エッジデバイスやローカル環境向け。
④ 訓練データ・カスタマイズ性(ファインチューニング & LoRA)
LLMを独自のデータで学習させたい場合、ファインチューニングやLoRA対応の有無が重要。
カスタマイズ可能なモデル(LoRA, Fine-tuning) | 事前学習済みのブラックボックスモデル |
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LLaMA, Falcon, Mistral, Gemma | GPT-4, Claude, Gemini |
- LLaMA 2, Mistral 7B, Falconはオープンモデルで、カスタマイズしやすい。
- GPT-4やClaudeはAPI提供のみで、学習データを変更できない。
⑤ 多言語対応
多言語の処理能力が必要な場合、事前学習データに多言語コーパスを含むモデルが適している。
強力な多言語対応モデル | 英語特化のモデル |
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GPT-4, NLLB-200, M2M-100, LLaMA 2 | CodeLlama, StarCoder, GPT-4 (Code) |
- NLLB-200, M2M-100はFacebook(Meta)による多言語モデルで、翻訳に特化。
- GPT-4, Claude 3も高い多言語対応を持つ。
- CodeLlama, StarCoderは英語のプログラムコード生成に最適。
⑥ API vs ローカル
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クラウド(API)利用の場合 → GPT-4, Claude, Gemini
→ 高精度だが、料金が発生し、データプライバシーの制約あり。 -
ローカル(自己ホスト型)利用の場合 → LLaMA, Mistral, Falcon
→ オープンソースモデルで、カスタマイズ可能。
2. 代表的なLLM一覧と用途
モデル | パラメータ数 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
GPT-4 | 非公開 | 高精度、多言語対応 | テキスト生成、対話AI |
Claude 3 | 非公開 | 自然な対話、創造的な文章生成 | チャットボット、要約 |
LLaMA 2 70B | 70B | 高精度、オープンソース | 研究、ファインチューニング |
Mistral 7B | 7B | 軽量、強力な性能 | ローカル実行、エッジAI |
Gemma 2B/7B | 2B/7B | Google製、小型高性能 | ローカルAI、簡単な処理 |
Falcon 40B | 40B | オープンソース | カスタマイズ可能なAI |
CodeLlama 34B | 34B | コード生成特化 | プログラミング支援 |
3. まとめ:LLMの選び方
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何に使うか?
- テキスト生成・要約 → GPT-4, Claude
- コード生成 → CodeLlama, GPT-4 (Code)
- 多言語対応 → GPT-4, NLLB-200
- ローカル実行・軽量モデル → Mistral, Phi-2, Gemma
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計算リソースは?
- クラウド(API利用) → GPT-4, Claude, Gemini
- ローカル(自己ホスト型) → LLaMA, Mistral, Falcon
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カスタマイズが必要か?
- ファインチューニング可能 → LLaMA, Mistral, Falcon
- 事前学習済みモデルでOK → GPT-4, Claude
LLMを選ぶ際は、**「精度 vs コスト」「用途 vs カスタマイズ性」**のバランスを考えることが重要です。
あなたの目的に最適なモデルを選ぶお手伝いもできますので、具体的なニーズがあれば教えてください!
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