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音声データのノイズ除去技術解説:SoX / OpenAI Whisper / RNNoise

2025/03/15に公開

音声認識モデルや音声処理を行う際、ノイズ除去はモデル精度に大きく影響します。この記事では、代表的なノイズ除去ツールであるSoX、OpenAI Whisper、RNNoiseの特性と使い方を比較・解説します。

1. SoX (Sound eXchange)

SoXは音声処理の「スイスアーミーナイフ」と呼ばれるほど多機能で、特に音声ファイルの基本的な前処理に適しています。

特徴

  • 軽量・高速処理
  • フィルター(ノイズ除去、ノーマライズ、ゲイン調整)が豊富
  • コマンドラインでのバッチ処理に最適

ノイズ除去の例

sox input.wav output.wav noisered noise.prof 0.21

注意点

  • ノイズプロファイルを事前に作成する必要がある
  • 強いノイズや複雑なノイズ除去には限界あり

2. OpenAI Whisper

Whisperは主に音声認識モデルとして知られますが、実はノイズ環境下の音声認識に特化した内部処理を持ちます。

特徴

  • AIベースのモデルで、複雑なノイズに対しても高い認識精度を発揮
  • ノイズ除去専用ではないが、ノイズ環境に強いエンベディングを生成

利用例

音声をそのままモデル入力として与えるだけで、ノイズに強い特徴量抽出が行われます。

import whisper
model = whisper.load_model("base")
result = model.transcribe("audio_with_noise.wav")

注意点

  • 除去後の音声を生成する機能は標準ではない
  • 推論の処理時間が比較的長い

3. RNNoise

RNNoiseは深層学習ベースのリアルタイムノイズ除去モデルで、特に音声通話やストリーミング音声に最適です。

特徴

  • リアルタイム処理が可能で低遅延
  • 深層学習を用いた高性能ノイズ除去

利用例

ffmpeg -i noisy_input.wav -af arnndn=m=model.rnnn cleaned_output.wav

注意点

  • 学習済みモデルを利用するため、モデルをカスタムしたい場合は独自に再学習が必要
  • 特殊なノイズには再学習が必要なケースもある

ツール比較まとめ

項目 SoX OpenAI Whisper RNNoise
リアルタイム性 ×
複雑なノイズ対応力
処理速度
用途例 一般的前処理 高精度認識 リアルタイム音声

結論

  • 一般的な前処理にはSoXが高速・軽量でおすすめ。
  • Whisperは複雑なノイズ環境での認識に強いが、推論に時間がかかる。
  • RNNoiseはリアルタイム音声処理に適している。

用途に応じて最適なツールを選定し、ノイズ除去を効果的に実施しましょう。

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