🗃️

Power Automate や Power Apps のデータはどこに保存される?

に公開

はじめに

Power Automate と Power Apps による業務の自動化、効率化が進んでいますが、扱うデータはどこに保存されるのか、保存場所の違いや注意点についてご紹介します。
フローやアプリの保存場所や管理を検討する際に参考にしていただければと思います。

この記事では主に、Power Automate と Power Apps のデータ保存場所について解説します。
Power BI は別の保存場所(ワークスペース)となるため、本記事では扱いません。

注意事項

本記事は個人の経験と、2025年7月時点において調査した内容を交えた記事です。
最新情報は、Power Platform ライセンスガイド等の公式情報をご確認ください。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/pricing-billing-skus

Power Platform 特有の保存場所

Power Platform 特有の保存場所があります。

  • 環境
    Power Automate や Power Apps のホーム画面右上に表示されています。
    作成したフロー・アプリ・データを保存する箱としての役割です。

  • Dataverse (データバース)
    環境に紐づいたデータベースです。
    基本的に環境ごとに1つ作成され、作成したフローやアプリなどの情報は基本的にはDataverse内に保存されます。

基本的には、環境の容量 ≒ その環境のDataverseの容量 と理解いただければと思います。
この記事では、「容量」と表記しています。

フローやアプリ自体の保存場所

Power Automate フロー、Power Apps アプリともに、Dataverseに保存されます。
Power Automate Desktop で作成したフローは、ログインしたアカウントにより、保存場所が変わります。

  • 個人アカウントの場合、OneDrive上に保存される
  • 組織または学校アカウントの場合、Dataverse上に保存される

詳細は下記の公式サイトをご確認ください。

フローやアプリの中で処理するデータの保存場所

フローやアプリの中で処理するデータは、Microsoft 365 のOneDrive上のファイルやSharePointリスト等に保存することができますが、
有償ライセンスを利用している場合、保存先にDataverse を選択することができるようになります。

利用できる環境とDataverseの概要

Power Platformで利用できる環境やDataverseの代表的なものは以下です。

既定の環境

基本的に全員が利用できる環境です。
全員が利用できる環境のため、セキュリティ制限や管理がやりづらく、煩雑になる可能性があります。

実稼働環境

業務利用するアプリやフローを配置するための環境です。
開発・テスト環境で十分に検証されたアプリケーションを本番運用する際に使用します。
セキュリティグループを使用してアクセス制限を設定でき、より厳密な管理が可能です。
Power Automate や Power Apps の有償ライセンスを利用している場合、作成が可能です。

開発者環境

開発者が個人的に使用できる環境です。
学習や開発・テスト用途に利用でき、活動がないと自動的に削除される点に注意が必要です。
利用するためには、開発者プラン等のライセンスが必要です。

Dataverse for Teams

Teamsのチームごとに作成され、そのチーム内でのみアクセス可能な環境内のDataverseです。
Teamsアプリ内のアプリ「Workflows」や「Power Apps」を用いて開発したアプリは、作成時に指定したTeams環境のDataverse for Teams に保存されます。

Dataverse の容量上限

Dataverseの容量は、「組織全体の容量を消費するもの」と「個別で容量が付与されるもの」の2つに分かれます。

組織全体の容量を消費するもの

  • 既定の環境
    既定ではデータベース3GB、ファイル3GB、ログ1GBが利用できます。
    上記を超えた場合は、有償ライセンスで増加した容量も含めた組織全体の容量が消費されていきます。
    超えた場合の動作には細かい条件があるため、テクニカルサポートチームのブログも参照ください。
  • 実稼働環境
    環境を作成する時点で、1GBのデータベース容量が消費されます。
    上記に加え、環境内のDataverseに保存した分の容量が組織全体の容量から消費されていきます。

個別で容量が付与されるもの

  • 開発者環境
    組織全体の容量とは全く別の容量が割り振られます。

  • Dataverse for Teams
    組織全体の容量とは全く別の容量が割り振られ、2GB固定です。
    それ以上の容量が必要になる場合、実稼働環境のDataverseに移行する必要があります。

容量を確認する方法

管理センターに標準で組み込まれている機能と、CoEスターターキットを導入して利用する方法があります。

  • Power Platform 管理センター
    Power Automate または Power Apps の右上の⚙️(設定)アイコンをクリック → 管理センター よりアクセスできます。
    左側メニューから、ライセンス → 容量アドオン をクリックすることで、自分が管理する環境の容量状態が確認できます。

    管理センターから、容量の状態を表示した画面の例
    グローバル管理者や、Power Platform 管理者ロールがあるユーザーの場合は、作成されている環境の一覧とDataverse容量を確認することができます。
    容量が残り少ない場合のアラート設定はありません。

  • Center of Excellence (CoE) スターターキット
    CoEスターターキットを導入すると、各環境ごとに容量上限アラートの設定を行ったり、不要なアプリ・フローの棚卸を行う機能などが利用できるようになります。
    社内でPower Platformを用いた開発や運用が幅広く行われている状況であれば、管理のために構築して運用されることをお勧めします。

詳細や導入方法については、公式ページをご覧ください。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/guidance/coe/starter-kit

容量を増やす方法

組織全体の容量を増やすためには、有償ライセンスを利用するか、Dataverseの容量アドオンを購入する必要があります。
有償ライセンスを初めて利用する場合、まとまった容量のDataverse容量が追加され、
さらに1ライセンスごとに容量が追加される方式となっています。

追加される容量の詳細については、公式ページやライセンスガイドをご覧ください。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/pricing-billing-skus

さいごに

Power Automate や Power Apps を用いると、各個人やチームでの開発が活発になりますが、データ保存場所や容量の管理は、管理者が検討し管理する必要があります。
本記事でPower Platform の容量についての概要をつかんでいただき、Power Platformを用いた開発と管理にお役立ていただければと思います。

株式会社プログデンス
設定によりコメント欄が無効化されています