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Bakurakuをもっとバクラクにしたい

こちらは primeNumber AI Native Summer Calendarの記事です。

本日の担当は、CTO の kekekenta (@kekekenta) です。
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はじめに

弊社では、業務フローの稟議や申請に Bakuraku を利用しています。たとえば Google Drive の共有ドライブへのユーザー追加なども、Bakurakuを通じて承認しています。
https://bakuraku.jp/
素晴らしいプロダクトで、社内のワークフローを「バクラク」にしてくれる点にはとても満足しています。
一方で、実際の運用ではまだ「完全にバクラク」とは言えない部分も残っています。

今回は、 Bakuraku 上での Google Drive の権限申請について、もっとバクラクにする方法を考えてみました。

まだバクラクになれていないこと

Google Drive の申請から承認までのフローを考えたときに、まだバクラクになれていないポイントがあります。

  • Bakurakuでは柔軟なバリデーションが入れられない:特定の共有ドライブに外部ドメインを含む申請を弾きたい、あるいは「全員を管理者」にしないよう制御したい、といった細かいルールをBakuraku側で実現することはできません。結果として、申請者が正確に社内ルールを理解した上で申請をする必要があります。
  • 社内ルール理解のコストが高い:稀にしか発生しない申請パターンは、申請者が社内ルールを覚えるコストが大きくなりがちです。申請者がルールの内容まで把握しきれずに申請してしまうことが、一定確率で発生します。
  • 情シス側と申請者の負担:ルールに合っていない申請内容を確認したり、ルールへの適合について申請者とやり取りしたりする時間がかかってしまいます。

社内ルールは当然守る必要がありますが、ルールを意識せずとも自然と守れるようにする運用がより望ましいと考えています。その点がバクラクになりきれていない悩みポイントです。

Chrome拡張でBakuraku申請をサポート

そこで、申請者が自然とルールを守れるようにする Chrome拡張 を Claude Code で作りました。

Googleドライブを選択するとパネルが出てきて、権限を追加するユーザーのメールアドレスを入力します。

メールアドレスの入力は手間なので、Googleのコンタクト情報と連携してメールアドレスのサジェストも可能です。

また、外部共有禁止のドライブに外部の方のメールアドレスを入れるとバリデーションエラーを出すことができます。

これにより、「このドライブには外部の方を招待できません」といったやり取りを減らせます。

「申請」を押すと、Bakurakuの画面に遷移してフォームの内容が自動で埋まるようになっています。

これまではルールを読んで詳細に理解する必要がありましたが、Chrome拡張から申請することでルールが自然に守られるようになります。

これで、申請者・情シス双方の負担を減らすことができそうです。

社内ツールとAIの相性

AIは「70点の動くコード」を素早く作るのが得意です。
それを本番プロダクトの品質まで高めるには時間がかかりますが、社内Chrome拡張のように、そこまで高くないSLOが許容できる社内ツールには最適です。
コードの保守性が完璧でなくても、セキュリティを担保してリリースできるなら十分な領域は存在すると思います。
従来はROIの観点から後回しにされがちだった社内ツール開発が、AIの登場で一気に優先度が変わると感じています。

特に、既存の業務フローをラップするような小さな拡張機能であれば、仮に動かなくなっても従来のフローに戻るだけです。こうした「壊れても致命傷にならないツール」にAIを適用するのは非常に相性が良いと思います。

(勝手ながら)今後のBakurakuへの期待

自然言語でルールを記述して、AIによるソフトなバリデーションを設定できる仕組みが実装される嬉しいなと、勝手ながら妄想しています。

たとえば、「ドライブ名の拡張子が」「自社以外のアドレスのユーザーを招待してはいけない」と自然言語で書いておけば、AIが95%程度の正解率で判定してくれてWARNINGを出してくれるだけでもルールの社内適用がしやすくなります。

LLMの前の時代では難しかった自然言語で自社の業務ルールを記述するようなことが、今後のAIプロダクトで多く出てきそうだなと想像しています。

また、URLのパラメータでBakurakuのフォーム内容を埋める事ができたら、自動でフォームを埋めるようなアプリケーションが作りやすくなって拡張性が広がりそうだと感じています。

課題とこれから

AIを活用した社内ツール開発は今後さらに広がっていくと思います。そのときに重要なのは コストとセキュリティのガードレール を引くことです。
エンジニア以外の人でもシステムを作れるようになるからこそ、リスクをコントロールする仕組みを整える必要があります。
私の所属する Corporate Engineering グループ では、社内のAI Native化を推進するにあたり、この「ガードレール作り」と「内製ツールの効率化」を両立させていきたいと考えています。

さいごに

このChrome拡張はまだ社内リリース前ですが、近日中に展開予定です。

私が Head をつとめる Corporate Engineering グループでは、AIの社内適用やそのガードレールづくりをはじめ、様々な社内のIT基盤をエンジニアリングの力で安定的に運用できるようにしていきたいと考えています。

興味がある方、ぜひ Corporate SRE として一緒に取り組みましょう。
https://herp.careers/v1/primenumber/mLveddJUpVFp

皆さんも、自社の業務をもっと「バクラク」にするChrome拡張を作ってみてはいかがでしょうか。

P.S.

Googleカレンダーのメールアドレス インクリメンタルサーチ相当に検索できてメールアドレスをコピーできるChrome拡張をつくったところ、便利すぎて愛用しています。

社内公開も検討中で、完成度が高まればChrome ウェブストアでの公開も考えたいと思っています。

株式会社primeNumber

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