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Snowflake Summit 2025 Day3 レポート: Builders Keynote

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はじめに

お世話になっております。primeNumberの庵原です!
この記事ではSnowflake Summit 2025のDay3での Builders Keynoteで発表された内容や様子について現地で見たもの聞いたものを速報形式でまとめてお送りいたします!

大枠の方針について

Builders KeynoteはSnowflakeに関わる技術者向けの基調講演であり、今回はDay1, Day2と引き続きAIやそれに関連するエコシステムの強化・進化について触れるトピックが大半を占めていました。

AIによるソフトウェア開発ライフサイクルの再定義

  • AIは計画、開発、テストといった従来のソフトウェア開発ライフサイクルの各フェーズに影響を与えており、Snowflakeはこれに対応するため、データアーキテクチャの重要性を強調し、「Architect」という新しいステージをライフサイクルに追加しました。
  • 72%の組織が年内に特定のタスクを自律型エージェントに引き継ぐことを見込んでおり、AIは無視できない存在となっています。

Agentic Analytics と Cortex AI プラットフォーム

  • データチームは、LLM(大規模言語モデル)を活用した「Agentic Analytic Systems」へと移行しつつあります。 これにより、LLMは単なる会話だけでなく、ツールを使用してタスクを実行し、意思決定を行うことが可能になります。
  • Snowflake Intelligenceは、組織内の誰もがエージェントと連携できる新しいUIレイヤーです。 これは堅牢なCortex AIプラットフォーム上に構築されています。
  • Cortex Search APIは、Snowflake独自のArctic embedモデルとハイブリッド検索ランキングによって強化され、高精度かつ効率的な検索を実現します。 Arctic embedモデルはオープンソースとしても公開されています。

開発者向けツールの強化

  • Streamlit in Snowflake: AWSとAzureのプライベート接続で一般提供が開始されました。 ファイルアップロード、カメラ入力、カスタムコンポーネント(パブリックプレビュー予定)など、多くの機能が利用可能になります。 また、Streamlit運営委員会が発足します。
  • Snowflake Notebooks: AWS、Azure、GCPで一般提供が開始され、プライベート接続もサポートされます。 コンテナランタイムをサポートし、高度なデータサイエンスや機械学習ワークロードに対応します。
  • Snowflake Workspaces: ファイル全体を扱うためのワンストップUIで、SQLサポートの向上、DBTプロジェクトとの連携、外部Git連携、インラインCopilot(AIによるコード支援)などの機能を提供します。

データアーキテクチャの進化とオープンスタンダード

  • 非構造化データとストリーミングデータ: Document AIにより、ドキュメントからデータを抽出し、構造化テーブルに変換できるようになります。 Open Flowにより、リアルタイムでAIモデルやアプリケーションにデータ供給可能なパイプラインを構築できます。
  • Apache Icebergへのコミットメント: SnowflakeはIcebergとの統合と貢献にコミットしており、管理対象・外部管理対象のIcebergテーブルをサポートします。 最近finalizedされたIceberg V3テーブル仕様のデータ型(Geo系、Variantなど)もサポートします。

AI推論の時代 (Age of AI Inference)

  • AIモデルの選択肢はますます重要になり、SnowflakeはOpenAIやMetaなど、多様なモデルをSnowflake内で利用可能にしています。
  • 推論パフォーマンス向上のため、オープンソース標準であるvLLMとDeepSpeedに投資しており、これらはPython Foundationの支援を受けています。 Snowflake CortexはvLLMを内部で実行し、Arctic Inferenceプラグインによりレイテンシ4倍、スループット2倍の改善を実現しています。
  • OpenAI互換エンドポイントを提供し、既存のOpenAI SDKワークロードをわずか3行のコード変更でSnowflake Cortex上で実行可能にします。

気になったトピック

AIによる開発の根本的変革

DevOpsのデータ版であるDataOpsに関連する内容として、AIによるデータ基盤開発の根本的な改革が行われる旨が基調講演全体を通じて最も強調されたテーマであり、AIが単なるツールではなく、開発プロセスそのものを再構築する力を持っていることが示されました。

写真にあるように、データアーキテクチャの重要性が増し、「Architect」フェーズが新たに提唱された点が特に気になったポイントでした。

Agentic Analyticsの台頭とCortex AIによる実現

LLMを活用した自律型エージェントが、データ分析の効率化やビジネスユーザーによる直接的なデータ活用を可能にし、データチームはより戦略的な業務に集中できるようになるというビジョンが提示されました。

これを支えるSnowflake IntelligenceとCortex AIプラットフォームの機能強化は、今後のデータ活用のあり方を大きく変える可能性を秘めていると感じました。

今まではそれぞれ強力な機能として個別に発表されていたCortexエコシステムが、今年のSummitの発表によって改めて「エコシステム」としての統合性・統一性が強固となっており、昨日から私が勝手に単語として利用している「箱だしで使える」の部分が強力で、価値の創出のための活動に注力できるようにSnowflakeが環境を整えてくれている、と感じています。

オープンスタンダードへの強いコミットメント

Apache Icebergへの深い関与や、vLLM、DeepSpeedといったオープンソース技術への投資は、Snowflakeが特定の技術にユーザーをロックインするのではなく、業界標準との相互運用性を重視し、エコシステム全体の発展に貢献しようとする姿勢の表れを感じました。
ユーザーは将来にわたって柔軟性の高いアーキテクチャを構築し続けるための土壌がSnowflake上で用意されている、というメッセージ性も強く感じるポイントです。

開発者体験の継続的な向上

Streamlit、Notebooks、Workspacesといったツールの一般提供開始や機能拡充は、Snowflakeが開発者の生産性向上を重視していることが見て取れます。

個人的にはSnowflake × dbtの文脈のWorkspacesの利用可能になった部分が特に気になりました。イベント内でサイネージ広告としてdbtが出していたメッセージである「AI runs on Data」の部分で、特に構造化データ文脈でのAIに対するデータの整備は引き続き重要視されており、それを実現するためのdbtとの連携強化は、1データエンジニアとしても1つの大きな山場にいると感じてしまうほどの内容でした。

Day1からDay3のKeynoteから感じたこと

AIによる環境の圧倒的強化

Snowflake Summit 2025の3日間のkeynoteを通して、Snowflakeの「AI Data Cloud Companyへの進化」という強い意志が一貫していました。
これは単にAI機能を追加するというレベルではなく、データ基盤からアプリケーション開発・実行、そしてAIモデルのトレーニングと推論まで、データとAIに関するあらゆるワークロードをSnowflake上でシームレスに完結させることを目指すものだと考えています。

感じたこと:

  • AIの民主化と高度化と遍在化
  • Cortex AIエコシステムの成熟と「箱だしで使える」AI
  • 構造化・非構造化の形式とバッチ・ストリーミングの入り方を問わないデータの完全利用

開発者・利用者第一のエコシステム

Snowflakeが目指す「AI Data Cloud Companyへの進化」の核となるのは、開発者がイノベーションを迅速に実現できる「エコシステム」の構築です。データとAIに関するあらゆるワークロードをSnowflake上でシームレスに完結させるという目標は、開発者が直面する障壁を取り除き、創造性を最大限に発揮できる環境を提供することによって達成されると考えていると邪推しています。

感じたこと:

  • Snowflakeとパートナー企業とのシームレスなワークロード
  • AI利用による利活用障壁の最小限化
  • 信頼とセキュリティに裏打ちされたデータコラボレーション

相互運用性の重視

Snowflakeが「AI Data Cloud Companyへの進化」を遂げる上で、特定の技術へのロックインを避け、オープンな標準技術との「相互運用性」を重視する姿勢は、ユーザーに長期的な安心感と柔軟性をもたらします。データとAIに関するあらゆるワークロードをSnowflake上でシームレスに完結させるという目標は、閉じたエコシステムではなく、業界標準と協調し、より広範な技術スタックとの連携を可能にすることで実現されると考えられます。

  • Apache Icebergへの本気度とオープンフォーマット戦略
  • オープン性と相互運用性による柔軟なアーキテクチャ
  • 大規模言語の利用平坦化による価値創出を完全目標にした環境の提供

まとめ

3日間のKeynoteのまとめはいかがでしたでしょうか?
2022年のChatGPTの隆盛から始まったAIカオス時代に1つの終止符を打つくらいのまとまったエコシステムの用意が感じられる2025年のSnowflake Summitでした!

Keynote以外にも引き続きSession情報などもアップロードしていきます!そちらもお楽しみに!!

Day1, Day2の内容をまだご覧になられていない方はぜひこちらもご覧いただけますと幸いです!

https://zenn.dev/primenumber/articles/5336d62f90d7f0

https://zenn.dev/primenumber/articles/cbe681c4c958c5

株式会社primeNumber

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