プロダクト開発におけるAI Native推進のこれまで
こちらは primeNumber AI Native Summer Calendarの記事です。
本日の担当は、CTO の kekekenta (@kekekenta) です。
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はじめに
私たちprimeNumberでは、社内の業務においてAIが活用されている状態を AI Native という言葉で定義しています。
現在は、プロダクト開発やコーポレート領域におけるAI Native化を積極的に進めています。
この記事では、プロダクト開発におけるこれまでの現在の取り組みをご紹介したいと思います。
プロダクト開発 における AI Native プロジェクトのスタート
2025/05の全社半期キックオフでプロダクト開発のAI Native化を宣言し、2025/06からプロジェクトが始動しました。
AI Native Level 表の定義
まず、ゴールをの目線を揃えるために、AI Nativeのレベルを段階で定義しました。
現在地:LEVEL2
AIを補助的なツールとして活用し、開発効率を向上させている段階
目指す場所:LEVEL4
エンジニアはほぼ自分でコードを書かず、AIが自律的に開発を進める段階
大胆な目標を掲げ、組織全体で取り組みを進めています。
では、6月からの2ヶ月間で実際に行ってきたことを紹介します。
具体的な取り組み
1. 予算確保と環境整備
プロダクト開発における AI Native 化予算として、月[非公開]万円を確保しました。
また、予算を取った4月当初はCline x AWS Bedrock API を前提としていましたが、最終的にClaude Code MAXをエンジニア全員に配布することを決定しました。
ご存知の通り 定額制である Claude Code MAX の導入により、エンジニアのマインドセットが大きく変化し、AIを活用した開発への抵抗感が大幅に減少しました。
2. AI Native Champion
CTO室には、CTO、室長(@gtnao)、エンジニアの合計3名が在籍しています。
一方で、プロダクト開発のソフトウェアエンジニアはTROCCO 3チーム、COMETA 1チームに分かれており、開発の内容や手法も異なっています。
CTO室をハブにAI Native化を進めるよりも、各チームの中から推進してもらったほうが適切と考え、各チームからチームのAI Nativeを推進する AI Native Champion を立ててもらい、CTO室と一緒にプロジェクトを推進することにしました。
彼らが中心となり、週次で状況をsyncしつつ、LEVEL 4に向けて進めていきました。
3. Try it quicklyの精神で様々な施策を実施
プロダクト開発では、 Try it quickly (はやく試す)ことをテーマにしています。
AI は、考えるよりも実際に色々試して課題が見つかることが大半なので、プロダクトの開発プロセスにおいて様々試していきました。
メモリファイルの拡充
AIエージェントがプロダクトを理解して開発を行うため、メモリファイル(Claude.mdなどのAIエージェント向けファイルの総称)の拡充を行いました。これにより、AIがプロダクトのコンテキストをより深く理解し、適切なコード生成が可能になりました。
その他の取り組み
今回のサマーカレンダーの他の記事で、実際に取り組んだ内容をいくつか紹介しますので、お楽しみに!
4. CTO室長による実証実験
レベルを上げるにあたっての大きな取り組みの一つが、CTO室の室長による「自分で一切コードを書かずにAIだけで開発する」ことでした。
TROCCO では、環境管理機能という機能を開発しています。
これは、DWHをステージング、本番で環境をわけるようなデータパイプラインにおいても、設定の重複管理が不要になるような機能です。
このプロジェクトは室長がリードしており、環境管理機能を一切コードを書かずに開発することに取り組みました。
自らコードを書いたり修正したい欲を抑え、とにかく自然言語のみで開発を進めるという取り組みでした。
そこで得られた知見や課題は室長のサマーカレンダー記事で紹介されると思いますので、こちらもお楽しみに。
5. AI Native Day の開催
室長の取り組みをうけ、プロダクト開発のメンバーがAIだけでコードを書く体験をする「AI Native Day」を開催しました。
【コードの手書きは禁止!?】社内イベント AI Native Day開催レポート|かたもと
この取り組みにより:
- AIを使った開発のマインドセットを全員で共有
- 実際の体験を通じて、可能性と課題を理解
が得られました
6. 全社月次集会での発表
全社の月次集会で、自社のAI Nativeの現在地について発表を行いました。
自組織でのAI活用を進めるために、まずはAIへの理解とプロダクト開発がAIで大きく変わろうとしていることへの全社理解を促進する必要があると考え、50分時間をもらうことにしました。
発表は対談形式で行い、登壇者はCTOの私と、CTO室室長に加え、HRの2名で行いました。
技術的な話を一方的に喋っても多職種との理解が埋まらないことが考えられたため、HRの2名に理解度を調整する潤滑油として適宜突っ込んでもらったり、HRや多職種に当てはめるとこういうこと?みたいな質問をもらって対話する形式で進めました。
職種混ぜての対談ははじめての取り組みでしたが、AIに関する理解が深まった、と社内でも好評でした。
primeNumberでは8 Elements という 8つのバリューを定めており、そのひとつに「対話を力に」が定義されています。
今回は異なる立場の対話を通して相互理解を深め、新しい気付きを得るきっかけにもなりました。
primeNumberのバリュー"8 Elements"をご紹介します 前編|株式会社primeNumber
プロダクト開発以外にもHRや情シス領域のAI Native化も進めており、この分野の取り組みもまた紹介したいと思います。
現在地
AI Native 化を始めた2か月前に比べ、社内のプロダクト開発は大きく変わってきています。
エンジニアが当たり前のように AI を使う、AIを前提に考えるようにマインドが変わってきたことは非常に意義のあることだと思います。
開発のスピードという観点では、特にプロトタイプや、既存の開発であっても80%まで持っていくのはAIが圧倒的に速い状況になりました。
残りの20%をのぼる部分はまだまだエンジニアが手でやったほうが速く、そこをどう解決していくかが今後の課題です。
一方で、80%であってもリリースできるような社内ツールなどは、すでにLEVEL 4の状態まで来ています。社内でもいくつかのChrome拡張が作られたり、活用が広がり始めています。
これまでは社内ツールにエンジニアリングリソースを割くのは優先度の観点で難しい部分もありましたが、AIにより優先度の定義が根幹から変わる領域があると感じています。
今後の展望
AI Nativeの追求を継続
primeNumberでは、AI Nativeを追求し続けます。CTOとして、とにかく「try it quickly」の精神で試し、さまざまな選択肢と方向性を考えることが最も重要なミッションだと考えています。
組織体制の強化
primeNumberでは、8月からVPoE(VP of Engineering)が新しく誕生しました。
CTOはより経営と技術ベースに集中できるようになり、今回のプロダクト開発における AI Native の取り組みも推進できました。
また、8月から新しくコーポレートエンジニアリンググループを新設し、CTOの私がヘッドを努めています。情シス、セキュリティスペシャリスト、Corporate SRE が所属し、次の項目を推進していきます。
全社における AI Native Scalingの推進
新設されたコーポレートエンジニアリンググループでは、以下を推進していきます。
- KEEP COMPANY RUNNING:企業活動の維持のための運用・セキュリティ
- WIN ENTERPRISE TRUST:上場基準のセキュリティの実現により、大手企業含めた信頼を獲得する
- AI Native Scaling:全社の生産性をAIで向上(CTO室のリソースも活用)
全社の AI Native Scaling については、また別の記事で紹介できればと思います。
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興味を持っていただいた方は、ぜひご連絡ください。一緒にAI Nativeな未来を一緒に作っていきましょう。
まとめ
AI Nativeへの転換は、単なるツールの導入ではなく、組織全体のマインドセットの変革だと感じています。私たちは、LEVEL4の達成を通し顧客価値を最大化するべく、着実に進んでいきます。
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