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Snowflake Summit 2025 Day2 レポート: FUTURE OF MANUFACTURING IoT/OT/AI

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はじめに

お世話になっております。primeNumberの庵原です!
この記事ではSnowflake Summit 2025のDay2でのセッション"FUTURE OF MANUFACTURING IT, OT & Al CONVERGENCE For Smarter Products & Supply Chains"で発表された内容や様子について現地で見たもの聞いたものを速報形式でまとめてお送りいたします!

セッション概要

製造業DXの課題とSnowflakeの役割

現代の製造業は、サプライチェーンの複雑化と脆弱性、スマートマニュファクチャリングへの移行による生産現場の変革 、そしてIoTデバイス等を活用したコネクテッドプロダクトから生まれる膨大なデータの活用という、大きな課題と機会に直面しています。

本セッションでは、これらの課題を克服し、よりスマートな製品開発と効率的なサプライチェーンを実現するための鍵として、IT(情報技術)、OT(運用技術)、そしてAI(人工知能)の融合が不可欠であると強調されました。そして、この融合を強力に推進するプラットフォームとして、SnowflakeのAIデータクラウドが中心的な役割を担うことが示されていました。

目玉ポイント

1. 製造業DXの核心「IT/OT/AI融合」の具体像とSnowflakeのソリューション

単なる概念に留まらず、SnowflakeがいかにしてITデータとOTデータを統合し、そこにAIを組み合わせることで、製造現場にインテリジェンスをもたらすか、その具体的なアプローチが示されました。

2. 「AI Data Cloud for Manufacturing」の全貌とエコシステムの力

Snowflakeが提供する製造業向けAIデータクラウドは、単なるデータ保管庫ではなく、データ収集・統合から、分析、AIモデル開発・運用、アプリケーション連携、そしてSnowflakeマーケットプレイスを通じた業界特化データやソリューションの活用まで、エンドツーエンドでサポートする強力なエコシステムが紹介されました。

3. グローバル企業によるSnowflake導入事例と驚きの成果

Honeywell:

サプライチェーンのパフォーマンスを劇的に改善。リアルタイムでの需給調整、在庫可視化、インフレ対応価格設定などを実現。

ConocoPhillips:

スマートプロダクションにおけるデータ活用を推進。レガシーシステムからの脱却、レポーティング時間の大幅短縮 (50%削減との言及も)、AIイノベーションを加速。

Penske Logistics:

AIを活用したフリート管理の高度化。複雑なB2Bサプライチェーンの可視性を向上させ、AI活用に向けたデータ基盤を構築。

4.生成AI(Generative AI)を含むSnowflakeの最新イノベーションへの期待

Snowflake Cortex など、自然言語でデータと対話できるような生成AI関連の機能拡張は、専門家でなくてもAIの力を引き出せる可能性を示唆しており、製造業における新たな活用シーンを予感させました。

各企業における事例について

このセッションでは各グローバル企業によるSnowflake導入事例が赤裸々に公開されている部分が特に価値のあるパートでした。そちらについて1企業ずつまとめていきましょう。

Honeywell:Snowflakeによるサプライチェーン変革

1. 今までの課題

Honeywellは114年の歴史を持つグローバルな複合企業ですが、データ活用においては以下のような多くの課題を抱えていました。

  • 複雑で断片化したデータ環境:
    • 多数のレガシーシステムが存在
    • データがサイロ化し、ビジネスユニット間で定義の一貫性がなかった
    • 2021年当初、40もの異なるERPインスタンス(主にSAPだが、Oracleやその他のレガシーシステムも混在)を抱えていた。
  • インサイトの欠如と非効率なプロセス:
    • 多くの企業が直面するように、従来のビジネスサイロを横断するデータの可視性やインサイトが不足していた。このサイロは、機能ごとの縦割りプロセスや、それをサポートするアプリケーションシステムに起因していた。
  • 巨大で複雑なオペレーション:
    • 全世界に400以上の製造施設、800の流通センターを持ち、数百万SKUを取り扱うという、極めて複雑なオペレーションを展開していた。

2. ソリューション

これらの課題に対し、HoneywellはSnowflakeをデータ基盤として導入し、以下のようなソリューションを構築しました。

  • データ基盤のモダナイゼーション:
    • 2020年後半にSnowflakeを選定し、2021年初頭から主要プラットフォーム(最初はSAPデータ、続いてSalesforce、ロジスティクスシステムなど)からのデータ移行を開始。
    • Snowflake上にデータクラウドを導入し、ERPやSalesforceを含む基幹システムを統合。
  • 単一の信頼できる情報源 (Single Source of Truth) の確立:
    • 堅牢なデータガバナンスを確立し、調和され、認定された、ほぼリアルタイムの信頼できる情報源を構築。
    • 「アクティブビュープラットフォーム」と名付けたデータマート群を構築し、これをデータ基盤と位置付け。この基盤は、バックログ、収益、発注といった重要なビジネスレポートのための単一システムとして機能。
  • データ活用とAIによる意思決定支援:
    • 構築したデータ基盤上で、予測分析(需要予測、注文予測など)を実行。
    • AIを活用して推奨事項やインサイトを生成し、具体的なアクションを推進。
    • サプライチェーンプランニングと最適化のためのアプリケーションを開発し、プランナーやバイヤー、出荷担当者が在庫状況などに基づいて出荷の優先順位付けといった重要な意思決定を行えるよう支援。
    • 価格設定においては、コモディティのインフレ指数とサプライヤーからのシグナルを組み合わせ、個々のSKUへのインフレ影響を特定し、価格設定の推奨を行っている。

3. 成果

Snowflake導入によるデータ変革は、Honeywellに具体的な成果をもたらしました。

  • サプライチェーンの最適化と効率向上:
    • 350万以上のSKUと5万社のサプライヤーに対して需給を調整できるように。
    • AIアルゴリズムが、収益最大化、在庫削減、バックログ削減、マージン改善といった複数の目標を考慮し、具体的なアクションを推奨。
  • 意思決定の質の向上:
    • インフレ調整済み価格設定など、実用的なインサイトに基づいた、より良い意思決定が可能に。
    • グローバル規模での毎時の在庫可視性が提供されるようになりました。
  • 運用アジリティの向上:
    • 全体的な運用アジリティが向上。
  • 戦略的インサイトの獲得:
    • 外部データ(市場データなど)と内部データを組み合わせた「ストラテジックセグメンテーション」アプリケーションを構築し、市場セグメントごとの自社パフォーマンスを評価できるように。

4. 成果までに大変だったこと

セッションでは、成果に至るまでの困難について具体的な詳細な言及は多くありませんでしたが、以下の点からその道のりが平坦ではなかったことが推察されます。

  • 大規模なデータ統合の複雑性: 40もの異なるERPインスタンスや多数のレガシーシステムからのデータを新しいプラットフォームに統合し、調和させる作業は、非常に大規模かつ複雑であったと考えられます。
  • 継続的な取り組みの必要性: HoneywellのRobbie氏は、「我々がはるか先に進んでいるという印象を与えたくはない」と述べており、この変革がまだ途上にあることを示唆しています 。データ基盤の構築やAIモデルの改善は、一度完了すれば終わりというものではなく、継続的な努力と改善が求められる領域です。

5. 事例から見える重要性

Honeywellの事例は、製造業におけるデータ活用の重要性について多くの示唆を与えてくれます。

  • データサイロの解消と「単一の信頼できる情報源」の確立: 企業全体のデータを統合し、信頼できる唯一の情報源を構築することが、データドリブンな意思決定の基盤となります。
  • リアルタイムに近いデータ可視性の価値: サプライチェーンや在庫状況などをリアルタイムに近い形で把握できることは、迅速な対応と運用効率の向上に不可欠です。
  • AI/MLによる具体的なビジネス価値の創出: データ基盤の上にAIや機械学習モデルを構築することで、予測分析や最適化、具体的なアクションの推奨といった高度な活用が可能になり、収益向上やコスト削減に直結します。
  • 複雑なオペレーションにおけるデータとAIの力: Honeywellのような巨大で複雑なサプライチェーンを持つ企業でも、データとAIを適切に活用することで、大幅なパフォーマンス改善が実現できることを示しています 。
  • 内部データと外部データの組み合わせ: 自社のデータだけでなく、市場データやインフレ指数といった外部の情報を組み合わせることで、より深い洞察と戦略的な意思決定が可能になります。
  • スケーラブルで柔軟なデータプラットフォームの選択: HoneywellがSnowflakeを選んだ理由の一つとして、そのスケーラビリティと柔軟性が、このような大規模なデータ変革プロジェクトを技術的に支える上で重要であったと考えられます。

このHoneywellの事例は、多くの製造業にとって、データとAIを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進する上で、貴重な指針となるような事例のように感じました。

ConocoPhillipsの事例:Snowflakeによるスマートプロダクション変革

1. 今までの課題

世界最大級の独立系E&P(探査・生産)企業であるConocoPhillipsは、データ活用において以下のような課題を抱えていました。

  • レガシーシステムとデータのサイロ化:
    • 長年にわたる企業買収の歴史の中で、多くのレガシーなツールやプロセス、そしてサイロ化されたデータが蓄積。
    • 複数の異なるレガシーシステムやデータウェアハウスが社内に乱立している状態。
    • レガシーなオンプレミスシステムが非効率性を生み出し、高コスト体質の原因となっていた。
    • データ統合にも大きな課題を抱えており、特にOT(運用技術)データは、様々なベンダーの階層システムに分散し、統合されておらず、活用が困難になっていた。
  • 分析基盤の限界と高コスト:
    • 従来のオンプレミス環境では、データ分析基盤の拡張に莫大なコストと長い時間を要していた。
    • 既存のITシステムとOTシステム間のデータ連携は限定的で、包括的な分析が難しい状況。

2. ソリューション

ConocoPhillipsはこれらの課題を解決するため、データプラットフォームのモダナイゼーションに着手し、Snowflakeをその中核に据えました。

  • Snowflakeへの移行とデータ基盤の最新化:
    • 複数の製品を評価した結果、Snowflakeの持つ「シンプルさ、透明性、そして水平・垂直方向へのスケーラビリティ」を理由に選定。
    • ERPシステムのモダナイゼーションと並行して、Snowflakeへのデータ移行を開始。
    • Snowflakeへ移行し、統合されたデータを通じてIT/OTコンバージェンスを実現。
  • IT/OTデータの統合と一元管理:
    • これまでサイロ化していたOTデータ(生産現場のセンサーから得られる時系列データなど)を、HighByteのようなパートナーソリューションも活用しながらSnowflakeに取り込み、一元的に管理できるように。
      • 全世界6大陸にまたがる操業拠点からのOTデータを、単一のデータモデルで統合することに成功。
  • エコシステムの活用とML/AIの導入:
    • Snowflakeマーケットプレイスや、HighByte、Cogniteといったパートナー企業のソリューションを活用し、データ取り込みや分析の効率化を図った。
    • セキュアなデータ共有環境を通じて、機械学習(ML)や人工知能(AI)を活用した高度な分析やイノベーションを推進。

3. 成果

Snowflakeを導入し、データ基盤を刷新したことで、ConocoPhillipsは以下のような顕著な成果を上げています。

  • レポーティングと分析の高速化・効率化:
    • レポーティングにかかる時間を大幅に短縮。
    • 従来は数週間かかっていたような分析が、数日で完了できるケースも出てくるなど、価値実現までの時間が大幅に短縮。
  • コスト削減とプラットフォーム機能の向上:
    • データプラットフォームにかかるコストを50%削減することに成功。
    • プラットフォーム全体の機能が向上し、より多くのユーザーがデータにアクセスしやすくなった。
  • イノベーションの加速と意思決定の質の向上:
    • AIイノベーションを推進するためのリアルタイムなインサイトをチームに提供できるように。
    • 統合されたIT/OTデータを活用することで、予測メンテナンスや生産最適化といった、より高度な分析や意思決定が可能に。
    • 全世界の操業データへ容易にアクセスできるようになったことで、よりデータに基づいた的確な意思決定をサポート。
  • パートナーとの連携強化:
    • Snowflakeのデータ共有機能を活用することで、例えば掘削効率の最適化といった目的で、パートナー企業との安全かつ効率的なデータ共有が可能に。

4. 成果までに大変だったこと

セッションでは具体的な苦労話の詳細な言及はありませんでしたが、プロジェクトの規模や性質から以下の点が推察されます。

  • 大規模なデータ移行と統合の複雑性: 長年にわたりサイロ化し、異なるフォーマットで蓄積されてきた膨大な量のレガシーシステム(特にOTデータを含む)からのデータを新しいプラットフォームへ移行し、統合・調和させる作業は、技術的にも組織的にも大きな挑戦であったと考えられます。
  • ITとOTの文化・システムの融合: IT領域とOT領域では、データの扱い方やシステムに対する考え方、さらには組織文化も異なる場合が多く、これらのデータを統合し、共通の理解と価値観を醸成するには多大な努力を要した可能性があります。
  • 変革への継続的な取り組み: Stefan Chronicle氏は、現状を「旅の始まりに過ぎない」といった趣旨で語っており、このデータ変革が一度きりのプロジェクトではなく、継続的な改善と進化を伴う長期的な取り組みであることを示唆しています。

5. 事例から見える重要性

ConocoPhillipsの事例は、特にエネルギー業界や重工業におけるデータプラットフォームのモダナイゼーションの重要性について、多くの示唆を与えています。

  • IT/OTデータ統合の戦略的価値: スマートプロダクションやインダストリー4.0の実現において、ITデータとOTデータを統合し、横断的に分析できる基盤を構築することが不可欠です。
  • クラウドネイティブなデータプラットフォームへの移行効果: レガシーなオンプレミスシステムから、Snowflakeのようなクラウドネイティブな最新データプラットフォームへ移行することが、コスト削減、運用効率の向上、そして何よりもビジネスの俊敏性を高める上で極めて有効です。
  • データの民主化とイノベーションの促進: 必要なデータに、必要なタイミングで、より多くの従業員がアクセスできるようになる「データの民主化」が、現場レベルからのイノベーションを促進します。
  • エコシステムの戦略的活用: データ取り込みツールや業界特化型の分析ソリューションなど、Snowflakeを取り巻くパートナーエコシステムを戦略的に活用することが、デジタルトランスフォーメーションを加速させる上で重要です。
  • 「シンプルさ」と「使いやすさ」の追求: ConocoPhillipsがSnowflakeを選定した理由の一つとして挙げた「シンプルさ」は、高度な技術を持つ専門家だけでなく、より幅広いユーザーによるデータ活用を可能にし、企業全体のデータリテラシー向上にも繋がります 。
  • セキュアなデータ共有による新たな価値創造: 社内外のステークホルダーと安全かつ容易にデータを共有できる機能は、新たなビジネスチャンスの創出や、サプライチェーン全体での最適化といった、より広範な価値創造に貢献します。

ConocoPhillipsのような巨大なエネルギー企業が、データ基盤のモダナイゼーションを通じて大きな変革を達成している事実は、他の多くの企業にとって、データドリブンな未来への確かな道筋を示すものと言えるでしょう。

Penske Logisticsの事例:SnowflakeとAIによるフリート管理とサプライチェーン変革

1. 今までの課題

大手物流企業であるPenske Logisticsは、データ活用とAI導入において、以下のような課題に直面していました。

  • 複雑なサプライチェーンにおける可視性の欠如:
    • 複雑なB2Bサプライチェーンを抱えており、これが独自の可視性の課題を生んでいた。
    • 従来のシステムでは、倉庫管理システム(WMS)や輸送管理システム(TMS)といった個々のシステム内ではデータが見えても、それらを横断したエンドツーエンドの可視性が不足していた。
  • AI導入とチェンジマネジメントの困難さ:
    • AIモデルを構築すること自体は比較的容易でも、それを実際の業務にデプロイし、従業員の行動変容を促すといったチェンジマネジメントの部分が大きな挑戦だった。
    • 経営層の承認やスポンサーシップの獲得、そしてマーケティング部門など関連部署との連携も、AIプロジェクトを推進する上で乗り越えるべき課題だった。
  • 組織内でのデータ活用と意思決定:
    • 企業全体でデータを効率的に活用し、インサイトに基づいた迅速な意思決定を行うための仕組みが求められていた。

2. ソリューション

Penske Logisticsはこれらの課題に対し、Snowflakeをデータ基盤の中核に据え、AI活用を推進するためのソリューションを構築しました。

  • Snowflakeによるデータ基盤の確立:
    • Snowflakeデータ基盤を構築し、これにより迅速な技術導入とAIモデルの開発(Snowparkを活用)が可能に。
    • データサイエンス、データエンジニアリング、ビジネスインテリジェンスの各チームがこの基盤上で連携し、データ活用を推進。
  • サプライチェーン可視化プラットフォームの構築:
    • 統一されたインサイトを得るために、Snowflake上に独自の「Visibility Platform」を構築。
  • AIと機械学習の積極的な活用:
    • テレマティクスデータ(車両からリアルタイムに収集されるデータ)などを活用し、例えばドライバーの安全行動を分析・改善するためのアプリケーションを開発。
    • GenAI(生成AI)を活用して予測モデルを強化し、より高度な分析を実現。
    • 企業全体でデータへ効率的にアクセスできる環境を整備し、AIと機械学習アプリケーションを構築することで、生産性と収益性の向上を目指す。

3. 成果

SnowflakeとAIを活用した取り組みにより、Penske Logisticsは以下のような具体的な成果を上げています。

  • AI活用の準備体制(AI Readiness)の確立:
    • AIを活用するためのデータ基盤と組織体制を整え、「AIレディネス」を達成。
  • データプラットフォームの進化:
    • 中央集権化され、新しいアイデアやモデルを迅速に試すことができる、実験に適したデータプラットフォームを構築。
  • 価値実現の迅速化とサプライチェーン可視性の向上:
    • アジャイルなプロセスを通じて、アイデアから実際のビジネス価値が生まれるまでの時間を短縮。
    • 完全なサプライチェーン可視性を備えたB2B貨物追跡システムを実現。
  • 安全性の向上と課題解決への貢献:
    • ドライバーの安全行動に関する具体的なインサイトを現場のマネージャーに提供することで、ターゲットを絞ったコーチングや安全対策プログラムの実施を可能にし、事故削減などの安全性向上に貢献。
    • AIを活用して、物流業界における長年の課題であるドライバーの離職率といった問題にも取り組んでいる。
  • 業務効率と予測可能性の向上:
    • 最終的な目標として、チームメンバーがよりスマートに業務を遂行し、ビジネスの予測可能性を高めることを目指す。

4. 成果までに大変だったこと

セッションでは、Karim Khimani氏がAI導入プロジェクトにおける一般的な困難さについて語っており、Penske Logisticsも同様の課題に直面した可能性が示唆されます。

  • モデルの運用と行動変容の促進: 開発したAIモデルを実際の業務プロセスに組み込み、従業員に受け入れさせ、行動を変えさせることは、技術的な課題以上に大きな挑戦。
  • 経営層のスポンサーシップの重要性: 特に大きな変革を伴う場合、経営層からの強力な支持と理解がなければプロジェクトの推進は困難。
  • ビジネス部門との連携: AIプロジェクトは技術部門だけで完結するものではなく、実際にそのAIを活用するビジネス部門を早期段階から巻き込み、「共同所有者」としてプロジェクトを進める必要があった。
  • 成功の定義と初期の成功体験: 明確な成功の測定基準を設定し、小さな成功体験(Quick Wins)を積み重ねていくことで、プロジェクトへの信頼とモメンタムを維持することが重要でした。
  • エンドユーザーの声の反映: 技術者やデータサイエンティストの視点だけでなく、実際にツールを使う現場のエンドユーザーの声に真摯に耳を傾け、彼らが本当に使いやすい、役立つソリューションを開発することが求められました。

5. 事例から見える重要性

Penske Logisticsの事例は、物流業界におけるデータとAI活用の重要性について、多くの貴重な教訓を含んでいます。

  • エンドツーエンドのサプライチェーン可視化の実現: 複雑な物流ネットワークにおいて、全体を俯瞰できる可視性を確保することが、効率化とリスク管理の第一歩です。
    AI活用の前提としての堅牢なデータ基盤: AIや機械学習モデルを効果的に活用するためには、まず信頼性が高く、アクセスしやすいデータ基盤を整備することが不可欠。
  • 技術と組織両面からのアプローチ: AI導入プロジェクトの成功には、優れた技術だけでなく、組織的なチェンジマネジメント、関係各部門との緊密な連携、そして経営層のコミットメントが不可欠。
  • 段階的な展開と成功体験の積み重ね: 大規模な変革を目指す場合でも、まずはパイロットプロジェクトで小さな成功を収め、その学びを活かしながら段階的に展開していくアプローチが有効。
    現場主義とユーザー中心のソリューション開発: 実際にソリューションを利用する現場のユーザーを開発プロセスに巻き込み、彼らのニーズやフィードバックを製品に反映させることが、導入後の定着と効果の最大化に繋がる。
  • コネクテッドアセットデータの活用価値: 車両などから得られるテレマティクスデータを分析することで、安全性向上、効率改善、コスト削減など、多岐にわたるビジネス価値を創出できることを示している。
  • Snowflakeのようなプラットフォームの役割: データの一元管理、迅速なモデル開発環境の提供(Snowparkなど)、そして最終的なAIレディネス達成を技術的に支援するプラットフォームの重要性が浮き彫りになりました。

Penske Logisticsの先進的な取り組みは、データとAIを駆使して物流業界の未来を切り拓こうとする他の企業にとって、大いに参考になるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
グローバル規模のサプライチェーンを行う企業の規模ならではの運用負荷やコストの管理の難化をいかに解決するかが学べる非常に良いセッションでした。
引き続き参加したSessionの内容等をアップしますので、是非そちらもご覧いただけますと幸いです!

株式会社primeNumber

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