はじめてのOST(参加者駆動型カンファレンス)
この記事はPREVENTアドベントカレンダー7日目の記事です。
こんにちは。株式会社PREVENTでプロダクトマネージャーをやってるKです。PREVENTでは定性リサーチに強みのある私と、DSを生業とし定量リサーチに強みを持っているもう一名のPMの2名体制で、PMチームを構成しています。
PMは私が1人目PMとして2年前に作ったポジションであり、体制は徐々に整ってきていますが、まだまだPMメンバーも少ないため、外部の勉強会に参加して、インププットをする機会も多いです。
この記事では、先日参加したProduct Manager Conference2024の中で開催されていた、OST(参加者駆動型カンファレンス)について紹介していきます。
OSTとは
OST(Open Space Technology)とは参加者駆動型のカンファレンスです。
「実行したいアイデア」「解決したい課題」「探求したいテーマ」などを参加者が提案しアジェンダをつくり、それに賛同する人が集まって話し合うワークショップ手法です。
今回参加したOSTをざっくり説明すると、話し合いたいテーマを参加者がその場であげて全体に簡単にピッチし、各テーマごとに設置される分科会に興味を持った参加者が集まり、対応を行うという形式で行われました。一般的なOSTの構成は以下の通りです。
通常のディスカッションと異なるのは、「移動性の原則」のもと開催され、参加者は「蜂」や「蝶」になるという点です。
参加者はこの原則のもと、「蜂」や「蝶」になり興味のあるテーマがあれば参加し、なければブラブラしたり、空いているテーブルで別の話をしてよいため、参加者の主体性に任された形でディスカッションが行われます。
各分科会のファシリテーターも、テーマに情熱を持った参加者が自主的に対話する場を作ることを信じ、任せることで、創造的なアイデアが生まれると考えられています。
OST参加体験談
今回私が参加したPmConference2024のOSTの流れを簡単にまとめます。
1.オープニング
まずOSTのオープニングとして、どのようにOSTを進めるのかについてのデモが行われました。
2.分科会テーマの提案
話したいテーマがある参加者は紙に自分のアイデアを書いてまとめて、舞台上に登壇し、テーマに関するピッチを行います。1人体感1分くらいでした。
3.マーケットプレイス
テーマの提案終了後に、事前に設定されている分科会の時間枠にテーマが振り分けられ、掲示されます。
参加者はマーケットプレースに掲示されたテーマから、興味があるものを見つけ、参加する分科会を決めます。
4.分科会
時間になったら、ホストが集まってきた人を集合させ、分科会を開催します。
分科会開始後、前述した移動性の原則に従い、参加者は「蜂」や「蝶」になり、興味関心を失ったら別の分科会に移動することが可能です。
例として、私が分科会のテーマとして提案した、「全社員PMインストール計画について 」、「PMのAI利用について」を紹介します。
テーマ1「全社員PMインストール計画」
- テーマの説明
- PMリソースが足りないため、全員がPM的な動きができた方が、部としてのアウトカムを最大化できる。
- PMが一次情報を集め仕様を作り込む形だと、どうしてもトップダウン的なモノづくりに感じてしまう。自分がタスクを創出でき、自己決定し進められる、ボトムアップ提案しやすい組織を作ることで、ワクワクする職場環境を作り、メンバーエンゲージメント率が高められると考えている。
- AI時代のエンジニア、デザイナーには、コーディングやデザイン作成だけではなく、より事業価値創出につながる働きが求められる時代になる。部内のメンバーの長期的なキャリア形成を考える上でも、PM視点をインストールした方が良い。
- 話し合った内容抜粋
- 課題感:PMリソースが足りない、みんなの意識を変えたい、AI時代のエンジニア、デザイナーの価値創出としてPM力が必要
- やれること:PM以外が一次情報にアクセスできるように情報の可視化、トライの質ではなく量を求めて失敗を許容しつつ、トライできる文化をつくる必要がある、PMとの対話を促す仕組みが必要
- 全員PMのジレンマ:100人規模の組織では機能するかもしれないが、意思決定はPMがすべき。500人など大規模な組織の場合は、レポートラインも生まれ、より分業も進むので、プロダクト課題をボトムアップで解決するより、業務効率化など身の回りの課題に取り組んでもらうなど工夫したほうがいいのでは?
- 結論
- PMリソースが足りないという課題感については共感していただいた。
- PM視点を全社員に持っていただいた方が良いが、期待値調整は必要。
- 会社の規模感によりPMインストールしたメンバーに求める期待値は変わってくる。
- まずはPM以外が課題の深掘りや、課題の解決法を提案しやすいような仕組み、文化づくりが必要。
テーマ2「PMのAI利用について」
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テーマの説明
- PM業務の中で、各PMがどのようにAIをつかているのかについて、他社のユースケースを学びたい。
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話し合った内容抜粋
- 今回参加したPMの中で多くの方が同じようなAI利用の方法をしていた。
- 例えば、文字起こし、SQLを書かせる、機能要件をまとめた仕様書のまとめなど、文章のサマライズなど、共通項目として、業務利用としては単純作業にAIを使用しているケースが多かった。
- 単純作業以外に定性業務の分析にAIを利用できないかを話す中で、多くのPMが共通して、AIが分析した内容を信じることができず、定性分析などにAIを使うことは難しいという意見が挙げられた。
- 一方で、ペルソナを作成して、模擬インタビューを行い、その対話をもとに課題感を深めるなどの利用方法も挙げられた。
- 他の使い方としては、GPTsを活用して、一般論などをTeachingしていくことで、特定の範囲においての受け答えをさせて利用しているなどの意見や、AIを使い、面倒な仕様書作成を自動で作成するツールなどができたら面白そうという意見も上がった。
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結論
- PM業務におけるAIの利用方法について、各社ベストプラクティスを探し中。
- PM業務においてAIをどのようにしていくかは別途調査し、まとめていくと面白そう。
5.プロジェクトテーマの提案、6.アクションチームを編成
今回参加したOSTでは、実施されませんでした。
OST参加の振り返り、Tips紹介。
今回初めてのOSTでしたが、ホストとして2つの分科会に参加し、ゲストとして他の人がホストをやっているテーマのディスカッションにも参加しました。今後記事を読んでいる皆さんもOSTに参加する機会があると思うので、参加する際のTipsを少しだけまとめます。
ホストとして
ゲストとして
感想
数百人PMがいる中で、テーマも40くらい上がっていましたが、自分がプレゼンしたテーマに課題感を持った人が集まり、議論を進めることができ嬉しさを感じました。会社の規模感も事業領域も異なる各社のPMの意見を聞くことで、刺激を受けるとともに、実りあるインサイトも得られました。
OSTに関しては、ラフな集まりで議論を進めることができるので、創造的なアイデアが生まれやすいなっと、実際に体感することができました。ただし、ホストとしても、ゲストとしても、議論が発散しすぎ不毛に終わる可能性もあるので、議論を活性化するためにゲストとしても、ホストとしても今回の反省点を踏まえて、参加姿勢を改めていきたいです。
以上、はじめて参加したOSTの体験談でした!
オンラインでも同様のことができるようなので、社内でも実施してみようかな!?ぜひ皆さんも社内でOSTを実施してみてください!
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