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学ぶモチベーションを上げるという幻想

2022/01/18に公開

こんばんは。株式会社プラハCEO兼エンジニアの松原です。

「学ぶモチベーションが下がってきたから、なんとかあげよう!」と頑張る人をよく見る気がするため、モチベーションを上げることよりモチベーションが消費されないよう行動を習慣化することの方が大事ではないか? と思い、この記事を書いてみました。

特に心理学や脳科学的な裏付けがあるわけではないのでただのポエムですが、何か1つ考え方を切り替えるキッカケになれば幸いです。

TL;DR

  • 人のモチベーションは新しいことを始めた瞬間をピークに減る一方
  • 無理にモチベーションを高めようとすると、モチベーションを高めることに依存し始める
  • モチベーションを必要としない習慣に切り替えてしまう方が良い
  • どうやって習慣を作るか

人のモチベーションは新しいことを始めた瞬間をピークに減る一方

人間は基本的にカロリー消費を最小限に抑える行動を選択する生き物なので(食料が滅多に手に入らない数万年前の習慣が未だに脳に刻まれているからだそうです我々はそもそも努力を続けるよう設計された生き物ではない、という前提に立った上で考えていきます。

にも関わらず努力を継続できる個体が居るのは、おそらく豊かな想像力のなせる技ではないでしょうか。

何事も新しく始める時はワクワクしますよね。これをやり通せば自分はどんなふうに変わるだろうかと、努力の果てにある理想系を頭の中に描いてテンションが上がります。他の生物が今この瞬間しか想像できないのに対して、人間は理想状態(未来)を想像して、そこに到達することに喜びを覚える不思議な生き物です。

理想状態に辿り着きたい気持ちこそが本来生物としてありえない行動(生きる上では不要なカロリー消費を継続すること)の原動力、つまりモチベーションになるわけですが、モチベーションは行動する度に消費されていく MP のようなものだと考えた方が良いように思います。

MPを消費しながら毎日勉強を続けると、いつかMPが不足して行動できなくなります。行動できなくなると人は行動しない合理的な理由を考えるようになります。「今は仕事が忙しい」「今日は気分転換の日にしたほうが長続きする」などなど。

本当にそれが勉強できない理由であれば何も問題はありませんが、実際はMPを消費しすぎていることが問題なのに、それが自分の生み出した一見合理的な問題にすり替わってしまうといけません。本来解決しなければいけない問題(MP消費をいかに抑えるか)が未解決のまま残されてしまいます。

一見合理的に見える「やらない理由」は果たして本当にブロッカーなのか?本当はただのMP不足ではないか?と、時々立ち止まって考えてみるのも良いのではないでしょうか。

無理にモチベーションを高めようとすると、モチベーションを高めることに依存し始める

MP が不足した時に多くの方が試みるのは MP を回復すること、つまりモチベーションを高め直すことです。方法は様々で

  • 勉強会に参加する(自分より頑張っている人を見つけることで自分の尻を叩く)
  • 本を買う(せっかくお金をかけたのだから勉強しないともったいない!とサンクコストバイアスを自ら作り出す)
  • 少し対象から離れる(改めて内発的動機付けが行われるのを待つ)

これらの手法を通してMPを回復することは確かに有効なのですが、厄介なのはMP を回復する行為にはそれなりの中毒性があることです。

MPを回復した直後は一時的に行動を再開できるため「今のモチベーションを継続できれば、理想にたどり着けるかもしれない」という希望的観測(モチベーション)が生まれます。この瞬間にハマりすぎると、勉強会に参加すること、本を買うことが目的化してしまい、果たしてそれらの行動がどこまで目的に貢献しているのか見えづらくなってしまいます

モチベーションを必要としない習慣に切り替えてしまう方が良い

  • 勉強にはMPを消費する
  • MP回復には中毒性がある
  • いつの間にかMP回復が目的化してしまう可能性がある

についてここまで言及しましたが、果たして解決方法はあるのでしょうか。個人的には「MPをほとんど消費せず継続できる行動」に着目することが1つのヒントになるように思います。

大抵の人は「歯磨き勉強会」や「入浴勉強会」に毎月参加しなくても自然と毎日約30分歯磨きや入浴を欠かさず続けられます。おそらく歯磨きや入浴はその人にとって習慣になっていて、習慣化した行為はほとんどMPを消費せず続けられることを示唆しているように思います。

なので勉強を入浴と同じぐらい勉強を習慣化させられればMP消費を最小限に続けられるわけです。モチベーションを消費しなければ高める必要もないので、MP回復の中毒性に引っかかることもありません。

どうやって習慣を作るか

「そんなこと知っとるわ!習慣化できないことに困っとるんじゃ!」という叫びが聞こえてきそうです。確かに入浴と比較して勉強は脳の消費カロリーが多いぶん習慣化の難易度も高いはずです。そんな行動を習慣化するヒントをいくつか考えてみます:

1. みんながやっているから自分もやる環境に身を置く

一番手っ取り早いのはみんながやっているから自分もやる環境に身を置くことです。

自分が一人だけで勉強している環境だと「どうして自分だけこんなに頑張っているんだろう」とモチベーションがガクンと低下する瞬間があります。人は不公平を強く嫌う習性があるようで、集団の中で自分だけが何らかの負荷をかけられている状況に我慢ならないようです。

それなら周りが勉強している環境に身を置けば良いわけです。みんな同じことをやっているので不公平感はありません。

ついでに周りに意欲の高い人が多いと「あの人、デキる・・・あの人みたいになりたい」といった外発的動機付けによるMP回復も期待できます。良いことづくめ。

2. 毎日やる

人が新たな習慣を獲得する仕組みを解説した書籍「hooked」では習慣を作る重要な要素の一つとして頻度を挙げています。

端的にいうと毎週より毎日、毎日より毎時繰り返す行為の方が習慣化しやすい。行動の長さではなく頻度が重視されているのがポイントで、毎週1時間より、毎日5分でも技術書なりブラウザを開いて勉強したほうが習慣化しやすいようです。

「1時間、集中して勉強しなきゃ」と、まとまった時間を確保しようと考えると割り込みタスクや業務の忙しさに負けてしまいがちです。そうではなく「1日1回は勉強しなきゃ。5分でもいいから」と考える方が習慣化には効くのではないでしょうか。

3. やるためのハードルを下げる

hookedでは「行動のハードルを下げること」も習慣化の重要なポイントとして解説されています。

要は朝起きて勉強を始めるまでの工程をとことん省くことで習慣を身につけやすくなるわけです。技術書を開いた状態で机の上に置いておくとか、Session Buddyを使ってブラウザを起動したら主要な情報媒体が表示されるように設定するとか、手元で小さなサンプルアプリを立ち上げるスクリプトを用意しておくとか。

自分が勉強を始めるために実施している工程を洗い出して、一つでも工程を省く余地がないか考えてみてはいかがでしょうか?

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(あまりに宣伝っぽいため、不適切でしたらすぐ消します)

みんながやっているから自分もやる環境に身を置くのは習慣化する上で最も手軽かつ効果的な方法だと考えていますが、そんな環境を自ら作り出すのは結構難しいよね・・・・ということで、そんな環境を作るためにプラハチャレンジという事業を頑張っています・・・!

https://praha-challenge.com/

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