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週刊AI駆動開発 - 2025年11月02日

に公開

今週は、AIコーディング支援ツールの分野で大きな進展がありました。Cursor 2.0の登場により4倍高速なコード生成が可能になり、Claude Codeもサブエージェント機能を強化しました。また、Microsoft ResearchのAgent LightningやMem0など、AIエージェントの能力を拡張する注目のオープンソースプロジェクトも紹介します。

🚀 リリース情報

Cursor 2.0(2025-10-29)

Cursorの大型アップデート「2.0」がリリースされました。新しいエージェント型コーディングモデル「Composer」が導入され、同等の知能を持つモデルと比較して4倍高速な動作を実現しています。

主な新機能:

  • Composer: 新しいエージェント型コーディングモデル(同等モデルの4倍高速)
  • マルチエージェントサポート: 最大8つの並列エージェントを同時実行可能
  • ブラウザ機能: 一般提供開始(GA)
  • サンドボックス化されたターミナル: macOS向けに提供
  • 音声制御: 音声入力による操作が可能に
  • コードレビュー改善: 複数ファイルにまたがるレビューが可能
  • エンタープライズ機能: 管理者コントロールと監査ログ機能を追加

リンク:

Claude Code 2.0.31(2025-11-01)

Anthropic Claude Codeの最新バージョンがリリースされ、複数の機能追加とバグ修正が行われました。

主な変更点:

  • Windows: ネイティブインストールでモード切替のショートカットがshift+tabに変更(従来のalt+mから)
  • Vertex: Web Search機能が対応モデルでサポート
  • VSCode: .gitignoreされたファイルをファイル検索に含めるかどうかの設定respectGitIgnoreを追加(デフォルトはtrue)
  • Plan mode: 新しいPlanサブエージェントを導入
  • Explore subagent: Haikuを活用した効率的なコードベース検索エージェント

実用例:

# .gitignoreされたファイルも検索に含める
"respectGitIgnore": false

# サブエージェントの再開
claude --resume <subagent-id>

リンク:

Cline v3.35.0(2025-10-31)

主な新機能:

  • GLM 4.6モデルサポート: Cerebras GLM 4.6モデルをサポート、デフォルトとして設定
  • Native tool calling: ネイティブツール呼び出し機能を追加
  • Think タグサポート: <think>タグのサポート追加
  • GPT-5対応: GPT-5向けにdiff編集ツールを使用
  • MCP設定: リモート設定にMCP設定を追加

リンク:

GitHub Copilot CLI v0.0.353(2025-10-28)

主な新機能:

  • カスタムエージェントサポート: カスタムエージェント定義をサポート(~/.copilot/agents.github/agents
  • /delegateコマンド: Copilotコーディングエージェントにタスクを非同期委譲

実用例:

# カスタムエージェントを呼び出す
copilot /agent my-custom-agent

# タスクを非同期で委譲
copilot /delegate "fix authentication bug"

リンク:

Kiro 0.5.0(2025-10-30)

主な新機能:

  • リモートMCPサーバーサポート: ワンクリックインストール機能を含む
  • グローバルステアリングルール: プロジェクト固有のエージェント設定
  • AGENTS.mdサポート: プロジェクト固有のエージェント設定ファイル
  • ファイルコンテキストの行範囲参照: #[[file:src/utils/helper.ts:10-25]]のような記法でファイルの特定範囲を参照

リンク:

Google Gemini CLI v0.13.0-nightly(2025-11-01)

主な変更点:

  • テレメトリ機能拡張: ToolCallEventテレメトリに拡張機能名を追加、GCPログエクスポーターの重複session_idを削除
  • UI/UX改善: Ink 6.4.0への対応、Kittyの機能キーサポートを追加
  • ポリシーエンジン: ポリシーエンジンのドキュメント追加
  • バグ修正: ループ検出がセッション無効化フラグを尊重するように修正

リンク:

📈 注目のAI開発リポジトリ

microsoft/agent-lightning

https://github.com/microsoft/agent-lightning

Microsoft Researchが開発したAIエージェントを強化学習で最適化できるオープンソースのトレーニングフレームワークです。既存のエージェント実装をほぼ変更せずに最適化できる点が特徴で、LangChain、OpenAI Agent SDK、AutoGen、CrewAIなど、どのフレームワークで構築されたエージェントでも対応可能です。

主な機能:

  • フレームワーク非依存の設計
  • 最小限のコード変更で最適化を実現
  • マルチエージェントシステム内の特定エージェントのみを選択的に最適化可能
  • 強化学習、自動プロンプト最適化、教師あり微調整など複数の最適化手法をサポート

2025年8月にarXivで研究論文が公開され、SQLクエリ生成と自己修正機能を持つエージェントのトレーニング事例が実証されています。GitHub上で5.8kスター、424フォークを獲得し、コミュニティプロジェクトも活発に展開されています。

mem0ai/mem0

https://github.com/mem0ai/mem0

AIエージェントとアシスタントに永続的で知的なメモリ機能を提供するオープンソースのメモリ管理システムです。2025年10月にバージョン1.0.0のメジャーリリースが行われ、新たに「OpenMemory MCP(Model Context Protocol)」が発表されました。

主な機能:

  • 多層メモリアーキテクチャ(ユーザーレベル、セッションレベル、エージェントレベル)
  • OpenMemory MCP: ローカル環境でセキュアにメモリを管理
  • LOCOMOベンチマークでOpenAI Memoryと比較して26%高い精度
  • フルコンテキストと比較して91%高速な応答、90%少ないトークン使用量

GitHub上で42.5kスター、4.6kフォークを獲得し、4,500以上の依存プロジェクトが存在します。AIエージェントに「記憶」という人間的な能力を付与する基盤技術として注目されています。

📰 AI関連ニュース

Anthropic

東京オフィス開設とAI安全性協力

Anthropicが東京にオフィスを開設し、日本AI安全性研究所(Japan AI Safety Institute)と協力協定を締結しました。日本国内でのClaude APIサポート体制が強化され、地域特化型のAIアプリケーション開発がより容易になります。

金融サービス向けClaude機能強化

ClaudeにネイティブなExcel統合、リアルタイム市場データコネクター、モデリングタスク用のプリビルトスキルが追加されました。金融アプリケーション開発者は、Excel統合によりスプレッドシートベースのワークフローを直接AIに接続できるようになります。

Meta AI

AIエージェントセキュリティフレームワーク「Agents Rule of Two」

AIエージェントのセキュリティを体系的に向上させる実用的なフレームワークが公開されました。AIエージェントシステムを実装する開発者にとって、脆弱性を構造化されたアプローチで削減できる実践的なガイドラインとなります。

Google Research

AI利用におけるプライバシー保護

AIシステムの使用パターンを分析するためのプライバシー保護手法について解説。プライバシー規制が厳しい地域や業界(医療、金融、EU圏など)でAIアプリケーションを構築する開発者にとって、証明可能なプライバシー保護技術の実装指針が提供されます。

💻 テックブログ

コード生成4倍速!Cursor 2.0の衝撃的進化

2025年10月29日に発表されたCursor 2.0の革新的なアップデートを解説。独自AIモデル「Composer」の導入により、コード生成速度が従来の4倍に向上し、ほとんどのタスクを30秒以内に完了できるようになりました。最大8つのAIが同時並行で作業を進める機能も追加されています。

Cursor 2.0は「コードを書く」から「作りたいものを説明する」へのパラダイムシフトを象徴しています。複数のAIエージェントが並行して動作することで、大規模なリファクタリングや機能追加が劇的に高速化します。

🌐 海外コミュニティ動向

Claude Codeの全機能活用法

Claude Codeの実践的な活用方法を網羅的に解説した記事が288ポイント、92件のコメントを集めました。記事では、Claude Codeの各機能(コード生成、リファクタリング、デバッグ、テスト作成など)の具体的な使用方法と、実際の開発ワークフローへの組み込み方が詳細に説明されています。

特に、効率的なプロンプトの書き方、コンテキストの与え方、複数ファイルにまたがる変更の管理方法などが実例とともに紹介されており、Claude Codeを単なるコード補完ツールとしてではなく、開発プロセス全体を支援するパートナーとして活用する方法が示されています。

Claude Codeが低レベル暗号化処理をデバッグ

Claude Codeが低レベルの暗号化コードのデバッグに成功したという報告が343ポイント、165件のコメントを集めました。Filippo Valsorda氏がClaude Codeを使用して暗号化ライブラリの微妙なバグを特定・修正した過程が詳しく記録されています。

Claude Codeは、低レベルのメモリ操作やビット演算を含む複雑なコードを理解し、パフォーマンスの問題点を指摘し、セキュリティ上の懸念を特定する能力を示しました。AIツールが、従来は人間の専門家にしか対応できなかった高度な技術領域でも有用であることを実証した事例として注目されています。

Hugging Faceの200ページ超のLLMトレーニングガイド

Hugging Faceが公開した「Smol Training Playbook」が、Hacker Newsで207ポイント、Redditで1955アップボートを獲得しました。200ページを超える包括的なLLMトレーニングガイドとして、実務者から高く評価されています。

データセットの準備、トークナイゼーション、モデルアーキテクチャの選択、ハイパーパラメータチューニング、分散トレーニングの設定、評価方法など、LLMトレーニングの全工程を網羅しています。独自のLLMを訓練しようとする開発者や研究者にとって、貴重なリファレンスとなります。

📅 今週のAI開発イベント

GitHub Copilot Meetup Japan #1

GitHub Copilotを活用したAI駆動開発に焦点を当てたミートアップ。GitHub Universe 2025の最新アップデート、GitHub Sparkの紹介、Javaおよび.NETアプリケーションのモダナイゼーション事例などを含む複数セッションとライトニングトークを実施します。

GitHub JapanのDaniel Cho氏による最新アップデート紹介や、実際のモダナイゼーション事例(Java/.NET)のセッションがあり、GitHub Copilotの実践的な活用方法を学べます。1,100名以上が参加予定の大規模イベントです。

[秋葉原] AI駆動開発 / LLM もくもく会

AI駆動開発やLLM(大規模言語モデル)を活用したアプリケーション開発に取り組む作業会。初参加者・初心者も歓迎されており、少人数(8名定員)でのハンズオン形式です。

少人数制の作業会形式で、実際に手を動かしながらAI駆動開発やLLMアプリケーションの開発に取り組めます。参加者同士で知見を共有しながら開発を進められる環境が整っています。

📝 まとめ

今週はCursor 2.0の登場により、AIコーディング支援が新たな段階に進化しました。4倍高速なコード生成と並列エージェント機能により、開発パラダイムが「コードを書く」から「作りたいものを説明する」へと移行しつつあります。

週刊AI駆動開発について

この記事は以下リポジトリの内容で生成されています。
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https://github.com/pppp606/weekly_ai_dev

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