廃ネトゲプレイ経験を活かして働き方を変えるコミュニケーションツールを作っている話
みなさん、いかがお過ごしでしょうか? 最近、SNS(旧Twitter・現Xなど)でよく目にするのが、「リモートワークと出社、どちらが理想的な働き方か?」という議論です。
リモートワークが世間に浸透してからしばらく経ちますが、最近話題のAmazonさんやLINEヤフーさんといった企業を始め、「やっぱり出社に戻ろう」という動きも再び注目されています。
さまざまな企業がリモートか出社か、あるいはハイブリッドかで揺れ動く中で、
「結局どれが正解なの?」と疑問を持つ企業や管理職は少なくないでしょう。
しかし、この問題は単純に「場所」の選択だけでは済みません。
実際には、リモートにも出社にもそれぞれメリットとデメリットがあり、
「人と人がどうやって信頼し合い、自然につながるか」という根本の視点を見落としているからこそ、議論が平行線をたどっているんじゃないでしょうか。
今回は、そんな「リモート vs 出社」問題を改めて整理し、そのうえで新しいアプローチとして現在弊社で開発中のコミュニケーションプラットフォーム「PortalKey」の世界観をご紹介したいと思います。
バカ長いポエムになりますが、ぜひ最後までお付き合いください。
1.リモートor出社とかいうクソ議論もうやめない?
コロナ禍によって一気に注目を集めたリモートワーク。通勤時間や満員電車のストレスから解放され、自宅などで働ける自由度は大きな魅力です。特に、地方や海外からでも都市部の企業に所属し続けられるようになった世の中になったのは、本当に大きな変化だと思います。
しかし一方で、現状のリモートワークには以下のような課題も存在します。
1. 会話の開始コストが高すぎる
「あ、ちょっと相談したいな」と思っても、
- 「お疲れ様です」から始まるチャットもしくはメールを送信
- 数分後に返信が来る
- スケジュール調整の確認
- ミーティングのURLを発行する
- キリの良い時間を設定して、ようやく数時間後に会話を開始
このように、やり取りの回数やタイムラグが積み重なるコストはもちろん、
最も心理的に負担となるのは 「相手や周囲に配慮した文章を考える」 プロセスです。こうした負担が大きくなるほど、本当に必要なコミュニケーションでも、「まあいいか」と個人で処理されてしまい、結果としてコミュニケーションが減少する原因になります。
さらに、こういったガチで無駄なやり取りに時間を取られ、つい「仕事をした気になってしまう」のも大きな問題ですね。
2. メンバーの状況が可視化されにくい
相手が今どんな状態で仕事をしているのか読みにくく、
「今日ってそもそも出社してるの?」から始まり
「今話しかけて良いのか?」
「あの会議ってもう終わってるの?」
「もう退勤しちゃった?」
などオフィスにいた際に席を見ればなんとなくわかった勤務時におけるステータスが不透明なため、確認に「時間+検索」のコストを要します。
それと同様に中途や新卒で入ってきたメンバーは 「組織の中の人間関係・パワーバランスの把握」 がかなり難しく、メンター側も「誰がヘルプを必要としているのか」を察するのが難しく育成やオンボーディングはとてもハードルが高くなります。
ハイブリッドワークを導入している場合であれば上記に加えて
「Aさんって今日リモートだっけ?出社だっけ?」そんな確認にも時間を取られます。
3. 偶発的な会話の消失
オフィスであれば、会議の帰り道や休憩室で「偶然の接触」が起こり、そこから思いがけないアイデアが生まれたり、「そういえばこの件だけど…」とサッと情報共有できる機会がありました。
例えばオンライン会議は退出してしまったらその後相手と軽い会話をする術はないためリモートではこの「偶発的コミュニケーション」が激減してしまいます。
4. 急速なリモートワーク普及による整備不足
コロナ禍でリモートワークが急速に拡大した結果、多くの課題が浮き彫りになりました。
まず指摘したいのは、多くの企業がコロナ禍に合わせる形で、TeamsやSlack、Meet、Zoomなど、コロナ以前から使われていたツールを社内ルールに当てはめて “なんとかリモート対応させただけ” で終わっている点です。
働き方が変わったにもかかわらず、従来のオフィス中心のコミュニケーション文化を引きずって既存ツールをリモート風に運用しているだけでは、やり取りの質が低下するのも当然と言えます。
そもそもSlackやTeamsを始めとするチャットツール、MeetsやZoomようなオンラインMTGツールのような「非同期コミュニケーション」は「同期的コミュニケーションの土台」があってこそ、本来の効率を発揮します。
出社という手段は「同期的コミュニケーション」となりますが一部でしか機能せず不完全だと言えます。
以下の項で説明します。
2. 出社でも元々コミュニケーション不足は課題やったやろがい
では出社すればすべてが解決するのかといえば、そう簡単でもない。
たしかに上に書いているような現状のリモートワークと比べるとオフィスで同僚と顔を突き合わせて働くと、瞬間的に「雑談」「相談」「ふとしたアイデアの共有」が生まれやすく、「同じ空気を吸っている感覚」はチームの一体感を高める大きな要素です。
しかし一方で、出社にも以下のような課題も存在します。
1. 周囲を感知できる限界
「コミュニケーションが足りない」「コミュニケーションの質が~」「組織・部署間の連携が~」
こんな話はコロナ前も死ぬほど聞いてきました。
ぼくらは結局1つの席から周囲数メートルでしか物事を感知できません。
同じオフィスでも、席が遠かったり、同じプロジェクトでも業務が違えばほとんど関わる機会がなく、情報が伝わらないことは珍しくありません。対面で席が隣になったとしても業務が異なればほぼ接点がなくなりますし、大体確認が必要なマネージャー層は会議で詰まっていて席にいないから話しかけることもままならない+スケジュール的には空いてるのに席にいないから何しているかわからない…なんてことはざらです。
2. 場所による制限
オフィスワークにおいてまず直面するのがオフィスと会議室のキャパ問題です。
人材採用のスケールに合わせたオフィス整備を行うコストの問題、また限られた会議室を使用する場合には場所の取り合いや、空いていないために会議自体を遅らせてを行うなんていうケースもしばしばあります。
上記に加え本社や支社、現場あるいは複数の拠点がある企業の場合、出社していてもオンライン会議が中心になったり物理的な移動コストがかかる場面も多く、結局現在ほとんどの企業で「出社しながら社内でリモートワークを行っている」状況になっています。
あと僕個人的な問題ですが、対面会議に関して言えば普通に視力が悪くてモニター投影されても見えません。本当の意味で耳だけ参加してます。
3. リモート経験者が感じる出社コスト
リモート勤務を経験した人は、再び出社が求められると通勤や満員電車などのストレスを強く感じ、学習や家族との時間が失われます。その結果、時間を有効活用し自己投資ができる優秀な人材のパフォーマンスが下がるリスクが高まります。一度「リモートが当たり前」になった社会で柔軟な働き方を望む人材を取りこぼさないためにも、出社ありきに戻すだけの方針は再考が必要でしょう。
4. 採用難易度の増加
リモート勤務ができる企業が当たり前にありつつある今、個人的な経験則ですが優秀な人ほど 「どこで働くか」よりも「何を成し遂げたいか」を重視 し、自分や家族を大切にするため、会社の都合に生活スタイルを合わせることを好みません。もし出社が前提の企業であれば、そうした人材はより柔軟な企業を選ぶため、採用面で不利となり競争力を失うリスクが高まります。
―――――――――――――――――――
こうしてみると「リモートだからすべて解決する」「オフィスに戻れば万事OK」という単純な話ではなく、どちらにも一長一短があることがわかりますし、かといって「ハイブリッドで週x日出るから効率的」という話でもありません。
根底にあるのは 「チームメンバー同士が自然につながり、お互いの状況を感じ取り、必要なときに適切にサポートし合う仕組みがない」 ということなんですよね。
現場におけるコミュニケーションの回数の認知ギャップ
この項の最後にちょっと別軸ですが、これ見てる管理職の方へ。
1日に何回メンバー間でコミュニケーションを取っているか知っていますか?
メンバーから上がってくる成果物はメンバーが何回相談が行われたか知っていますか?
会議に出てくる資料はメンバーが何回やり取りして出てきているものか知っていますか?
何故かあまり言及されていなかったり、見落とされがちなので敢えて書きますが、
上位レイヤー層は 「丁寧なコミュニケーションを最終的に受ける側」 なためそこまでに現場間同士で支払われてきた様々なコストに気づきにくいんですよね、自分は快適だから。
ここに関しては気が向いたらもう少し別記事で詳しく書いてみたいなと思います。
3.自己紹介
改めまして、PortalKeyという会社でCEO/COOごっこをしているKURATAと申します。
青春なり学歴なりすべてを捧げてざっと40,000時間くらいPCオンラインゲームをやってきました。
その後はその経験を活かしてオンラインゲームの企画/開発・運営に8年ほど携わってきました。
40000時間マウスを握り続けると小指が変形するよ!注意!
そんなプレイヤーとしても開発者としてもオンラインゲームに人生のほとんどの時間を費やしていた僕ですが、そこでは色々なことが見えていました。
そもそもオンラインゲームは
「顔も名前も知らない、年齢・性別・国籍の違う人々が」
「同じ目標に向かって協力しクリアや勝利を目指す」
という遊びが根底にあります。
もちろん1人で遊ぶゲームではないので、「いかに早く強いチームを作り連携をするか」が楽しくプレイするために重要なカギになってくるわけですが、僕はここで数多くのプレイヤーが「顔を合わせることなく、テキストやボイスチャットですら最小限のやりとりで自然と強いチームを組んでいる場面」を何度も目にしてきました。
しかも多くは現実世界で『内向的性格な人たち』がです。
あれ…この要素って、今の働き方にめちゃくちゃ必要なことじゃない?
オンラインゲームに見る「自然なチーム形成」
オンラインゲームでは、プレイヤー同士のリアルな顔は見えませんし、実名を知らないケースもほとんどです。それでもゲーム内のキャラクターを通して
- 「どんな人なのか」
- 「誰がどんな役割を担っているのか」
- 「今この人は何に注力しているのか」
が、不思議と分かる瞬間があるのです。
たとえば、
- 釣りや採集だけを延々と続けている→「職人気質な方なのかな?」
- 景色の良い場所や高台の固定ポジションでいつも放置している→「ベテランなのかな?」「この辺に仲の良いメンバーで集まっているのかな?」
- 男女ペアで同じアバターコーデをして座っている→「中身が恋人同士?」
言葉はなくとも、キャラクターの動きやその場にいるだけで情報が第三者に自然に伝わります。
そこには、“お疲れ様です”という前置きなど必要なく、瞬間的に「助けが必要そうだ」「会話したそうだ」「ここは自分が動かなきゃ」という行動が引き出される仕掛けがあり、そこがコミュニケーションを生むタネとなっています。
僕はこれを 『シグナル』 と呼んでいます。
現実世界との共通点
当たり前ですが、こうした現象は現実世界も同じです。
例えば、あなたがオフィス内を観察してみると
- 席に居ない事が多い人 → 「会議が多い人?コンビニ?タバコ?」
- AさんとBさんはよく話している → 「あの2人は仲が良いんだな、業種も一緒?」
- 社内の植物に水をやったり手入れをしている → 「細やかな気遣いができる人なんだな」
- VTuberのTシャツ服を着ている人がいる → 「あのVを知ってるってことは…」
ここはZennなので一応
「状態からの読み取り」はゲームでも現実でも同じですが、現実では情報が多すぎるため、無意識に取捨選択を行い「シグナル」そのものに注目しづらいのが特徴です。
一方、オンラインゲームはアバターによる限られた表現しかできないため、些細な動作や行動パターンがコミュニケーションの重要な手段になります。
たとえば「ジャンプ」ひとつで感情や自己表現を表すなど、制限の多い世界だからこそ、相手の動きを読み取る力 と自分の動きで情報を伝える力 がより重要になるのです。
そこから読みとった"シグナル"を元にいつのまにか隣にいる人と協力している状況が生まれ、そして実際に話したり友好的になっていく…
つまり、"『話しかける』を始めとする能動的コミュニケーション"は結果にすぎず
"無意識的に第三者に出しているシグナル"がコミュニケーションを始めるための下地を担っているということです
場だけ作っても意味がないという話
「オフラインで集まる日を作って懇親会をしよう!」
「バーチャルオフィスやメタバースでアバターを動かせば解決じゃないか!」
といったアイデアが浮かぶかもしれません。ですが、それだけではコミュニケーションの問題がすべて解決するわけではありません。
たとえば懇親会の場合、あまり話さないタイプの人は端のほうで孤立しがちです。
普段から相手の情報があって「話してみたい」と思えるきっかけがない限り、普段は業務連絡くらいしか関わりのない人とわざわざ話そうとはなりにくいですよね。
さらに、バーチャルオフィスツールも一見便利そうに思えますが、
「ログインが必要」「常時接続が前提」
といった要件が障壁となり、「シグナル」を拾いきれないまま、そこに新しい信頼性や理解が生まれず既に関係性ができてる一部の人しか利用せずに過疎化してしまうケースがほとんど です。
結局、単にリアルでもバーチャルでも「場」を用意しただけでは、すでに話しやすい人がいる同士が盛り上がるだけ&いない人にとっては意味のない空間となります。
4.PortalKeyがもたらすソリューション
「リモートか出社か」で悩むより大切なのは、 “どこにいても自然なコミュニケーションが可能”な仕組みを作る こと。PortalKeyは、この視点に立ったコミュニケーションプラットフォームです。
ボイスコミュニケーションを中心としてオンラインゲームにおける「相手の状況を自然に理解し合う」メカニズムを応用し、リモートでも出社でもチームの信頼を生み出す設計を行っています。
開発中の画面の一部
1. 会話の開始コストをゼロにする
「ちょっと今いい?」がいつでもどこでもワンクリックでスムーズに可能。
PortalKeyでは誰かに話しかける際にすべて 「ワンクリックでボイスチャットを繋げる」 ことができます。通話をかけるという概念がここには存在せず面倒なチャットを介さずとも話しかけられるため会話を始めるハードルを大幅に下げています。
「全員がトランシーバーを持っている」と思ってもらえればよいです。
2. チームの見える化
メンバー・組織のステータス検索コストをゼロに。
以下の2つの大きい要素で見える化します。
- 人に関する動きを見える化
- 出勤 or 退勤の状態
- リモート or オフィス出社なのか
- "今"話しかけられるか
- どんな会議に参加しているか、誰と話しているか
- 会議に関する情報を見える化
- 社内で開かれている会議+参加メンバー(非公開可)
- 誰が主催の会議で、誰が画面共有中か
- どんな内容の会議なのか、何が画面共有されているのか
- 会議に招待している社外の方
例えばオンボーディングに苦労する新卒や中途メンバーはこのツールを1日見ているだけで
「誰がこの組織においてリーダー的な人なのか」
「会議の主に主催しているのは誰なのか」
が把握しやすくなるため、組織文化にとても早く溶け込む事ができます。
ちなみに開発中画像では見せていませんが、ツールが「過疎化」しないよう、わざわざログインしなくても、自動でメンバーのステータスが更新される仕組みを導入しています。
3. チームを楽しく、コミュニケーションを楽しく
PortalKeyでは以下のようなコンセプトを大切にしています。(詳しくは後述)
- 信頼をデザインする
- 開かなきゃいけないツールではなく、開きたくなるツール
- 管理のためではなく、現場の活性化のため
これらを深く掘り下げながら開発を進めており、これに関する仕様が多く実装されますし、今後もここに注力してアップデートが行われる想定です。
そもそも「話しかける」という行動自体、心理的コストが大きくかかる事ですから楽しさを起点としてチーム内の信頼の土台を作り、いかに能動的に起こしやすくするのかがポイントとなります。
以下が開発中・開発予定のほんの一部ではありますが機能をご紹介します。
-
タイムライン機能
チームや組織であった出来事や自分への通知がまとめて流れてくるぞ!
また、通常のSNSでは呟けないような業務中にあったことや気づきをシェアできるつぶやきもできるぞ!もちろん見せたくない人にはつぶやきを見せないようにもできるぞ! -
デスクホワイトボード機能
各自席にホワイトボードがあるよ!ミーティングにそのまま使えるほか伝言として付箋を貼ったりもできるぞ!ついでに上司のホワイトボードに落書きをしよう! -
プロフィール成長機能
コミュニケーションを取れば取るほどプロフィールが成長するぞ!
チームの事を見て色んな人とコミュニケーションするマネージャーさんだったりハブとなって動いてくれる人のプロフィールはとんでもない育ち方をするので定量的に評価しづらい組織を支える人が見える化するぞ! -
ミーティング投げ銭機能
ミーティング中に投げ銭ができるぞ!
話が脱線した会議の議題をファシリテートしてくれた人にスパチャしよう!
そもそもなぜこういう仕様を切っているのか?
それはコミュニケーション、ひいては信頼構築を始めるための「たね」を作るためです。
5.PortalKeyのコンセプト
"チームに信頼をもたらす"
ぼくたちが目指すのは、チームが相互理解と信頼を育む状態です。
よく「雑談が大事」と言われますが、裏を返せば雑談が成立するためには「これを話してもいい」「相手は聞いてくれる」という信頼が必要。PortalKeyが作り出すのは、その信頼を支える仕組みです。
1. 信頼をデザインする
信頼が生まれるためには、相手を理解することが欠かせません。
そして理解するには、相手に関して「知りたい」「面白そう」と思う興味が必要です。
そして興味を持つためには、情報が必要。つまり、
- 「情報」がないと「興味」を持てない。
- 「興味」がないと「理解」しようとしない。
- 「理解」がないと「信頼」は生まれない。
PortalKeyは、この「情報・興味・理解・信頼」のステップが自然に回るよう、相手の状況や行動を可視化できるもの、自己表現できる場、いたずらをできる余地…あらゆる箇所でコミュニケーションの「たね」を作ることでメンバーが互いに気軽な声かけをしやすくなる仕掛けを施そうとしています。
最終的に僕たちが実現したいのは、リモートだろうが出社だろうが、チームの連帯感や生産性が揺るがない働き方 です。
オンラインゲームのように「いつのまにか隣にいる人と協力している」状態を目指しています。
2. 開かなきゃいけないツールではなく、開きたくなるツール
PortalKeyは、ツールを開かなくても最低限の機能は発揮します。
とはいえ、チーム全員が意欲的にツールを開けば、その効果を最大化できます。
そのためには、使う人にとって「能動的に開きたくなる」仕掛けを作ることが重要です。
ただ、ここで大事なのは ゲームっぽいビジュアルではなく、ゲーム制作で培ったプロダクトデザインやオンラインゲームで培われたコミュニケーションの本質を活かすことにあります。
例えば1つ紹介すると 「視点移動の負担軽減」 です。
ぼくがゲーム開発をしていたときに特に意識していたポイントです。
たとえば、ほとんどのゲームでHPやMPゲージの位置がある程度決まっているのは、別のゲームから来た人でもどこを見ればいいかすぐにわかり、余計に探す手間を省けるからです。
実は、この 「探す」動作は目や頭にとって意外と大きな負担 になります。
PortalKey では、ユーザーごとに「デスク」というスペースを用意し、だいたい同じ場所を見れば「◯◯さん」や「◯◯班」の状態が把握できるようにしています。画面内で探しまわる必要を減らすことで、使う人のストレスを軽くしているわけです。
一方、アバターを自由に動かせるタイプのバーチャルオフィスは、初めて見たときのワクワク感や楽しさはありますが、実際に繰り返し使うとなると「相手や自分のアバターを探す」コストが毎回発生します。ゲームでもそうですが、最初は面白いと感じても、30分くらい遊んで慣れてくると、今度はその「探す」手間のほうが目立ち始め、結局「面倒くさい」という印象に繋がりやすいんですよね。
結局、ツールを継続して使ってもらうためには、「使いやすさ」や「ストレスが少ない」という日常的な快適さが重要になります。最初のインパクトだけでは長続きしませんし、実際に毎日使っていく中で生じるちょっとした負担が積み重なると、人はすぐに離れてしまいます。
3. 管理のためではなく、現場の活性化のため
見える化ってことは「サボれない」って…コト!?
大丈夫です。サボれます。
PortalKeyは管理職による監視ツールではありません。あくまで現場が活性化し、自分たちのために使いたくなるプラットフォームを目指しているため「管理」や「監視」と感じる仕様はことごとく排除しています。あと人事がノリで突っ込んでくる謎ツールももうこりごりなんです。
PortalKeyは同期的コミュニケーションの土台である
前述のとおり、「同期的コミュニケーションの土台」がしっかりしてこそ、SlackやTeamsといった「非同期的コミュニケーション」ツールは本来の効率を発揮します。
僕たちが提供しようとしているのは、その 「同期的コミュニケーションの土台」 です。
もちろん非同期的コミュニケーションは業務に不可欠です。たとえば、1回のコミュニケーション、つまり一方向の報告や連絡、決定事項の共有など、ログを残しておきたいものはそのままチャットツールで行うべきでしょう。
しかし「相談」や「確認」のように2回以上のやり取りが必要なケースでは、同期的にやり取りしたほうがはるかに効率的ですし、信頼はそこから育ちます。
そのためPortalKeyは、既存の非同期的コミュニケーションツールと併用していただくことを前提 に設計されています。
前職で"社内コミュニケーションツール"を試作してみた事
コロナが拡大した2020年初頭、前職でゲーム制作をしていた僕たちに突然、「フル出社からフルリモートに切り替える」という通達がありました。そのとき、普通にチャットツールとミーティングツールを使うだけでは絶対に業務効率が落ちるとわかっていた自分はディレクターという立場でプロジェクト責任者でもあったこともあり、以下のような方針を打ち出しました。
「いろいろなアプリを組み合わせて魔改造し、“同期的コミュニケーションツール”を自作しよう」
上記で紹介したようなソリューションの一部を、このシステムにも盛り込んでいきました。
改良を重ねるうちに、新しく入社してきたメンバーからは、
「このコミュニケーションツールがない他のプロジェクトには行きたくない」
「一度使ったら、チャットツールとミーティングツールだけで仕事するのは効率が悪すぎて無理」
といった声が上がるほど好評になり、実際、出社していた頃より業務効率は高まっていました。
色んなことがあり、そのツールも一部のプロジェクト用だったため使えなくなってしまいましたがこれこそがPortalKeyの前身です。3年以上運用したそのツールで必要だったこと、叶えられなかったこと、課題であったことを知見としてて活用し、PortalKeyではこれらを完全版として実現させたいと思っています。
6. まとめ
リモートが正しいのか、出社が正しいのか?この問いに簡単な答えはないと思います。どちらにもメリット・デメリットがある以上、「どちらかに振り切ればすべて解決」というわけではないでしょう。
だからこそ、どちらを選んでも、自然につながりを築けるか が次なる焦点だと思っています。
このブログ記事を読んで、少しでも「なるほど、リモート vs 出社の二項対立だけでは足りないのかもしれない」「オンラインゲームの知恵を職場に活かすなんて面白そう」と思っていただけたなら幸いです。
どこにいても、働く人が「ちょっと話そうか」「今ならいいかも」と思える余裕を生み出し、結果としてチーム全体が信頼し合あうことで
「いかなる環境で働こうが変わらずチームや組織にとって最大の効率で最大の楽しさ」
をオンラインゲームから学んだ知恵をもとに既存の慣習や固定観念にとらわれず、僕たちPortalKeyは日々開発を行っています。
7. そもそもなんでこれ書いてるの?
アウトプットの練習です。
なかなか製品を開発していると外部へアウトプットする機会がないので月1投稿目標で社内メンバーで始めてみました。publicationからはメンバーの記事も見ることが出来ます。
僕はZennでお役に立てるような技術的な記事は書くことができないので本当に謎の記事を書くと思います。
ちなみにエンジニア向けに現在のPortalKey詳しい採用技術などについてはCTOの植森がまとめてくれているので是非見てみてください。
ご意見・ご質問等ございましたら、自分倉田のXへお気軽にご連絡ください!
あと絶賛開発中なPortalKeyですが、必要最低限機能版として2025年3月頃よりクローズドβテスト行いたいと思っています。もしご興味がある方は招待させていただきますのでお問い合わせください
Discussion