専門学校におけるゲーム制作授業について
こちらはUnityゲーム開発者ギルド Advent Calendar 2020 12日目の記事です。
はじめに
Unityの講師やってます。主に初心者向けでそこまで突っ込んだことはやってません。そういうお仕事の関係でいろんな話を聞きます。例えば学生の性格分類や他の先生方の授業スタイル、学校の捉え方など。その辺りのことをまとめようと思いました。
私の観測範囲での話ですので、話半分に読んでもらえたらと思います。
学生の性格
自分で進めていけるタイプ
学生の良し悪しをいうのはセンシティブなので避けます。特にこちらから教えなくても、分からないところを自分で検索したり、独自の実装をできるタイプです。隣の席の学生に教えたりもできます。
言われたことはできるタイプ
文字通りです。教科書があると卒なく授業についてきます。独自実装は積極的でなく、アイディアが思い浮かばないか、プログラミングに自信が持てないか、どちらかのようです。
あまり積極的でないタイプ
まぁゲームプログラミングに限らず、どこにでもいます。
授業スタイル
授業の進め方も先生によって結構違ってきます。おそらく、講師業を始める時に参考にした先生や学校側の対応によるのかなとは思います。
教材や教えることを全て自分で考えるタイプ
私はこのタイプです。他にも一人か二人います。
メリットとしては教えることの管理しやすさです。Assetの利用も自分が十分に理解しているものだけを使うことができるので、不測の事態が起きにくいです。この不測の事態というのは独自実装したがる学生です。よく分からないAssetを授業で利用し、その込み入った利用方法の質問に対して即答できないこともしばしば起きて授業がストップすることもあります(もちろん応援したい所ではあるのですが)。これを防止できます。
それとUnityの教科書はプログラミングとUnityの使い方が一緒くたになっているケースが多く、プログラミングを習得するという点では不適当な所があります。すぐに見栄えがするゲームを作れるので興味は引きやすいのですが。。。
一方で、ちょっと授業のペースを間違えると、言われたことはできるタイプの学生はついて来れなくなるので、定期的なフォローアップが必要です。
教科書に沿って進めるタイプ
私はやったことありませんが、授業準備は楽そうです。
積極的な学生は今後授業でどういうことをやるのか把握しやすいので、先に進んで行きます。何をやっているのか把握しやすいのはメリットです。また多少授業ペースを間違えても、教科書を見ればわかるので、なんとかなる学生が増えます。
比較的授業準備は楽だとは思いますが、Assetを多用するような箇所だとやはりその習得の準備が要ります。複数の先生がいる場合でも授業方針が違えば、担当する先生しか質問できないのは学生にとってデメリットかと思います(まれにAssetを多用する先生がいて、学生がついて来れずに私に助けを求めてくるケースもありますが、学生の身についているのでしょうか)。それと重い教科書を持ち運ばないといけないのは不評です。
学校について
現状
Unityに対して深い理解を持っているとは言い難いです。技術的なところはもちろん仕方がないのですが、ゲーム業界におけるUnityの立ち位置とかそういう点です。Unityが流行ってるらしいからその授業をやらせておけばゲーム作れるようになるんじゃないか、みたいな捉え方をしているように感じます。趣味ならそれでもいいのですが。。。Unityはなんでも出来ます。しかし普段使うのはかなり限られた一部の機能で、各人の役割によって使う部分が違うはずです。Excelですら使いこなせているか結構怪しいのに。
技術に関してもキャッチアップがワンテンポ遅れているように感じます。まぁ2,3年でかなり変わってくるので、非エンジニアにそれを要求するのも難しいところではあります。
うまくいきそうな所、いかなさそうな所
現場の先生と、何よりも学生がしっかりしてるところは強いです。学生もいろいろなタイプがいるので、100%しっかりしているというのはあり得ません。その上で、上述の3タイプにクラス分けできるくらいの学生がいて、それぞれのグループに対して適切な指導や学生同士での切磋琢磨できるかどうかです。そういうところは現状でも引く手数多のようで、今後学校の方針も成熟していくでしょう(していったら良いな)。
一方でそれほど学生が集められずタイプ別に適切な指導ができない所、学校の強みが発揮できない所は、10年後にどうなってるのか、という気持ちです。
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