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Fusion360でスケッチを螺旋状に押し出す

2024/12/07に公開

背景

スケッチで作成した図形を螺旋軌道に沿って押し出す(スイープする)機能は、CADソフトによっては「ヘリカルスイープ」などの名称で実装されています。しかし、Fusion360には直接的に同じ操作をするコマンドがありません。

類似の機能に「コイル」コマンドがありますが、これは断面が円形・正方形・正三角形のいずれかに限定され、複雑な断面形状には対応していません。

目標

Fusion360で任意のスケッチを断面形状とし、コイルのように螺旋状に押し出す。

例として上図のウォータースライダーのような形状を作っていきます。

環境

  • Autodesk Fusion 2.0.20476 arm64 [Native]
  • macOS Sonoma 14.1

手順

1. コイルを作成

「作成」メニューから「コイル」コマンドを選び、最終的に作りたい螺旋と同じ寸法のコイルを作成します。
この時に決定すべきパラメータは「直径」「高さ」「ピッチ」です。断面の形状・位置・サイズは適当な値を設定します。作りたい断面と交差しないように設定すると、後半で面倒が減るかもしれません。

2. 断面スケッチを作成

コイル端部の断面にスケッチを作成し、作りたい断面を作成します。
例ではコイルを基準に拘束をかけていますが、他のオブジェクトを基準に拘束することも可能です。

3. コイルに沿ってスイープ

「作成」メニューから「スイープ」コマンドを選び、タイプ「パスとガイドサーフェス」を選択します。ここでガイドサーフェスを選択せず、単一パスのみを指定しようとすると断面がねじれながらスイープされてしまいます。

プロファイルは先ほど作成した断面スケッチ、パスはコイルのエッジ、ガイドサーフェスは(エッジに接した)コイルの表面を1つ指定します。
パスとガイドサーフェスを指定したらコイルのボディを非表示にしてしまうとプレビューが見やすいです。

4. コイルを除去

最後に元のコイルのボディを「除去」すれば完成です。スイープのときに参照しているため、「削除」は選ばないでください。

おまけ

円柱からの切り取り

作成した螺旋を円柱から切り取ることで、下図のような形状も作成することができます。
この場合はコイルの高さを円柱より1ピッチ分高くして、基準面の下から断面スケッチを描くと綺麗に円柱全体を切り取れます。

このとき、下図のように円柱外径からスケッチを引くと

このように表面に薄いゴミが残ってしまう場合があります。

この現象はスイープの際の計算誤差によるものと思われますが、下図のように断面スケッチを外径からわずかにはみ出させることで対策することできます。

螺旋の隙間を無くしたい

Fusion360では、今回紹介した方法でも標準のコイルコマンドでも、潰れた状態の圧縮コイルばねのような隙間のない螺旋構造を作成することはできません。
これはスイープやコイルの作成が自己交差の禁止によるエラーで失敗してしまうためです。完全に螺旋が重なっている場合はもちろん、断面の高さ(螺旋が伸びる方向の寸法)がピッチと同じ、すなわち断面が隣の断面と点や面で接している状態でも自己交差とみなされます。

小手先にはなりますがこの対策として、断面の高さをコイルのピッチよりほんの僅かに小さくすることで自己交差エラーを起こさなくなります。

上図のように、コイルのピッチ30mmに対して断面高さを29.99mmにして円柱からの切り取りを行うと

このように(一見)隙間のなく螺旋の切り取りが行えます。

なお、今回の例のような円柱からの切り抜きや、円柱への結合などでは問題になりませんが、実際には隙間があるのでスイープしたボディをそのまま3Dプリンタなどで出力する際は注意が必要です。

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