解析力学の小ネタ
よくあるネーターの定理とその示し方をまずおさらいする。
という変換を考える。ラグランジアン
これが、
となる。したがって、on-shellでは
次に、これを拡張したい。注目点は2点ある。
- ハミルトン力学を知ってる身からすると、変換が配位空間で閉じている場合だけを考えるのは明らかに狭すぎる。変換が速度に依存してはいけないのか?
- 保存量を求めるのが目的なら、部分積分計算を行なうときに、off-shellで議論する必要はないのでは?
これはその通りだ。そこで、
なぜこの形を考えるかというと、よく指摘されるように、
ところが、ちょっとまってくれ
そう、加速度だ。しかし加速度はラグランジュ理論には直接現れるものではない。
「整合的な変換係数」を書き下そうとしてしまうと、加速度が出てきてしまい、
変換として閉じた定義にならなくなってしまう。だから
伝統的なネーター定理は配位空間で完結するものしか示していなかったのだ[要出典]
が、ここで先のポイントの後者が効いていくる。そもそも保存量に関心があるのだから、
on-shellの議論ができれば十分だ。なんでもいいから
ラグランジアンが得られているのだから、今オイラーラグランジュ方程式も得られていて、それは
だが、これはもちろん
と出来たとする。というか、これはできるはずだ。出来ないなら運動の次元が一つ消えているので縮退していて、多分ハミルトン系に移行できないだろう。その時は隠れた対称性などを考える動機も多分ない。EELはなんとなくExplicite Euler Lagurangeの略だが記号はどうでもよい。これは、
これを先の
という変換を考える。これはきちんと書き下されているが、よくあるネーターと違う点がある。
それは、ある軌道をこれに従って変換したとき、もしもとの軌道が運動方程式に従ってなかったら、再び軌道になる保証がないということだ。つまり、on-shell軌道を再び軌道に写像する変換ということだ。on-shellじゃない場合はどうなるかわからない。しかし、ネーター定理の式変形をするにはそれで十分で、全く同じ計算によって、
が、on-shellに限り 成立し、on-shellなのだから
ラグランジュ力学において、
ラグランジアンの記法もまた問題で、例えば
そのシンボルで書かれなくてはならない特殊な演算など何もないので、
実際この方程式の意味するところは、
- 単なる
引数関数を2n+1 で偏微分する。q,v - 偏導関数の
に、未知関数q,v とその微分q(t) を代入する。\dot{q}(t) - 代入して
の関数になったあとでt 偏導関数側をv する。\frac{d}{dt} - その差を
として未知関数0 に関する条件とする。q(t)
というものだ。
もとの座標でのラグランジアンを
オイラー・ラグランジュ方程式は、変換後のラグランジアン
このことを示そう。
ここに未知関数
ここで、同様に
の部分が相殺するとわかる。したがって、
は
と同値となる。さて、
だが、これはまだ
なのだから、
となり、これは
以上、変数の依存性を明示的に書き下したために引数の表示は冗長になったが、