Fitbitから読み解くヘルスケアスマートウォッチデバイスで取得可能な情報
こんにちは、PharmaX エンジニアの尾崎(@FooOzaki)です!
この記事では、Google Fitbitを題材に、スマートウォッチデバイスで取得可能なヘルスケアデータにどのようなものがあるかをご紹介したいと思います。
はじめに
弊社は有志でGoogle Cloudの公式ユーザ会のJagu'e'rの分科会運営に携わっており、私自身もヘルスケア分科会の立ち上げや運営に携わらせていただいています。
ヘルスケア分科会の中でFitbitの活用事例のシェアも活発に行われており、近年のスマートウォッチデバイスの進化や医療分野への活用・研究事例の増加を感じています。
本記事を通じてスマートウォッチデバイスの潮流を少しでも掴んでいただければ幸いです。
また、はじめに他のスマートウォッチデバイスはどうなの?というところも個人的な見解としてお伝えしておくと、ヘルスケアデータという観点ではあまり大差がないというのが個人的な見解です。
ウェアラブルデバイス x ヘルスケアの代表格のFitbitを押さえておけば、執筆時点(2024年春)のスマートウォッチデバイスセンサーや取得可能なヘルスケアデータ事情は掴めると思います。
※ ヘルスケア以外の音楽再生・決済等の機能は今回触れません。
Fitbitとは
Fitbit社は2007年にアメリカで設立された企業で、2021年にGoogle社に買収されました。Fitbitは、フィットネスと健康管理に焦点を当てたウェアラブルデバイスの開発・製造を専門としており、ヘルスケアスマートウォッチのパイオニア的な企業です。2019年のGoogleの買収発表当初は時価総額の10倍近くの金額で買収すると噂されて業界では話題になりました。
Fitbitデバイスは安価なものだと1万円未満のものからハイエンドモデルだと3万円を超えるものまであります。Google Pixel WatchにもFitbitの一部機能が搭載されていますが、Google Pixel Watchはヘルスケア以外の機能も豊富についている分もう少し割高になります。
個人的な意見にはなりますが、スマートウォッチデバイス全体でのFitbitの立ち位置としては、ヘルスケア目的かつ安価なものを探しているならFitbit、それ以外にも音楽再生等の機能を求めるなら他のスマートウォッチデバイスを選択肢にみたいな印象です。
Fitbitのモデルとデバイスセンサーについて
センサーと取得可能なデータ
Fitbitのモデルについては後述しますが、モデルによってデバイスについているセンサーが異なり、価格も変わってきます。
Fitbit限らずですが、特に近年の進化としてはSpO2センサー、ECGセンサー、EDAセンサー、皮膚温度センサーあたりを持ったデバイスが多く登場し、かなり活用の幅が広がった印象です。
特に精神疾患(ストレス)や生活習慣病と相関があるといわれる項目がより多く取れるようになってきており、リアルタイムに常時観測可能なFitbitを用いた研究事例も耳にするようになってきました。
Fitbitのセンサーと取得可能なデータ
Fitbitのモデルについて
詳細は公式の製品一覧を見ていただければと思いますが、前述のセンサーをはじめとして機能面によって値段に結構差があります。
また、GoogleがFitbit社を買収した一つの狙いだったとは思いますが、Google Pixel WatchのモデルにFitbit機能が徐々に盛り込まれてきています。そのため、Fitbit単体のモデルがどうなっていくかは未知数なところはあります。
一番安価なモデルだと1万円未満のInspire系のモデルなのですが、心拍センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーまでしかついていないので取れないデータがあり、GPSもついていません。心拍、歩数・距離や加速度センサーによる睡眠記録ぐらいであれば取れるので、通常のアクティビティ記録目的であれば全然事足ります。安めのスマートウォッチデバイスだとヘルスケセンサーはこの程度のものが多かったりするで、1万円前後という値段はFitbitの魅力ではあります。
Fitbit Inspire3(https://www.fitbit.com/global/jp/products/trackers/inspire3)
ハイエンドモデルだと3万円近くしますが、血中酸素飽和度・皮膚温度・皮膚電気活動計測によるによる詳細な睡眠分析やストレス分析などができるのが特徴です。
このモデルだとSuicaや音声アシスタント等の機能もついています。
Fitbit versa4(https://www.fitbit.com/global/jp/products/smartwatches/versa4)
筆者はversaシリーズを実際使っていますが、睡眠時無呼吸症候群で通院したりもしてるので、血中酸素飽和度が計測できるSpO2センサーがついているのが決め手でした。最近はFitbit以外のスマートウォッチにもSpO2センサーやEDAセンサーが搭載されているものを目にするようになってきました。(どれも高いモデルが多いですが…)
Fitbitのレポートイメージ紹介
一部は月額制のプレミアムプランに入る必要があるのですが、自分自身のデータを見る用途ではダッシュボードからデータを閲覧可能です。
本記事で紹介するのは一部ではありますが、ある程度データ活用のイメージをつけてもらえるのではないでしょうか。
筆者は枕やマットレス、寝る姿勢にかなりこだわってるのでどの体制や枕が良いのかなど、このデータを見ながら睡眠の質改善に取り組んでいます。
運動
睡眠
睡眠時間
APIで取得可能なデータ
Fitbitの特徴として、API経由でデータ取得ができます。取得可能なデータ例を列挙しましたが、項目やデータフォーマットパターンもかなり多いので興味ある方は以下のAPIリファレンスを見ていただくと良いかと思います。
-
アクティビティデータ
- 歩数
- 距離
- 消費カロリー
- 階段
- アクティビティレベル
- アクティビティタイプ
- アクティビティ時間
- アクティビティゾーン
-
心拍データ
- 平均心拍数
- 最大心拍数
- 最小心拍数
- 心拍数ゾーン
- 心拍数変動
- 心拍数データ(分単位)
-
睡眠データ
- 睡眠時間
- 深い睡眠時間
- 浅い睡眠時間
- レム睡眠時間
- 起床時間
- 入眠時間
- 睡眠スコア
- 呼吸数
- 血中酸素飽和度
- ストレスレベル
この他にもFitbitには自身で入力・記録できる項目や、体重計と連動して記録できる項目などもあり、体重データ(体重・体脂肪率・筋肉量・骨量etc)や生理データ、血圧、血糖値なども記録されていればAPIで取得可能です。
ただrawデータは時間 x 値のものが多いのでうまく整形・抽出して活用する必要はあります。
まとめ
本記事ではFitbitで取得可能なデータを紹介してきましたが、デバイスの進化により、これまで医療機関などの専門機関でしか計測できなかったものが少しずつリアルタイムに常時観測可能になってきています。
Fitbitの活用事例として、大学病院などと連携した研究例、特に精神疾患、生活習慣病の予防・経過観察等の事例はよく耳にします。データの活用の応用例もこれからますます出てきそうです。
また、デバイス自体もここ数年でさらに進化が激しそうな分野ではあるので、引き続きこの分野は目が離せないなと思っています。
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