MPEG(エムペグ)って何?
はじめに
音声や動画の形式を整理していてふと思い立ったので
MPEGという規格について改めて整理してみようと思います。
MPEGとは
MPEG(エムペグ)とは、主に動画や音声のデータを圧縮するための規格の総称、
またはその規格を策定した組織「Moving Picture Experts Group」の略称です。
1988年に策定されました。
MPEGの主な役割
動画・音声の圧縮
デジタルデータのままではサイズが大きすぎる動画や音声を、
様々な技術を使って圧縮し、扱いやすいサイズにします。
圧縮・伸張の規格化
圧縮・伸張の方法を統一することで、異なる機器やソフトウェア間での互換性を確保します。
MPEGの活用例
-
DVD
- DVD-Videoでは、MPEG-2という規格が採用されています。
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デジタル放送
- 地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送などで、MPEG-2やMPEG-4 AVC(H.264)といった規格が利用されています。
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インターネット動画配信
- YouTubeやNetflixなどの動画配信サービスでも、MPEG-4 AVCや、より高効率なHEVC(H.265)といった規格が広く使われています。
MPEGのポイント
高効率な圧縮
コマ間の差分情報などを利用することで、データを大幅に圧縮できます。
幅広い応用
DVD、デジタル放送、インターネット動画配信など、様々な場面で活用されています。
規格の進化
より高効率な圧縮技術の開発が進み、新しい規格が次々と登場しています。
規格
MPEGは、現代のデジタル社会において、動画や音声を扱う上で欠かせない重要な技術となっています。
MPEGには様々な規格が存在し、それぞれ特徴や用途が異なります。
MPEG-1
特徴
初期のMPEG規格であり、主にCD-ROMでの動画再生を目的として開発されました。
比較的低いビットレートでの圧縮を想定しており、画質はVHSビデオテープと同程度です。
MP3(MPEG-1 Audio Layer 3)はこの規格の一部であり、音声圧縮技術として広く普及しました。
用途
- ビデオCD、初期のデジタルビデオカメラなど
MPEG-2
特徴
MPEG-1を拡張し、より高画質・高音質での圧縮を可能にした規格です。
DVD-Video、デジタル放送など、標準画質(SD)コンテンツの圧縮に広く採用されています。
用途
- DVD-Video
- 地上デジタル放送
- BSデジタル放送
- CSデジタル放送
など
MPEG-4
特徴
複数の規格を含む包括的な規格であり、
Part 2、Part 10(AVC/H.264)、Part 14(MP4)などが含まれます。
Part 2は、低ビットレートでの圧縮に優れており、
携帯電話やインターネット動画配信などで利用されました。
Part 10(AVC/H.264)は、高画質・高効率な圧縮技術であり、
Blu-ray Disc、地上デジタル放送、インターネット動画配信などで広く採用されています。
Part 14(MP4)は、動画、音声、字幕などを一つのファイルに格納するためのコンテナ形式です。
用途
- Part 2
- 携帯電話、インターネット動画配信(初期)など
- Part 10(AVC/H.264)
- Blu-ray Disc、地上デジタル放送、インターネット動画配信など
- Part 14(MP4)
- インターネット動画配信、スマートフォンでの動画再生など
HEVC/H.265
特徴
H.264の後継規格であり、さらに高効率な圧縮技術を採用しています。
4Kや8Kといった高解像度動画の圧縮に適しており、
Ultra HD Blu-ray、4K/8K放送、インターネット動画配信などで利用されています。
用途
- Ultra HD Blu-ray、4K/8K放送、インターネット動画配信など
その他
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MPEG-7
- マルチメディアコンテンツの記述・検索のための規格
-
MPEG-21
- マルチメディアコンテンツの流通・保護のための規格
MPEGまとめ
上記以外にも、様々なMPEG規格が存在します。
技術の進歩とともに、より高効率な圧縮技術や新しい用途に対応した規格が開発され続けています。
MP3
音楽の形式でよく触れることのあるMP3(エムピースリー)もMPEGの規格の一つです。
具体的には、MPEG-1 Audio Layer 3の略称で、
MPEG-1規格で定義された音声圧縮技術の一つです。
MP3は、人間の聴覚特性を利用して、人間の耳には聞こえにくい音をカットしたり、
聞こえやすい音の精度を優先的に確保したりすることで、高効率な圧縮を実現しています。
これにより、CD音質に近い音質を保ちつつ、ファイルサイズを大幅に小さくすることができます。
この特徴から、MP3は音楽ファイルの保存やインターネットでの配信など、
様々な場面で広く利用されるようになりました。
基本的な特徴
非可逆圧縮
元のデータに戻せない圧縮方式ですが、人間の聴覚特性を利用して、
知覚できない音を削除することで高効率な圧縮を実現しています。
高圧縮率
CD音質(1411.2kbps)の音声を1/10〜1/12程度のサイズに圧縮できます。
可変ビットレート
音声データの複雑さに応じてビットレートを変化させることで、
音質とファイルサイズのバランスを調整できます。
フレーム構造
音声データを一定時間ごとに分割したフレーム単位で圧縮・伸張を行います。
主なパラメータ
ビットレート
1秒間の音声データに割り当てるビット数。
一般的には、128kbps、192kbps、320kbpsなどが使用されます。
ビットレートが高いほど音質は向上しますが、ファイルサイズも大きくなります。
サンプリング周波数
1秒間に音を何回サンプリングするか。
一般的には、44.1kHz、48kHzなどが使用されます。
チャンネル数
モノラル(1チャンネル)またはステレオ(2チャンネル)を選択できます。
ID3タグ
曲の情報
曲のタイトル、アーティスト名、アルバム名、ジャンル、年、
トラック番号などの情報を埋め込むことができます。
バージョン
ID3v1とID3v2の2つのバージョンがあります。
ID3v2はより多くの情報を扱え、日本語にも対応しています。
その他
VBR(可変ビットレート)
音声データの複雑さに応じてビットレートを変化させることで、
音質とファイルサイズのバランスを最適化できます。
ABR(平均ビットレート)
平均ビットレートを指定することで、VBRよりもファイルサイズを予測しやすくすることができます。
CBR(固定ビットレート)
ビットレートを固定することで、再生時の負荷を軽減できますが、音質が安定しない場合があります。
ジョイントステレオ
ステレオ音声の一部をモノラル化することで、ファイルサイズを削減できます。
MP3まとめ
MP3は、高圧縮率と比較的高い音質を両立できる音声圧縮技術として、
音楽ファイルの保存やインターネットでの配信など、様々な場面で広く利用されています。
ただし、非可逆圧縮であるため、元の音質には戻せない点に注意が必要です。
近年では、AACやOpusなど、MP3よりもさらに高効率な圧縮技術が登場しており、MP3の利用は減少傾向にあります。しかし、その手軽さや互換性の高さから、現在でも多くの場面で使用されています。
おわりに
今回は普段馴染みのあるMPEGという形式について詳細をまとめてみました。
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