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AudioCodes MP-118 VoIP GatewayをMikoPBXに収容する

2025/02/26に公開

はじめに

この記事はいまさら VoIP 網を読み、交換局の気持ちになり、うっかり「上」を目指した結果MP-118を購入してしまった人向けの記事です。普通に交換局を組みたい人は「いまさら VoIP 網」を参照してください。

設定方法

オークションなどで手に入れたMP-118は、以前の設定が残っていることがあります。設定が残っているとIPアドレスの兼ね合い等でWebUIなどが使用できないことがあります。マニュアルには背面のRESETボタンを6秒押すと初期化されると書いてあるような気もしますが検証していません。
最も確実な方法としては、背面のシリアルポートを使用することですが、このポートはPS/2コネクタと同じコネクタになっており、普通のシリアルケーブルやいわゆる「コンソールケーブル」を直接接続できません。そこで以下の図のように接続してください。なお、この図はMP-118の背面側コネクタに合わせて作っています。

接続できたら、TeraTermなりminicomなり好きなターミナルソフトウェアでボーレートを9600bps、8bit、パリティなし、ストップビット1bit、ハードウェアフローコントロールはオフに設定しましょう。正しく接続されていれば、MP-118に残っている設定による大量のエラーログとか、何も出てこなければ一回Enterキーを押すとなにか喋るはずです。

コンソールに入れたら/conf/rfs approvedを実行し、画面の指示に沿った後に/conf/sarを実行すると工場出荷時の状態になります。
完全に初期化されるとMP-118はIPアドレス10.1.10.10 サブネットマスク255.255.0.0に設定されます。WebUIの接続のためにPCのIP設定を一旦合わせてください。
ただし、PCとLANケーブルで直結する場合マニュアルにはクロスケーブルで接続しろとあるので、間にハブを噛ませたほうが確実かと思います。

WebUIに接続できたらログイン画面が出るのでユーザー・パスワードともにAdminでログインします。Aは大文字ですよ。
ログインできたらとりあえずIPアドレスを実運用のために変更します。
DHCPを使用したい場合はConfiguration内のSystem->Application Settingsの中の一番下にあるDHCP Settings->Enable DHCPをEnableにします。
固定IPにする場合はVoIP->Network->IP Interfaces Tableの中のSingle IP Settingsから設定します。
どちらも設定後Submitボタンを押すと即座に変更が適用されIPが変わるのでWebUIにもう一度接続しましょう。

次にCLIのインターフェースを有効化しておきます。一部設定はWebUIでは設定できません。
コンソールはtelnet接続かssh接続が使用できます。
ただしssh接続は「1024bit/2048bit RSAの公開鍵認証」のみらしいです。今どきのECDSAとかEd25519とかssh-keygenでデフォルト設定で作った鍵は使えないので注意してください。

ここから実際にMikoPBXに接続するための設定を行います。

まずWebUIからVoIP->SIP Definitions->Proxy & Registrationに行きます。そして以下の表のように設定します。

設定項目 設定値
Use Default Proxy Yes
Enable Registration Enable
Registrar IP Address MikoPBXのIPアドレス
Registrar Transport Type TCPあるいはUDP
Subscription Mode Per Endpoint
Registration Mode Per Endpoint

また、VoIP->Control Network->Proxy Sets Tableに行き、Proxy AddressにMikoPBXのIPアドレスを、Transport TypeにはTCPあるいはUDPを設定します。

VoIP->Coders and Profiles->Codersに行き、Coder Nameが空欄になっているところでG.711U-lawを選択します。これをしないとRegistに成功しているのに音声プロトコルが合わず通話ができません。

VoIP->GW and IP to IP->Hunt Group->Endpoint Phone Numberに行き、Channelは左端と同じ数値を、Phone Numberには各ポートに割り当てたい電話番号(内線番号)を設定します。あ、MikoPBX側で既にExtensionを定義している前提です。

VoIP->GW and IP to IP->DTMF and Supplementary->DTMF & Dialingに行き、Max Digits In Phone Numを10とか適当な十分に大きな値に設定します。デフォルトは5になっており、外線接続をする場合等に電話番号の入力途中で強制的に発信されます。

VoIP->GW and IP to IP->Analog Gateway->Authenticationに行き、User NameとPasswordにそれぞれMikoPBXのExtensionで設定した数値を入れます。

コンソールに入り、/conf/scp EnablePulseDialDetection 1を実行した後、/conf/sarを実行します。これを実行しないと黒電話等のダイヤル式(あるいはパルス式設定になっているモデム)から発信ができないのですが、WebUIに設定項目がありません。

さて、ここまで設定すれば、私が行った設定を忘れているかあなたが設定を間違ったかしない限りは、MikoPBXのExtensionsで該当の番号に緑のインジケータが出るかと思います。電話を掛けてみて繋がれば設定は完了です。お疲れ様でした。

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