早く成長する人に共通しているふるまい
先日、面接の逆質問で「早く成長する人の特徴はありますか?」と問われたりチームメンバーとの 1on1 で「成長」について議論する機会があったりなど、「成長」について何度か考える機会があったため、私が考えたことをまとめます。
「成長」とは何か
まず「成長」について考えると、個人単位での成長とは「プラスの変化」だと言えるでしょう。抽象的な話ですが、成長の本質は変化であるということです。
しかし組織の中で「成長」を評価しようとすると、周りとの相対評価になる側面も持ちます。ここでいう「周り」とは、所属しているチームや会社だけでなく、コミュニティや業界の水準なども含まれます。日々水準は上がり続け、個人の成長は周囲の成長と比較されることになります。
また、成長して変化したものがその組織にとってどのように影響するのかも加味されます。料理下手なソフトウェアエンジニアが新しくスコーンを作れるようになった例を考えると、個人単位では成長したと言えますが組織への影響は軽微であり、成長と言うのは難しいでしょう。
組織によっては「成長」が人事考課の評価制度などで規定・制度化されていることもあります。
このように「成長」と一口に言っても、前提を揃えないと誤解や齟齬が生まれることがあります。「早く成長する」というのは、より正確には「その組織の平均的な成長よりも早く組織にとって有益な形で変化する」となるわけです
以後はこの前提で話を進めます。
成長する人に共通するふるまい
私から見知りできる範囲では、早く成長する人に共通しているふるまいがあります。それは「圧倒的に行動していること」です。
これはすごく当たり前のことに聞こえるでしょうし、どの自己啓発系の書籍を見ても「行動しよう」と書いてあり、つまらないかもしれません。
しかし裏を返せば、それほど基本的で重要であるということです。早く成長した人の中に行動していない人はいません。その行動はさまざまですが、皆一様に何かしらの形で周囲よりも多くの行動を積み重ねています。
(読書、個人開発、コミュニティ活動、ブログ執筆などなど)
最初は行動量だけにフォーカスする
成長のために行動が必要ですが、まだ自分の行動に自信を持てていない人におすすめするのは、まずは「行動量」だけにフォーカスすることです。
行動の質や速度、効率などを考えるよりもまず先に行動量を増やすことが重要です。行動量を積み重ねていくと、その中で分かること・知ることが増えてきます。そうなると自然と改善されます。
その人にとっての「良い行動」があったとして、行動量が少ない段階でそれを探さないでください。行動量の初期段階で「行動の改善」に力を注がないということです。
行動量と質の関係
行動量 × 質 = 結果という簡略化したモデルで考えてみましょう。
- 行動量 10 の人が質を 10→12 にすることで、結果は 100→120 になる
- 質は 1 だが行動量 100 の人は、質を 1→2 にするだけで結果は 200 になる
ここでは簡単のため「質」と表現しましたが、実際はそのように単純なものではありません。個人によって向き不向きも存在します。その複雑さ故にそこは考えず、誰にとっても共通であり自身でコントロール可能な行動量だけに集中します。
加えて、先述しましたが行動していく中でここでいう「質」は自然と改善していきます。
能動的に改善させたいならダブルループ学習などに基づいたふりかえりなども有効ですが、これは量が一定以上の前提があります。繰り返しになりますが、量が十分でないのに改善しても効果は限定的です。
目指す人と同じ行動量をとる
行動量を増やせない、どこまでやったらいいか分からないという人は、目指している人と同じ行動量をとるようにすると良いでしょう。もし目指している人がいなければ、仮でもいいので決めてみてください。
一つ注意したいのは、その人と同じ行動をとる必要はないということです。ここで伝えているのは同じ量であり、具体的な方法などまで同じにする必要はありません。
「そんなことを言われても他人の行動量なんて分からない」という意見もあると思います。それはもっともですが、見えている分だけでも同じにする、もしくは自分から見て「あの人はこのくらいやっているだろう」という推測量を目指してみましょう。
「能力は習慣の積分、習慣は行動の積分」
広木大地さんの著書である エンジニアリング組織論への招待 に書かれた私の好きな言葉です。この言葉タイトルとなった項には以下のように述べられています。
私がよく使う言葉として、「能力は習慣の積分だ」というものがあります。「習慣」とは「行動」が染みついたものです。そのため、「行動」や「習慣」は外からでも、メンタリングの方法論を用いて成長を促すことができます。
一方、能力や成果といったものを直接的に干渉することはできません。人の成長のサイクルは、行動・習慣・能力・成果の 4 つの事柄のループなのだと思います。習慣が能力に変われば、成果につながり、成果は自得となって次の行動を強化してくれます。
これはメンタリングという他人への作用の文脈で語られているものですが、自分自身の成長についても同じことが言えるでしょう。
成長のために行動を変える。その最初の一歩として、まず量を変えてみることを私は提案します。
おわりに
この記事では、成長するにはまず量にフォーカスして行動してみましょう、という話をしました。また、自身の行動量のふりかえりとして、目指しているあの人と同じ量の行動をとれているか?と自問する方法を紹介しました。定期的に問い直すようにしてみてはいかがでしょうか。
成長したくて悩んでいる方は、第一歩として今すぐ何かを始めることかもしれません。
おわりになりますが、「行動しなければならない」というストレスにはお気をつけください。意識的にしろ無意識的にしろ、焦りなどを伴って「成長しなければならない」と考えてしまい、自分を叱責して追い込んでしまい、結果バーンアウトに陥ることもあります。
成長とは本来、自然と起こる「変化」であり、強制されるものではなく、成長するとできることが増え、新たな気付きを得られ、楽しく嬉しいものであるはずです。それなのに逆に過度のストレスを感じ、気持ちが続かずに行動しなくなるのは、とてももったいないことだと思います。
まずは最初の一つから始めてみましょう。
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