Claude Codeの「output-style」でデフォルトシステムプロンプトをカスタマイズ
2025年8月15日、Anthropic社からClaude Codeの新機能として「output-style」が発表されました。この機能により、開発者や学習者は自分の学習スタイルに合わせてClaudeとのコミュニケーション方法をカスタマイズできるようになりました。
output-styleとは?
output-styleは、Claude Codeにおけるコミュニケーションスタイルをカスタマイズする機能です。/output-style
コマンドを使用することで、Claudeの応答方法を自分の学習目標や作業スタイルに合わせて調整できます。
標準で提供される3つのスタイル
1. Default(標準)スタイル
特徴:
- コーディングタスクを効率的に完了
- 簡潔で要点を絞った応答
- 通常の開発作業に最適化
適用シーン:
- 日常的な開発作業
- 効率重視でサクサク進めたい時
- 基本的なコーディングサポートが欲しい時
使用方法:
/output-style
コマンド実行後、利用可能なスタイルリストから選択
2. Explanatory(説明重視)スタイル
特徴:
- ソフトウェア開発タスクを支援しながら教育的な解説を提供
- 実装の選択理由とコードベースパターンの理解をサポート
- アーキテクチャの決定理由を詳細に解説
- トレードオフの考慮点を明示
- ベストプラクティスを教えながらコーディング
適用シーン:
- 新しい技術スタックを学習している時
- 設計パターンの理解を深めたい時
- コードレビューのような詳細な解説が欲しい時
- 初心者〜中級者の学習段階
使用方法:
/output-style
コマンド実行後、利用可能なスタイルリストから選択
3. Learning(学習重視)スタイル
特徴:
- 共同で学びながら実践するモード
- コーディング中にインサイトを共有
- ユーザーに戦略的な小さなコードの作成を依頼
- Claude CodeがTODO(human)マーカーをコードに追加
- ユーザーの実装を支援しながら学習をサポート
適用シーン:
- 実践的なスキルを身につけたい時
- 手を動かしながら学習したい時
- ペアプログラミングのパートナーが欲しい時
- アクティブラーニングを重視する時
使用方法:
/output-style
コマンド実行後、利用可能なスタイルリストから選択
他のClaude Code機能との比較
Claude Codeには類似した機能がいくつかありますが、output-styleは独自の特徴を持っています:
Output Styles vs CLAUDE.md vs --append-system-prompt
機能 | システムプロンプトへの影響 | 動作方式 |
---|---|---|
Output Styles | デフォルトのソフトウェア開発用システムプロンプトを完全に無効化 | 独自のシステムプロンプトで置き換え |
CLAUDE.md | デフォルトシステムプロンプトは変更しない | デフォルトプロンプト後にユーザーメッセージとして追加 |
--append-system-prompt | デフォルトシステムプロンプトは変更しない | システムプロンプトの末尾に内容を追記 |
Output Styles vs Agents
項目 | Output Styles | Agents |
---|---|---|
影響範囲 | メインエージェントループに直接影響 | 特定タスクを処理する独立したエージェント |
変更対象 | システムプロンプトのみ | モデル選択、利用可能ツール、実行条件なども設定可能 |
用途 | コミュニケーションスタイルの変更 | 専門的なタスクの処理 |
Output Styles vs Custom Slash Commands
機能 | 概念 | 用途 |
---|---|---|
Output Styles | 「保存されたシステムプロンプト」 | コミュニケーション方法そのものを変更 |
Custom Slash Commands | 「保存されたプロンプト」 | 定型的なタスクや指示の自動化 |
カスタムoutput-styleの作成方法
標準スタイル以外にも、独自のoutput-styleを作成できます。これにより、より特化した用途や個人的な開発スタイルに対応可能です。
新しいスタイルの作成コマンド
/output-style:new I want an output style that ...
このコマンドを使用すると、Claudeが指定した要件に基づいて新しい出力スタイルを作成し、~/.claude/output-styles
にマークダウンファイルとして保存されます。作成されたスタイルは全プロジェクトで利用可能になります。
手動でのカスタムスタイル作成
独自のマークダウンファイルを作成することも可能です:
保存場所:
- ユーザーレベル:
~/.claude/output-styles
- プロジェクトレベル:
.claude/output-styles
実務で活用できるカスタムoutput-style事例
学習重視の標準スタイルに加えて、実際の開発現場で活用できるカスタムoutput-styleの例をご紹介します:
Rapid MVP Style(高速プロトタイプ)
/output-style:new I want an output style that builds minimal viable products rapidly. Skip detailed explanations and focus on speed. Mark technical debt points as TODO items for future improvements.
日本語翻訳:
/output-style:new 最小限の実用可能な製品(MVP)を迅速に構築するoutput-styleが欲しい。詳細な説明はスキップしてスピードを重視。技術負債のポイントは将来の改善のためのTODOアイテムとしてマーク。
適用場面:
- 新機能のプロトタイプ作成
- アイデア検証のための概念実証
このスタイルは、完璧なコードよりも「動くもの」を早く作り、市場やユーザーからのフィードバックを得ることを重視する現代的な開発手法に最適です。
どのスタイルを選ぶべきか?
状況 | 推奨スタイル | 理由 |
---|---|---|
日常的な開発作業 | Default | 効率的で簡潔な応答 |
新しいフレームワークの学習 | Explanatory | 詳細な説明で理解を深められる |
コーディングスキルの実践 | Learning | 実際に手を動かして学べる |
大規模プロジェクトの設計 | Explanatory | アーキテクチャの判断根拠を知れる |
アルゴリズムの実装練習 | Learning | 段階的に実装して理解を深められる |
まとめ
Claude Codeのoutput-style
機能は、従来のデフォルトシステムプロンプトを置き換えることで、開発者一人ひとりの作業スタイルに合わせたAIとの協働を実現する新機能です。
主なポイント:
- デフォルトシステムプロンプトの置き換え:他機能とは異なり、ソフトウェア開発用のデフォルトシステムプロンプトを置き換え
- 標準スタイル:Default、Explanatory、Learningで様々なニーズに対応
- カスタムスタイル:独自の要求に応じたスタイルの作成が可能
- 柔軟な管理:ユーザーレベル・プロジェクトレベルでの使い分け
この機能により、単なるコード生成ツールを超えて、自分専用にカスタマイズされたAIアシスタントとして活用できるようになります。
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