なぜ、認知能力が低いと絶望的にLLM AIを活用しづらいのか?
はじめに
生成AIである LLM(Large Language Model)は、「誰でも使える未来のツール」として語られています。しかし、実際には AI を使いこなせる人と使いこなせない人の間に絶望的な差が生まれています。この差を決定しているのは、ツールの知識ではなく、ユーザー側の認知能力と、真実性を感じる基準です。認知能力が低い人は、AIの回答が尤もらしいかどうかで真偽を判断します。一方で認知能力が高い人は、自分の知識体系との論理的整合性を基準に真偽を判断します。
この「真実みを感じる基準の違い」が、LLM活用の可否を左右します。そして、この能力こそ、昔から「頭が良い人材」と呼ばれてきたものと完全に一致します。
LLMは真実ではなく「尤もらしさ」を返す
LLMは、内部で検索しているのではなく、言語パターンの確率から**“尤もらしい文章”**を生成しています。正確性や論理整合性を保証しているわけではありません。
ここで決定的な分岐が発生します。
- 認知能力が低い人 → 尤もらしさに真実みを感じます。
- 認知能力が高い人 → 論理整合性に真実みを感じます。
だから、認知能力が低い人は、AIの“もっともらしい誤回答”を鵜呑みにしてしまいます。
LLMは嘘をついているのではありません。「尤もらしい嘘」を生成しているだけです。
高認知能力者は「論理整合性でチェーンされた知識体系」を持つ
認知能力が高い人は、幼少期から知識を**点ではなく“つながり”として蓄積します。情報を因果関係で理解し、矛盾があれば排除します。
この知識体系によって、新しい情報を受け取っ時に「これは自分の知識体系と矛盾していないか?」**という思考がが自動的に開始されます。
LLM活用において、この整合性チェックが最重要です。重要なのはIQそのものではなく、IQが高いことによって**育まれた学習法と思考法(副産物)**です。
認知能力が低いユーザーの「六重苦」
認知能力が低い人は、AI活用において次の六つの障害に直面します。
1. 問題を定義できない
何が問題かを言語化できません。
2. 解決の状態を定義できない
どの状態が「解決」なのかわかりません。
3. 有効なプロンプトを作れない
曖昧な質問が、曖昧な回答を生みます。
4. 回答を読解できない
抽象的な説明や論理構造を読み取れません。
5. 回答の正誤を判断する知識が無い
判断できないため、鵜呑みにします。
6. 判断するための思考力が無い
矛盾に気づいても、処理できません。
結果として、AIは尤もらしい嘘を生成し、認知能力の低い人は尤もらしさを真実だと感じます。
よくある「ハルシネーション対策ハウツー」が無駄な理由
世の中には、次のようなハウツーが溢れています。
- 「根拠を示すように指示しましょう」
- 「ステップバイステップで回答させましょう」
- 「箇条書きで質問しましょう」
しかし、これらは 低認知能力者には効果がありません。理由は三つです。
● 前提として“問題定義”ができていません。
問題が定義できていないから、プロンプト改善もできません。
● AIは整合性を保証しません。
根拠を要求しても「尤もらしい嘘の根拠」が出てきます。
● ハルシネーション対策は「論理で検証する力」がないと成立しません。
プロンプト技巧は、既に考えられる人だけに効くのです。
つまり、ハルシネーション対策は“頭が良い人にしか効かない”。 のです。ハウツーで解決しようとする発想自体が、根本原因を理解していません。
「AI活用スキルの高い人材」=昔から言われる「頭が良い人材」
最近、「AI活用スキルの高い人材が必要だ」 という言葉を企業は好んで使います。
しかしこれは、**朝三暮四と同じです。**猿に朝に3つ、夕に4つ餌をあげると言うと怒るが、夕に3つ、朝に4つと言うと喜ぶ、という故事です。名前を変えているだけで、本質は古代から変わっていません。
- 問題を抽象化できる
- 情報を整理できる
- 論理で検証できる
- 学習し続けられる
これは、いつの時代でも “頭が良い人材”の定義そのものです。
AIで必要とされる能力とは、「AI活用スキル」ではなく、「元から頭が良いこと」です。 言葉を変えているだけで、実態は古代から変わりません。
認知能力が低いと「学習ループが永遠に回らない」
AIで成長するには、理解 → 統合 → 次の質問が改善 というループが必要です。
認知能力が高い人は、上記の成長ループを回せますが、認知能力が低い人は 理解できない → 統合できない → 質問が改善しない という流れに入ってしまうため、AIをどれだけ触っても成長しません。
まとめ
LLM AIは、使う側の思考力をそのまま結果に変換する道具です。
- 認知能力の低い人は、尤もらしいものに真実みを感じます。
- 認知能力の高い人は、論理整合性に真実みを感じます。
そして企業が求める「AI活用人材」とは、 昔から言われている「頭が良い人材」と同義であり、ただの朝三暮四です。 AIは“真実”を提供するのではなく、考える力を持つ人だけが“真実にたどり着ける道具”です。
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