QDASにテキスト編集機能は必要か & コーディングと索引づくり(Saboten開発日記 2)
QDAS にテキスト編集機能は必要か
Saboten にテキストデータの編集機能を加えた。
- テキストをスクロールした状態で編集モードに入るとホワイトアウトする。
- 編集モードから戻ってきたときに画面が揺れる。
という不具合は残っているが、一応動作する。
編集機能を追加するかどうかは迷った。
- トランスクリプトの typo を後から修正したいといったシーンは必ず出るだろうし、そのたびに修正したデータを追加してコーディングをやり直すのは非現実的に面倒。
- テキストデータを一から Saboten 上で入力することもできるようになるが、それは設計思想に反する。あくまで、データを作成したあとに使う「質的データ分析ソフト」(QDAS)であることにとどめ、データ収集機能などを足そうとしてソフトが肥大化することのないようにしたい。
結果として、「Saboten にテキストデータを追加する方法は、既存のプレーンテキストファイルから追加するだけにし、空のデータを Saboten 上で作成できるようにはしない。ただ、追加したテキストデータのちょっとした修正用として、編集モードは用意する」ことにした。
これもまあ、空の.txt ファイルを用意して追加すれば、Saboten をデータ入力ソフトとして使うこともできるが、そんな面倒なことをやるくらいだったらテキストエディタや書き起こし支援ソフトを使いましょうよというメッセージにはなると思う。
QDAS 上でデータを入力できてしまうのはよくないと思っていて、もしその QDAS がオープンなファイルフォーマットを採用していなければ、分析プロジェクトどころかデータそのものがロックインされてしまう。データは別途作成して、QDAS にインポートして分析するというのが、正しい手順だろう。Saboten は意図的にその手順しか踏めないようにする。
コーディングと索引づくり
以下は Twitter に書いたことの転載。
- QDAS の先祖はコマンドラインで動くテキストの索引作成ソフトだったのが、90 年代に GUI が広まって階層表現が得意になって今っぽい感じになっていたらしい
- こういう歴史を知ると、概念だとかカテゴリーだとか言う前に、まずはデータを縦断的・横断的に観察するのに有用な索引をつくることからコーディングを始めるのがいいんだなと思う
- 索引づくりだと理解すれば、書籍編集や図書館情報学の知見を参考にすればいいという見通しも立つし
たまに、文言としては違うけれども同じような意味をもつ言葉がまとめられたり参照関係になったりしている索引があるが、それをどう考えたら作れるのかはぜひ知りたいと思った。

たとえばデータで「Vlog」という表現は使っていないが、「奮闘日記」とは書いているときに、それを索引で Vlog と一緒に引けるようにするかどうか、みたいな判断は、すでに質的データ分析だろう。
量的データ分析をする人が統計学を参考にできるように、質的データ分析をする人がどういう分野にコンサルティングを求められるのかという問題は前から関心がある。それもあって今はテキストマイニングをぼちぼち勉強しているが、コーディングと索引づくりの類似性を手がかりに書籍編集術や図書館情報学にも相談可能なことが見えた。
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