未経験新卒がチームの環境を変えようとして空回りした
新卒で入った現場で、「正しいことをしているのになぜかうまくいかない」と感じていたことについての話です。
はじめに
私が新規参画したチームには、長いプロダクトにはありがちな問題が積もり積もっていました。
手を回せていないことや課題が山ほどあり、日々の業務の進め方にもほころびが見えました。
サービスに求められるスピードや柔軟性に対して、やり方は保守的でした。
ウォーターフォール的な進め方、冗長もしくは曖昧な工程、レガシーで密結合なシステム。
テストコードはなく、MVCも分離されていませんでした。ドキュメントも整備されておらず、誰も全体を把握できていませんでした。
動かなければ何も変わらないと思い、気づけば“背伸びした正義感”で立場を忘れて必死に動いていました。
やったこと
当時の私は、
「このチームを良くするために、とにかく行動しなきゃ」と思っていました。
会議体や開発フローに対しての改善提案をしたり、
担当案件の範囲を超えたリファクタリングをしていました。ソース外のことでも、「これを直せばもっと良くなる」と思えば手を出していました。
その動機は純粋で、「改善したい」という気持ち自体は間違っていなかったと思います。
ただ、新卒という立場でできることと、するべきでないことの線引きができていませんでした。
未熟だったこと
今思えば、環境を変える前に、まず理解するべきでした。
当時の私は、「正しいことをしているのになぜうまくいかないんだろう」と思っていましたが、今になって振り返ると、新卒という立場では、そもそも見えないことが多すぎたのです。
チームの背景、過去の経緯、力関係、他プロジェクトとの調整。それらは全体を見ている人にしかわかりませんし、新しく入った自分の意見がどんな影響を与えるかまでは想像できませんでした。
そんな状態で改善活動を続けていましたが、なかなか思うようにいかず、日々の仕事で徒労感だけが溜まっていきました。
理由としては、第一に自分の説明や調整などの実力不足、そして「関係性」や「信頼」を積み上げていなかったことによる発言力不足だったと思います。
学び
たとえ環境が悪くても、
“今のチームでどう生き残るか”が、私が考えるべき最初の一歩でした。
新卒に求められている積極性は、
「環境を変える」ことではなく、
「任された仕事を確実にやりきる」「信頼を積む」ことです。
それができて初めて、意見に耳を傾けてもらえる立場になれます。
その順番を、焦りの中で見失っていました。
改善点はもちろん聞かれるし、意見を求められることもあります。でも、そういうときは聞かれたときに答えるくらいでちょうど良かったのだと思います。
残念ながら、「出る杭は打たれる」ことはあります。だからこそ、焦らず、信頼を積み重ねながら少しずつ影響力を広げていくのが良いのだと思います。
おわりに
結局、私はその環境で理想とのギャップや折衷による疲弊、徒労感によって精神的に続けることが難しくなり、参画から一年未満で逃げるように退職という結果になってしまいました。
あの頃の自分には、もっとゆっくりやるという選択肢もあったのだと思います。
けれど同時に、あの環境のまま自分は長くは居られなかっただろうとも思います。
今になって感じるのは、著しく居心地の悪い環境に気づいたときに、私にできることは限られていたということです。
できることは、
- 信頼できるマネージャーに相談して状況を託すこと
- 耐えながら経験年数を積むこと
- あるいは次の環境へ行く決断をすること
この三つくらいだったと思います。
環境を変えるのは並大抵ではありませんし、大半の場合はただ苦しいだけになります。
この経験を通して私自身が学んだことは多くありましたが、結果的に自分も、周りのメンバーやマネージャーを疲弊させてしまったことは申し訳なく思っています。
時として衝突が必要な場合もあると思います。ただ、正しさを振りかざすだけの新参者がどう見られるか、受け取られるか、という想像力があのときにあればなと思っているので、ここに書き残しました。
あのときは「何とかしなきゃ」と焦っていましたが、今思えば「何とかしなくていい」場面や時もあるのだと思います。
この経験が、
同じように悩んでいる誰かが自分の立ち位置を見つめ直すきっかけや、
少しでも気持ちを整理する助けになれば幸いです。
感想などあればぜひコメントください。
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