俺のDesignDoc(兼Architecture Decision Record)
タイトル
俺の身体組成の変更について(2024年)
概要
下記の通り、俺の身体組成について仕様変更を行う
- 身長: 170cm(変更なし)
- 体重: 70kg(-14kg)
- 脂肪重量: 9kg(-15kg)
- 除脂肪体重: 61kg(+1kg)
- 体脂肪率: 12.8%(-15.7%)
- FFMI: 21.1
期間は6月1日から9月30日までの4ヶ月。
目的
第一に健康(総死亡リスクの低減)、第二に美観を目的とし、両者が競合する場合には健康を優先とする。
なおリリース後は運用保守フェーズに入りスペックの維持を行うため、4ヶ月の開発フェーズ中に持続可能な運用保守プラン策定も並行して行う必要がある。このため取り得る選択肢が複数ある場合にはより持続可能性に優れた選択肢を選びその検証を行う。
背景
近年、市場環境の変化(感染症の流行など)により本体重は高水準で推移してきた。昨年に至っては健康診断において要経過観察が発生したため本プロジェクトによって対応を行う。
以下では変更後スペックを決定するに至った背景について概要を説明する。
身長170cm、体重70kgの場合にBMI(体重/身長^2)は70/170^2で約24となるが、日本肥満学会ではBMI25以上を肥満としBMI22が統計的に最も健診での異常が出ない体重であるとしている。また健診合格率ではなく死亡率で見た場合にはBMI23~24.9が最も死亡リスクが低いとする研究や、BMI21~27が最も死亡リスクが低いとする日本人を対象とした研究もある。どちらの場合でもBMI24であれば範囲内となる。
なおBMIは算出に総体重しか参照しないため、脂肪5kg+除脂肪体重65kgの場合の体重70kgも、脂肪20kg+除脂肪体重50kgの体重70kgも同一に扱われる。死亡リスクとの関係を見るためにはBMIよりもWHR(ウェストヒップ比)の方が適切だとする米国内科学会やカナダでの研究もある。
ただしWHRについては日本人を対象とした疫学調査がBMIほどは充実しておらず、BMIほど確たる指針は現時点では見つけられなかった。
指標の話から離れて個別の話で見ると、脂肪については多すぎると心血管疾患、癌、呼吸器疾患などが増加し死亡率が上昇する。除脂肪体重(筋肉や骨などの重量)については低すぎても高すぎても死亡率が上昇するという研究があるが、高すぎる除脂肪体重での死亡率上昇がボディビルダーのような筋肉量自体に起因しているのか、それともアナボリックステロイドと関連があるのか、あるいは摂取タンパク質量に起因しているのか、等は不明だった。
以上を踏まえ、日本人において最も死亡リスクが低下すると思われるBMI23-24.9の範疇で脂肪量を少なめに除脂肪体重を多めの身体組成に設定を行った。体重70kg・除脂肪体重が61kgの時、脂肪は9kg、体脂肪率約12.8%、FFMI(除脂肪体重/身長^2)は61/170^2で約21.1となる。
体脂肪率10%以下は一般にボディビルダーの領域と言われており維持コストの増大や健康リスクなどが懸念として予想されるためそれを下回らないよう、FFMIについては競技によるが22からはアスリートの領域と言われているためそれを上回らないよう設定した。例えば日本のプロ野球選手の平均FFMIが約22、サッカー選手のロナウドのFFMIで21.7程度と言われている。
スケジュール
開発フェーズでは体重を週1kgの速度で減らし14週で14kg減少を行う。その後の2週間を調整に使う予備日とし計16週間を本プロジェクト期間とする。その後の保守フェーズでは身体への負担が少ない体制に移行する。
適切な減量ペースについては諸説あるが4週間で体重5%減を許容する場合、本プロジェクトに当てはめると約3.5kg-4.2kg/4週間のペースとなる。(日本肥満学会の肥満症診療ガイドラインでは1ヶ月に1%程度がペース目安として紹介されているため、それと比較するとかなり急な減量となる)
設計概要
開発フェーズについて
カロリー制限と筋力トレーニング、HIIT、ウォーキングを併用する事で一週間のエネルギー収支を-9000kcalとする。脂肪1kgを減らすために必要なエネルギーは約-7200kcalであるがバッファとして多めに設定を行う。
カロリー制限について、6日間のカロリー制限日と1日の休息日を1サイクルとし、制限日の摂取カロリーは1200kcal、休息日(チートデイ)は2700kcalの週合計9900kcalを目安とする。
なお1日のタンパク質摂取量は90gを目安とし脂質と糖質のバランスについては特に目安を設けない。赤肉(牛肉・豚肉)、人工甘味料の日常的な大量摂取は避け、鶏肉・魚介類・植物性タンパク質での摂取を主とする。またクレアチン一水和物(モノハイドレート)を1日に5g摂取する。糖質についてはGI値の低いものを選択する。
トレーニングについて、6日間のトレーニング日と1日の休息日を1サイクルとする。筋力トレーニングについてはチョコザップのマシンを利用、全身法を採用し1種目につき2セットずつを全種目で実施する。また最後にフィットネスバイクによるHIITを実施した上で1日の合計トレーニング時間は60分程度になるよう調整を行う。「骨格筋率」「タンパク質」「体水分」の3指標を継続的に監視しオーバーワークの兆候が見られた場合にはトレーニング日を6日/7日から3日/7日程度に減らすなど対策を検討する。
なおチートデイとトレーニング休息日は同一日に重ならないよう極力調整を行い、チートデイの食事直後には可能であればトレーニングまたはウォーキング・バーピージャンプ等を実施する。
保守フェーズについて
リリース時のスペックの維持のみを目的とする
摂取カロリーについて、1日2500kcalを目安とする。1日のタンパク質摂取量は引き続き90gを目安とし脂質糖質を増やす事で調整を行う。その他方針はリリース時と同様とする。ただしクレアチン一水和物の摂取は行わない。
トレーニングについて、全身法で週に多くて2度、少なくとも1度60分程度実施する。
食事設計
カロリー制限休息日(チートデイ)について
個人差はあるが減量を1ヶ月程度続けると停滞期と呼ばれる体重が極端に減りにくい状態になる。これに対処する方法としてはチートデイを設けたり、カーボサイクル、ローファットとローカーボの切替など様々な手法があるが、本プロジェクトでは持続可能性に最も優れていると思われるチートデイのみを導入する。7日のうち1日をチートデイとし2700kcal程度を目安に糖質を中心に摂取する。またアルコールについてもこの日のみ摂取可能とする。
摂取食物の偏りに起因する未知のリスクを軽減するため、チートデイには6日間で摂取していない食物、例えば本プロジェクトの場合カロリー制限が非常に厳しいため日常摂取が難しいフルーツやミックスナッツなどを可能な範疇で優先して摂取するようにする。また赤肉、加工食品(ソーセージなど)、GI値の高い糖質などもチートデイには摂取して良いものとする。
なおチートデイにおいては、食後血糖値の急上昇・インスリン分泌を抑制し体脂肪を蓄積しにくくする目的で、食事直後に可能であればバーピージャンプまたはウォーキング・バーピージャンプ等を実施する事とする。
摂取エネルギーの設定値について
日本肥満学会が刊行している肥満症診療ガイドライン2022(第5章2)においては減量時の1日の摂取エネルギーについて、25kcal*目標体重kg以下とする設定指針が紹介されている。これを本プロジェクトに当てはめた場合には25kcal*70kgで1750kcal、7日であれば12250kcal以下となる。
一方で脂肪1kgを減らすために必要なエネルギーを約-9000(7200+バッファ)kcal、対象が身体活動レベル中程度の成人男性で1日の消費エネルギー量が約2700kcalとした場合、7日で脂肪1kgを減らすためには単純計算で摂取カロリーを2700kcal*7日-9000kcalの週合計9900kcalにする必要がある。
これを達成するためカロリー制限日の摂取カロリー1200kcal*6日+休息日の摂取カロリー2700kcalを目安とする。
なお停滞期においては消費カロリーが最大で3割程度低下するという説があり、その場合には1日の消費が2700kclから1890kcalとなり、週-1kgという減量ペースを維持するためには摂取カロリーを週合計4230kcalにする必要があり現実的な数字ではなくなる。
PFC(Protein, Fat, Carbo)バランスについて
タンパク質は1gで約4kcal, 脂質は1gで約9kcal, 糖質は1gで約4kcal(余談だがアルコールは約5-7kcal)。接種カロリーにおけるこれらの構成比をPFC(Protein, Fat, Carbo)バランスと呼ぶ。
PとFの比重を増やしC(糖質)を減らすダイエットはローカーボダイエットや、その結果としてケトン体が増えケトーシス状態になる事からケトジェニックダイエットなどの名前で呼ばれる。逆にPとCの比重を増やしF(脂質)を減らすダイエットはローファットダイエット等の名前で呼ばれる。
フィジーク選手などでは停滞期の対策としてケトジェニックとローファットを交互に実施するといった手法が見られ、また弊方で過去20年間に実施されたプロジェクトにおいてもケトジェニックは1ヶ月で8kgの減量に複数回成功しているなど減量スピードを重視した場合に実績のある手法であるが、より運用負荷が低く持続可能性に優れた新たなプロトコルの開拓を目指し本プロジェクトではこれらを採用せず、FとCの比率については規定しない。
適切なタンパク質摂取量について
摂取カロリーとPFCバランスから摂取タンパク質量を考える方法、体重当たりのタンパク質量で考える方法などがある。
(PDF)「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」策定検討会報告書における 各論 1-2 たんぱく質(P106)
- おそらくP35%未満であれば腎機能に影響は出ない
- P20%以上(又は 1.5 g/kg 体重/日以上又は 100 g/日以上)の高たんぱく質食摂取とそれ以外とで腎機能に有意な差は見られない
- 2020年時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらないため、耐容上限量は設定されていない
- (注)比率がどうであれ単にエネルギー過剰摂取は健康リスク増加につながる
- (注)ここまで全て健康な人を対象とした話で、腎不全で代謝能力が下がってしまっている人は尿毒症を避けるためタンパク質を制限する必要がある
例えば2700kcalのうち20%にあたる540kcalのたんぱく質は135gとなるが、これを通常の食事から摂取するのはかなりハードルが高い。サラダチキン換算だと約7個を食べる必要がある。一般的な食事をしている限りタンパク質過剰摂取のリスクは無視出来るだろう。なお摂取カロリーが1200kcalの場合の20%はたんぱく質60g、30%であればたんぱく質90gとなる。
- たんぱく質の総摂取量が多いことは総死亡リスクの低さと関連している可能性がある
- 特に植物性たんぱく質の摂取量は心血管死のリスク低下と関連している可能性がある
高タンパク食が総死亡リスクの低さと関係する可能性があるものの、腸内細菌叢が影響を受け特に女性の場合に腸への悪影響が生じる可能性があるという研究もあるため、今後のアジア人を対象とした研究や直近だと2025年の『日本人の食事摂取基準』改訂は継続的に注視する必要があるだろう。
また筋力トレーニングをしていなかったとしても、体重1kgあたり1.3g(体重70kgの場合でたんぱく質91g)まではたんぱく質の摂取量を増やせば増やすほど高効率に筋肉量増加に繋がり、筋力トレーニング有りの場合には1.3g/1kg以上に摂取量を増やしても高効率で筋肉量増加に繋がるという研究がある。さらに別の研究になるが筋力トレーニング有りの場合には1.5g/1kg(体重70kgの場合でたんぱく質105g)ぐらいまではたんぱく質摂取量の増加が筋肉量増加に繋がるという研究もある。
本プロジェクトではエネルギー量の制限が非常に厳しいため以上を総合的に判断し、たんぱく質90gを1日の摂取目安とする。
赤肉について
赤肉(牛肉・豚肉)摂取の健康リスクについては日本人を対象とした研究があるためそれを参照する。
- 男性の場合、赤肉の大量摂取は、総死亡リスクと心疾患死亡リスクを上げる
- 男性の場合、赤肉の摂取は、2型糖尿病の発症リスクを上げる
- 男性の場合、赤肉の摂取は、肺がんの発症リスクを上げる
- 日本人の一般的な摂取量であれば恐らく赤肉による大腸癌リスクは無視できるが、一般的でない摂取量の場合はこの限りではない
- 男性の場合、赤肉の摂取は、胆道癌の発症リスクを下げる
総死亡リスクが上がるため毎日の摂取は避け週1回程度に減らす。
人工甘味料について
糖代謝に影響を与える可能性があるため毎日の摂取は避け週1回程度に減らす。血糖値を上げない甘味料である事自体は確かなはずなので糖尿病に罹患した場合等には再度検討する。
クレアチンについて
クレアチンについては筋肉量増加を促す目的で本施策のリリースまでの期間、食品からの必要量摂取が難しい(肉や魚経由だと1kgぐらい食べる必要がある)ため粉末状のモノハイドレートで日に5gを毎日摂取する事とする。筋肉量維持のみを行う保守フェーズ以降はサプリメント形式での摂取は行わない。
GI値について
糖質の摂取に際しては全粒粉パン、オートミール、玄米などGI値の低い全粒穀物などを選択する。ただしニンジンなど野菜類についてはGI値が高いものでも選択可能とする。
これは食後血糖値の急上昇・インスリン分泌を抑制し体脂肪を蓄積しにくくし、また一般に全粒穀物は精製穀物にくらべ食物繊維など糖質以外の多様な栄養を含んでいる事が多いため摂取する栄養の多角化の側面から採用している。
また全死亡リスク低減についても期待し、本プロジェクトでは採用している。
トレーニング設計
マシントレーニングについて
チョコザップを利用し下記種目を上から順に全身法で日計60分のトレーニングを行う。6日/7日をトレーニング日、1日/7日を休息日として休息日はトレーニングを行わない。
- ショルダープレス
- チェストプレス
- ディップス
- (マシンなし)フィンガー・プッシュ・アップ
- ラットプルダウン
- バイセップスカール
- アブベンチ
- (マシンなし)カーフレイズ
- レッグプレス
- アダクション
- アブダクション
- バイク(HIIT)
筋肉量維持を目的とする保守フェーズにおいてはトレーニング内容はそのままに、1から2日/7日をトレーニング日とする。
非マシントレーニングについて
本プロジェクトで利用するチョコザップ店舗のマシンでは鍛える事のできない部位について以下二種目を実施する。
- (マシンなし)フィンガー・プッシュ・アップ
- (マシンなし)カーフレイズ
HIITについて
207-年齢*0.85をbpm(心拍数)目安とし、本プロジェクトの場合は140bpmと設定する。
フィットネスバイクを利用し最大負荷で10kcal、最小負荷で5kcal、最大負荷で5kcal、最小負荷で5kcallの繰り返しでbpmを140程度まで上げる。
ウォーキングについて
1日9000歩を目標とする。ただし平日に9000歩を歩くのは難しいと思われるため休日・特にチートデイの食後に補填を行う。
テスト・計測設計
日次でスマートフォンアプリ連動の体組成計を利用しスペックの確認およびログ蓄積を行う。またリリース時に健康診断によるテストを実施する。
メトリクスについて
本プロジェクトにおいては新たに体組成計を導入し旧来から計測可能だった体重に加え下記の計測を行う。
- 体脂肪率
- BMI
- 基礎代謝
- 除脂肪体重
- 内臓脂肪Lv
- 骨格筋率
- 骨量
- タンパク質
- 体水分
- 体内年齢
またマシントレーニングについて重量変化をスプレッドシートに日付と記録する。歩数計測についてはスマートフォン上のGoogle Fitを利用する。
ログについて
外食発生時にはその写真をXにロギングする事とする。
トレースについて
本プロジェクトでは特段のSpan定義や計装を行わない。
関連ドキュメント
具体的な食事の実装例のリンクをここにはる
Discussion