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Microsoft Defenderの導入から脅威検知までの流れ

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Microsoft Defenderの導入から脅威検知までの流れ

Microsoft Defender(旧称:Windows Defender)は、今やMicrosoft 365 E5ライセンスの中心的なセキュリティソリューションとして、多くの企業で導入されています。本記事では、Microsoft Defenderの導入準備から、実際の脅威検知・対応までの一連の流れを、実務視点で解説します。


1. Microsoft Defenderとは?

Microsoft Defenderは、Microsoftが提供する包括的なエンドポイントセキュリティ製品群です。主な構成は以下の通りです:

  • Microsoft Defender for Endpoint:エンドポイントの保護と脅威の検出・対応
  • Microsoft Defender for Office 365:メール・Teams経由のフィッシングやマルウェアの防御
  • Microsoft Defender for Identity:オンプレAD環境の異常検知(Lateral Movement等)
  • Microsoft Defender for Cloud Apps:シャドーITの可視化とSaaSアプリの監視
  • Microsoft Defender for Cloud:クラウドインフラ(Azure/AWS/GCP)の脅威管理

今回は主にDefender for Endpointを軸に解説します。


2. 導入準備

2.1 ライセンスの確認

Defender for Endpointは、Microsoft 365 E5やSecurity E5ライセンスに含まれています。E3の場合は追加ライセンスが必要です。

2.2 管理ポータルへのアクセス

Defenderは、Microsoft 365 Defenderポータル(https://security.microsoft.com)から集中管理が可能です。

2.3 デバイスのオンボーディング

対象端末をDefender for Endpointに登録(オンボード)します。方法は以下の通り:

  • Microsoft Intune(推奨)
  • GPO(グループポリシー)
  • スクリプト(PowerShell)
  • Configuration Manager(旧SCCM)

Intuneを使用する場合、「Endpoint security」からポリシーを作成し、デバイス構成に追加します。


3. ポリシーの設定

3.1 攻撃面の縮小(Attack Surface Reduction)

  • マクロ実行の制限
  • USBなどのデバイス制御
  • ファイルレス攻撃の防御

3.2 次世代保護(NGAV)

ウイルス・マルウェアの検出エンジンを構成。MicrosoftのクラウドAIベースで日々更新されます。

3.3 EDR(Endpoint Detection and Response)

  • 振る舞い分析による疑わしいアクティビティの検知
  • タイムライン表示による事象の可視化
  • 自動調査・自動修復(Automatic Investigation & Remediation)

4. 脅威検知と対応フロー

Defenderでは、脅威が検出されると自動的に以下のフローで対応されます。

4.1 インシデントの生成

複数のアラートが関連付けられ、「インシデント」としてまとめられます。

4.2 アラートの確認

  • 通知メール or セキュリティポータル上に表示
  • 各アラートに「推奨アクション」や「深刻度」が表示される

4.3 自動調査と修復(AIR)

  • 対象ファイルの検査
  • 関連プロセスの隔離
  • 不審な通信のブロック

4.4 手動による対応

必要に応じて以下の対応が可能です:

  • 端末の隔離(Isolate device)
  • ファイルの収集
  • ライブレスポンス(Live Response)による調査

5. レポートと可視化

5.1 Threat Analytics

最新の脅威キャンペーンに対する脆弱性が自社環境に存在するかを分析。

5.2 Advanced Hunting

KQL(Kusto Query Language)を使って独自の脅威ハンティングが可能。

5.3 Microsoft Secure Score

環境全体のセキュリティスコアを確認し、改善アクションを提案してくれます。


まとめ

Microsoft Defenderは、単なるウイルス対策にとどまらず、EDRや自動修復機能を備えた高度なエンドポイントセキュリティプラットフォームです。特にIntuneとの統合により、導入・運用の効率性が高まり、ゼロトラスト時代のセキュリティ基盤として非常に有効です。

今後はDefender XDRとして、他製品との連携も加速していく中で、早期の理解と実装が企業のセキュリティレジリエンスを左右するといえるでしょう。

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