ユーザーインタビューで知っておきたい人間の認知特性について
ユーザーインタビューに積極的に参加したいので「ユーザーインタビューのやさしい教科書」、「ユーザーの「心の声」を聴く技術」を読みました。今回の記事では、特に面白いと思った人間の認知特性などについて整理したい思います。
認知特性など
一貫性原理
自分の言葉、態度、行動を一貫したものに保とうとすること。
ユーザーを行動観察する場合、観察前に余計な質問をしてユーザーに行動を宣言させないようにすることが重要。ユーザーが行動を宣言してしまうとその宣言の通りにしか動かず、意味のあるデーターが取れなくなってしまう。
確証バイアス
自分の持っている仮説が正しいかどうかを確認しようとすると、その仮説を後押ししてくれるデータを優先的に探そうとする傾向のこと。
ヒアリング結果を分析する際、無意識の内に自分の都合の良いように取捨選択してしまう可能性があるので要注意。
カクテルパーティ効果(音声の選択的聴取)
自分に関係があることや興味があることは、騒音の中でも聞き取ることができること。
ユーザーヒアリングでは、ユーザーに余計な先入観を与えないために、実施者間の雑談などが聞こえないように注意する。
自己中心性バイアス
自分の持っている知識を中心に判断下そうとすること。
ヒアリング結果を分析する際には、自分の知っている知識の範囲内で分析しようとしていないか、意識/自問自答することが重要。
信念バイアス
結論が妥当であれば、そこにだどり着くまでの議論や過程までもが正しいと誤認すること。
ヒアリングが成功したからと言ってその過程に改善の余地が全くないわけでもなく、また失敗したからと言って過程の全てがダメだったとは言えないので、ヒアリング結果は毎回きちんと振り返って改善することが重要。
知識の呪い(知識の呪縛)
一度知識を得てしまうと、その知識を持たない人の頭の中を想像しにくくなるという特性。
新しいサービスに触れる場合、それは二度と得られない体験と認識しながら、丁寧に時間をかけることで、ユーザーへの共感度が高まる。
認知的不協和
認めたくない事実があって、そこから目を背けたい時に、人は自分に都合の良い言い訳を作り出すこと。
ヒアリング対象のユーザーが、不機嫌になってしまった場合は、理詰などはせず、ユーザーの認知的不協和に共感してあげる。例えば、遅刻してしまったユーザーが、地図がわかりくいと怒っていた場合は、それに一緒に共感すると相手の怒りも収まる。
ネガティブバイアス
一度、悪い印象を持ってしまうとそれをなかなか打ち消せないということ。
ユーザーヒアリング中に、一度悪い印象を与えると、信頼して話をしてもらえないので、雑な言動は要注意。
バンドワゴン効果
みんなが良いと行っていることを、無思考で良いと思ってしまうこと。
グループインタビューでは、周りの意見に流されてしまう人が出てくる可能性があるので、事前に周りに合わせなくて良いことを明確に伝えることが重要。
平均以上効果(レイク・ウォビゴン効果)
自分の実力を過大評価してしまうこと。
ヒアリング結果の分析日程はタイトに組むのではなく、バッファーをみて組むことで、有意義な分析ができる。
返報性のルール
受けた恩義には必ず報いなければならないという義務感を持っていること。
ユーザーヒアリングの報酬を高く設定しすぎると、それ相応の調査をされるのでは?と怪しく思われ、人が集まらないので、報酬は相場から逸脱しないように設定する。
最後に
言われてみると、自分の経験からそうだよなと思うことばかりでした。人間には、今回記載したような特性があることを頭の片隅に置いておけば、対人関係が円滑に進む場合があるのではないでしょうか。
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