データ分析で Unipos ポイントを増やす
OPENLOGI Advent Calendar 2022 1 日目の記事です。
物流系テック企業のオープンロジで機械学習エンジニア・データアナリスト・データアーキテクトとして働いていています。先日、社内の LT 会で発表した内容が好評だったので、僭越ながらこちらにも投稿させていただきます。
弊社では Unipos ピアボーナスを福利厚生として導入しており、自分が貰った Unipos ポイントをボーナス(ギフトカード)として受け取ることができます。仲間からメッセージを貰うことで心と懐が同時に温まる素晴らしい仕組みです。そんな素敵な Unipos ポイント(お金)を増やすために、弊社の Unipos 投稿データを勝手に分析して、行動戦略を考えてみました。
結論を言えば、自分から積極的にメッセージを送るのが最も重要であり、仲間の貢献を讃えることが自分の利益(獲得ポイント増)に繋がります。その上で、投稿時間や内容を工夫することでさらにポイントを獲得できるということがわかりました。仲間を褒める(組織を良くすること)が個人の利益に繋がるという好循環が生まれていると言えます。Unipos は色々な企業が導入しているだけあって、うまく設計されていますね。また、弊社も組織づくりに力を入れているので、その成果がこういった形で現れているのかもしれません。
Unipos の仕組み
おくれるポイントともらったポイント
Unipos には 2 種類のポイントが存在します。
- 今週おくれるポイント
- 毎週日曜日に全社員に 400 pt が付与されます。日曜日まで使い損ねたポイントは消滅し、毎週新たに 400 pt 付与されます。
- 他者へメッセージや拍手を贈ると消費されます。
- ギフトカードへの換金はできません。
- 今月もらったポイント
- 他者からもらったポイントで、毎月ギフトカードに換金できます。
- 今週おくれるポイントを自分自身へ送ることはできないため、他者からメッセージや拍手を貰わないと増えません。
ポイントの流入経路
「今月もらったポイント」の流入経路は 2 種類あります。
- メッセージに付与されたポイント
- メッセージを送る際に 0〜120 pt を添付することができます。
- 送信者の「おくれるポイント」が消費され、受信者の「もらったポイント」に加算されます。
- 拍手で貰えるポイント
- 既存のメッセージに対して、送信者・受信者以外の第三者(拍手者)が拍手を送ることができます。
- 拍手者の「おくれるポイント」が消費され、メッセージ送信者と受信者の「もらったポイント」に加算されます。
分析結果
ポイントの流入経路に応じて、以下のような方法でポイントを増やすことができます。仲間に積極的にメッセージを送る (①, ②) のが最も重要で、その上で投稿時間 (③) や内容 (④, ⑤) を工夫することでさらにポイントを獲得することができます。
- メッセージ付与ポイントを増やす方法
- ① いろいろな人にメッセージを送ろう
- 拍手を増やす方法
- ② メッセージをたくさん送ろう
- ③ 木曜 10 時 or 14 時に投稿しよう
- ④ メッセージを長めに書こう
- ⑤ 他部署の人にもわかるように書こう
平均的には、獲得ポイントのうちメッセージ付与ポイントは約 7 割、拍手によるポイントは約 3 割を占めています。もらえるポイントを増やすためには「メッセージを沢山もらう」のが重要で、① の効果が一番大きいと思っています。
① いろいろな人にメッセージを送ろう
相手へメッセージ経由で贈ったポイントと同じ相手からもらったポイントの量にはある程度の相関(相関係数 0.6)があります。誰かにメッセージを送ると、お返しのような形でメッセージを返してくれることが多く、私もメッセージの贈り合いを経験したことがあります。また、一度関わることで相手が自分の活躍に興味を持ってくれるようになり、メッセージ(や拍手)を贈る敷居が下がるのではないかと予想しています。
実際、メッセージを贈った人の数が多いほど、獲得ポイント数が増える傾向があり、メッセージを送る人を 1 人増やすごとに月間 40 pt ほど増加します。
チームや部署を超えて他者の活躍を見つけるのは大変ですが、「今日もお疲れ様でした!」など簡単な内容でも良いので、試しに贈ってみましょう!
② メッセージをたくさん送ろう
ここからは、メッセージ付与ポイントではなく、拍手を増やす方法です。
メッセージ送信数が多い人ほど、自分の投稿メッセージに対する拍手をもらいやすくなります。メッセージは投稿時間順のタイムラインに表示されるため、投稿後に時間が経つと閲覧機会が減っていきます。したがって、定期的に投稿するのが良いです。拍手によるポイントはメッセージ送信者と受信者で分配されますが、分配後でも、1 メッセージあたり中央値で 8 pt、平均値で 8.6 pt ほどのポイントを獲得できます。
実は、メッセージに付与されるポイント数と拍手数には相関がありません(相関係数 0.17)。つまり、メッセージで送るポイント数は気にせず、とにかく数を増やすことが重要です。週に 400 pt 付与される「今週おくれるポイント」が枯渇しても 0 pt でメッセージを送ることができますが、0 pt メッセージにも拍手はつくため、投稿する価値があります。
③ 木曜 10 時 or 14 時に投稿しよう
閲覧機会が多い(=PVが多く投稿が少ない)時間を狙ってメッセージを投稿することで拍手がつきやすくなると予想しています。Unipos の PV データを取得する方法がないため、この予想は検証できていませんが、そんな気がします。ただし、1メッセージあたり数回拍手が増えるかどうかなので、ポイントを増やす効果は微弱です。
メッセージを投稿する時間帯は朝 9〜10 時(始業時間)と 14 時(お昼休憩終わり ※1)が良いです。時間が経つほど投稿が増えていくので、メッセージがタイムラインに残留する時間が短く、閲覧機会を失いやすいです。
※1 昼休憩の時間が 12〜13 時と決まっている企業も多いですが、弊社では自由なので遅めにお昼を食べる社員も多いです。また、フレックス制なので、比較的自由に勤務時間を決めることができ、投稿時間にも幅があります。
曜日としては木曜日が最も拍手がつきやすい傾向があります。「今週おくれるポイント」は日曜日にリセットされるため、基本的には金曜日に近づくほどポイントを消化したいという気持ちが強くなり、拍手が増えます。ただし、金曜日は余ったポイントをメッセージで消化する人が多いので、投稿が増加して閲覧機会が減ってしまいます。
④ メッセージを長めに書こう
メッセージの文章は長い方が拍手されやすい傾向にあります。文字数と拍手数の関係を見てみると、100 文字から 200 文字でだいたい倍くらい拍手数が変わるので、文章をしっかり書くことにはメリットがあります。おそらく、関係者以外にも貢献が伝わることで、拍手しやすくなるためだと考えられます。具体的な文例は Unipos の「ピックアップ」を見ると参考になります。
⑤ 他部署の人にもわかるように書こう
メッセージの送信者と同一部署の人が拍手するケースは全体の 25 % と少なく、実は大部分の拍手は他部署の人によるものです。「④ メッセージを長めに書こう」とも関連しますが、他部署の人にも貢献が伝わるように書くことで、拍手の獲得を増やせる可能性があります。
余談ですが、メッセージが送信者と同一部署の人に贈られるケースは全体の 50 % と、拍手に比べて同一部署内でやり取りされることが多いです。メッセージを贈るためには仲間の貢献をある程度詳細に把握する必要があり、そうなると必然的に関わりの多い部署内の人にメッセージを贈る確率が上がります。
至らぬ点
LT のために準備した分析のため、いろいろ至らないところがあります。改善する方法はありますが、ネタ発表なのでそこまでしっかり分析しているわけではないです。
- あくまで、弊社のデータ傾向でしかないため、他の組織でも同様の行動戦略がポイント増加に寄与するかわかりません。
- この行動戦略により本当にポイントが増えるかは確認していません。本来の目的はポイントを増やすことなので、その効果を検証すべきです。
- 実験計画は立てておらず、完全な自然観測データに基づいているので、擬似相関などの恐れがあります。
- ①〜⑤ までの行動を独立に分析していないので、各行動がポイント増加にどれくらい寄与するか見積もることができていません。例えば、金曜日は短いメッセージの投稿量が増えるため、拍手減少は閲覧機会の減少 (④) かメッセージの長さ (⑤) によるものか正確にはわかりません。
- 他者のメッセージに拍手する合理的メリットが見つかりませんでした。
- 社員がこの行動戦略に従うことで、データの傾向が変化する可能性があります。例えば「③ 木曜 10 時 or 14 時に投稿しよう」を皆が実践すると木曜 10/14 時台の投稿が増えて閲覧機会が減ってしまいます。今回はこのようなフィードバックは考慮していません。
最後に
オープンロジでは物流の未来を一緒に作ってくれる仲間を募集しております。「物流版AWS」をコンセプトとした、"データを起点にモノの流れを革新するプラットフォーム"の開発を目指しており、エンジニアやPM等、幅広い職種にて積極採用中です!
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