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育休を取得するときのあれこれ

2024/12/03に公開

この記事について

今年第一子が生まれたrikuto(@riku929hr)です。子どもが生まれて父となったのを機に、半年間の育休を取得しました。会社のTech Blogでは技術的な話題ばかりでしたが、今回は自分の話、育休について書いてみたいと思います。
この記事は、育休中の過ごし方や悩んだことを綴ったものです。パパ目線になっています。これから育休を取得しようと考えている方や育休中の方に、少しでも役に立てば幸いです。

半年間の育休

育休の種類

育休取るぞ!と思っていろいろ調べていて、まず最初に躓いたのが育休制度です。パパ視点では、以下の2つの違いを把握しておくと良いと思います[1]

  • 産後パパ育休
    • 出生後8週間以内で4週間取得できる
    • 出生時育児休業給付金が支給される
    • ちょっと働ける(上限あり)
    • 終了後、通常の育児休業へ移行できる
  • 育児休業
    • 最大1年取得できる
    • 原則就労不可
    • 育児休業給付金が支給される

育休中の過ごし方

僕は産後パパ育休は利用せず、出生翌日から半年間の育休を取得しました。生まれてからしばらくは家庭に専念しようと決めていたのが背景にあります。

結果論ですが、この選択は正解だったと思います。産後の妻の回復に時間がかかったり、生まれてしばらくは子どもの通院が必要だったりしました。出産は命がけといいますが、身を持って体感しました。産むのは自分ではないのでできることは限られます。生まれたばかりの赤ちゃんには昼・夜という概念がないので、一定期間ごとに授乳/ミルクタイムがやってきます。担当医から「授乳以外はパパでもできるからやりなさい」と言われていたので、妻と担当時間を分けて子どもの面倒を見ていました。この期間は心身ともに疲れたな…という記憶だけが残っています。

1ヶ月過ぎた当たりから、怒涛の予防接種ラッシュが始まります。毎週のように小児科に連れて行かなくてはなりません。そして今年は暑かったこともあり、屋外の移動はかなり気を遣いました。住んでいる地域の関係で通院にはバスと電車を利用していたので、暑さ対策グッズは重宝しました。まだ首が座っておらず夫婦ともに赤ちゃんの扱いに慣れきっていないのもあるので、2人体制で小児科に連れて行っていました。2人いると結構安心感があります。

3ヶ月経ったくらいからようやく余裕が出てきました。個人差があると思いますが、この頃から睡眠時間がまとまり始めます。親である自分も長く寝る時間帯が増えるので、自ずと疲れも取れ余裕が出てきます。この頃から妻に子どもを預けて勉強会に行ったり、所属する社会人サークルの活動に行ったりしていました。といっても週に1回あるかないかくらいでした。逆に、僕が子どもの面倒をみて妻が外出することもありました。特に美容院など行きづらいところもあるので、このような分担ができたのは良かったなと思います。

5〜6ヶ月くらいで首が完全に座って筋力もついてくるので、抱っこが楽になります。寝返りやずり這いで移動するようになるので、ベビーサークルが必要になるのもこのあたりからです。離乳食が始まるので、いろいろと準備しなければならないものも増えます。この頃から育児にも慣れ、ちょっと遠出する余裕も出てきました。遠方の親族に会ってもらうなど、子どもにとっても刺激のある体験ができたのではないかと思います。

半年取得した感想

ということで、育児が落ち着いて手につくようになるまでに3ヶ月かかりました。最初の3ヶ月、特に生まれて1ヶ月は大変だったという記憶しかありません(もちろん個人差はあると思います)。後半の3ヶ月は楽しく育児できました。生まれた子どもの成長スピードはとても早く、毎日見ていて楽しいです。

そして逆説的ではありますが、育児には育児から離れる時間が必要だということがよくわかりました。2人いるとどちらかが離れる時間を作ることができるので、心にゆとりができます。これは長期間育休を取る大きなメリットだと考えています。特に最初の3ヶ月は、特に2人体制だといろいろと楽ではないかと思います。

キャリアの停滞への不安

育休に入る前は、長期間休むことによってキャリアが停滞してしまうのではないかという不安がありました。育休に入るために休職届を提出しなければならず、なんとなく不安な気持ちになったのを覚えています。そんなとき、「キャリアブレイク」という考え方があると知り、育休をとることが前向きになりました。以下はキャリアブレイク研究所HPからの引用です。

キャリアブレイクは「離職・休職などを通じて一時的に雇用から離れ、人生と社会を見つめ直す期間」のことを指します。造語ではなく、欧州では一般的な文化で、旅、留学、自主的な挑戦、勉強やトレーニング、休養、療養、出産、子育て、家族のケアなど、過ごし方は様々です。[2]

キャリアブレイクに関する本[3]を読んでみると、仕事から離れたからこそ人生・キャリアを見直せるという考え方が書かれていました。
実際に、家族との時間を過ごしながら自分の目指すエンジニア像を明確にすることができました。仕事から離れる期間がなければ、今後10年のキャリアプランを明確にすることはできなかったかもしれません。
もしこれから長期の休みを取得予定でキャリアの停滞を不安に感じていたら、必要以上に心配しなくてもいいと思います。何より、家族や仕事すべて合わせた幸せの総量が最大になることが一番だと考えています。この節の最後に、本から引用した一節を紹介します。

一般的に、離職期間や無職期間はブランクと言われ、無価値で何もしてこなかった期間だとされてしまうことがあります。(中略)働いていた期間よりも(離職期間や無職期間のほうが[4])、人生にとって大きな影響を与える期間となっている人もいます。すなわち、「ブランク」ではなく「キャリア」なのです。会社に所属している期間だけが、キャリアなのではありません。

仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略 p.98

https://www.kadokawa.co.jp/product/322306001006/

育児休業給付金の話

ここまでは自分の話でしたが、ここからは育休にまつわる給付金制度の話をします。

制度の概要

育児休業給付金は、育休期間中の収入を補填してくれる給付金制度です。
2024年現在のルール[5]としては、

  • 育休開始から180日までは給与の休業開始時賃金月額の67%(上限あり)
  • 180日以降は50%(こちらも上限あり)

となっています。ただし育休中に勤務先で就労した場合、金額が減ったり給付されなかったりします[6]

67%というと少ないように感じますが、育休期間中は社会保険料が免除されます。給付は所得ではないため、所得税も発生しません。人によると思いますが、個人的な体感では手取りが大幅に減ったという印象はありませんでした。
2025年4月から給付金の額が少し増えるようなので[7]、これから育休取得予定の方は調べてみると良いかもしれません。

給付金は給付タイミングに注意!

育休を支えてくれる給付金ですが、ちょっとした落とし穴があります。それは、早くとも育休開始から2ヶ月後にしか給付されないという点です。

これは、原則2ヶ月単位で給付金申請することになっているためです。イメージとしては、2ヶ月おきに2ヶ月分の給付金が支給されると考えると良いと思います。
会社勤めだと自分で申請することはありませんが、実際には人事労務の担当者が2ヶ月おきにハローワークに申請を出してくれます。自分の代わりに会社が申請してくれるというのは、子育てしながらだとそのありがたみを痛感するところです。

さらに申請までの2ヶ月に加え、申請から振り込みまでのリードタイムもあります。そのため、育休開始から2〜3ヶ月は無収入の期間が発生します。僕の手元に最初に給付金が振り込まれたのは、育休開始から2ヶ月半経過した頃でした。産後の分娩入院費用の支払いやベビーグッズの費用など、出費がかさむ期間だったのでとてもお金に気を遣っていました。
この2〜3ヶ月の無収入期間をなくすため、一時的に会社が給付金を負担し、給付金支給後に会社に返納することができる会社さんもあるようです。自分の会社の制度も確認し、育休に入る前に前もって貯金しておくと良いかもしれません。

社会保険料免除となる条件

前述の通り、育休中の社会保険料は免除となります。しかしこれもちょっとした落とし穴があります。
社会保険料(健康保険料・雇用保険料)は、免除となる条件が細かく定められており、

  • 育児休業等の開始日が属する月から、終了日の翌日が属する月の前月までの保険料
  • 育休開始日の属する月内に14日以上の育児休業を取得した場合、その月の保険料

が免除となっています[8]。複雑ですね。

ざっくりいうと、月末最終日時点で育休期間かどうかが大きなポイントとなります。そして、日割計算という概念がない[9]のも注意すべきポイントです。例えば月末最終日に育休から復帰した場合、1日の稼働で1ヶ月分の社会保険料の支払い義務が発生するということになります。
僕は育休から復帰して知ったので少し驚きました。育休開始日を調整するのは難しいかもしれませんが、このような事情を把握したうえで復帰日を検討するといいかもしれません。

復帰してから

半年間のブランク

Advent Calendarブログを書いている今、復職してからおよそ1ヶ月になります。半年間のブランクは思った以上にパフォーマンスに影響しました。いわゆる浦島太郎問題ってやつです。育休中の社内体制の変更やリリースされた新たなプロダクト・機能に関する知識はないので、それを補填する作業が必要です。もちろん0からスタートするよりはキャッチアップコストはかかりませんでしたが、復帰したからといって即戦力という感覚はありませんでした。体感でいうと、2週間くらいかけて慣れたという感じです。

浦島太郎問題を軽減するために

育休は働かない・働かせないことが前提となるため、支給されているPCが回収されたりアカウントが止められたりします。僕もPCが回収され一部のアカウントは停止されました。そうなると、復帰後のキャッチアップコストは休業期間に比例して大きくなってしまいます。
育休から復帰した今、復帰前にやっておけばよかったなと思うことがいくつかあります。

業務外のイベントへの参加

定期的に会社で起こっていることをチェックすることができると、復帰後のキャッチアップコストが下がっただろうなと考えています。一番手っ取り早いのは、業務外の社内イベントに参加することです。懇親会はもちろん、エンジニアなら社内LT大会などの機会があれば、参加して同僚に会社のことをいろいろ聞いてみるなどできるでしょう。
僕が育休中にBeerBashという社内LT会が開催されましたが、残念ながら都合が合わず参加できませんでした。パートナーや会社の協力がないと難しいですが、可能であれば参加しても良いかもしれません。

(可能であれば)定期的に会社の情報をチェックする

子育てしながら社内イベントに参加することは、したくてもできないことが多いと思います。例えばリモートで同僚と話す機会を設けてもらったり、休業中でもアクセスできる情報を用意してもらったりすることができると良かったなと思います。これは会社の理解と協力、制度上可能かなどの確認がなければ難しいところでもあります。

最後に

最後に何より、長期間の育休を後押しし復帰時も温かく迎え入れてくれた会社・同僚の皆さんには本当に感謝しています。
育休を取得することで、家族との時間を大切にできたこと、自分のキャリアを見直す機会を得られたこと、そして仕事を再開することで新たな気づきを得られたことは、自分にとって大きな財産となりました。

このブログが少しでも参考になれば幸いです。

おまけ

制度やお金周りの問題は、以下のサイトや本を参考にしました。

https://st.benesse.ne.jp/ninshin/content/?id=84997

脚注
  1. 参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001194426.pdf ↩︎

  2. キャリアブレイク研究所HPより引用 ↩︎

  3. 仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略 ↩︎

  4. 中略したことで欠落した文脈を補うため、筆者が括弧内の言葉を補っています。 ↩︎

  5. 参考:https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/76806/ ↩︎

  6. 育休中に勤務する場合の給付ルールは複雑なので、厚労省HPや勤務先、ハローワークなどで確認することをおすすめします! ↩︎

  7. 参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001280391.pdf ↩︎

  8. 参考:https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/58505/ ↩︎

  9. 参考:https://www.joyobank.co.jp/woman/column/201505_02.html ↩︎

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