「なぜ?」を使わずに、理由を深掘るコミュニケーション
株式会社オープンエイト、PMグループの辻です。
ここでは、プロダクトマネージャーとして働いています。ということで・・・
プロダクトマネージャーのしごと
少し前に話題になった本、皆さんも読みましたか?
この本は、これまでのプロダクトマネジメント関連の書籍と比べて、リアルな現場の目線に近いカタチで書かれており、参考になった以上に、とても勇気をもらえる1冊でした。
これまでのプロダクトマネジメント関連の本
- どちらかと言うと教科書的なものが多い
- 参考にはなるが、自社や自分の置かれた環境で上手く実践まで持っていくのが難しい
そんな印象を抱かれている方も多いのではないでしょうか?
これまでのプロダクトマネジメント関連の本。たとえば、コレ。
これはこれで、オススメです。この本の特徴・効能
一方で「プロダクトマネージャーのしごと」を読むと、
- 世界的に著名なプロダクトマネージャーであっても、自分と同じような失敗やアンチパターンを踏んだ結果、いま活躍しているんだ、と思うと、希望を感じる
- プロダクトマネージャーという職種の特性上、社内でなかなか失敗を共有し合えるメンバーが少ない中で、こういう「あるある」を共感できるありがたさを感じる
- それをどうにか乗り越える数々の身近なTipsがある、かつ、それを裏付けする考え方が嘘くさいキラキラさが無くて、信用にたりうる
- それゆえに、勇気が湧いてくる
という非常にマインド的な効能が他の本より高いのが特徴です。もちろん、それゆえに実用的であります。
「なぜ?」を使わずに理由を尋ねる
さまざまな内容が書かれているこの本の中から、今回はこのテーマを深掘りしたいと思います。
プロダクトマネージャーの1番の仕事は、どんなサービスを、どんな機能を作るか、以上に、なぜ作るか、を定義するのが仕事だと考えています。この本でも、常に「なぜ?」を理解するのが、プロダクトマネージャーのしごと、と書いてあります。プロダクトマネージャーのしごとには、いつでも「なぜ?」が付きまといます。
一方で、この本では、
「ふーん、なぜ、今それをやろうと思ったんですか?」と、当たり障りのなさそうな質問をして、イライラして激しい返答をされた経験があります。さらに頻繁だったのは、自分自身がそのような質問をされて、イライラして回避的な回答を返すことでした。
と書かれています。
このくだりを読んだときに、洋の東西を問わず、人類普遍の話なんだ!と感じて、妙に面白く感じました。人は、自分だけの問題・課題だと感じていることが「いや、それ、みんな思ってるよ!」と一般化されると、気が軽くなるものですよね。
具体的にどう尋ねるのか?
この本では1つの戦術として、こんな方法が紹介されています。
ちょっと角度を変えて「やり方を見せてもらえますか?」と聞くのが有効だと分かりました。
たとえば、「なんで、こんなのを作ったんですか?」とは対照的に、「いい感じですね!チームがどうやってそんなアイデアを思いついたのか教えてくれますか?」と聞いたときの方が会話が盛り上がる傾向があります。
聞き出そうとしていることは同じでも、だいぶ印象が違いますよね。
会話が盛り上がるかどうかはさておいても、正しい回答を得られそうです。
私は、この点がとても重要だと思います。この本の筆者が前述しているような「回避的な回答」をもらうことが、プロダクトマネージャーとしては、1番避けたい事態だと考えるからです。
顧客へのヒアリングに活かす
この本では、プロダクト開発のチームにおけるコミュニケーションにフォーカスしてますが、これは色々なケースで応用できる戦術だと思います。
たとえば、顧客へのヒアリングにおいて、「なぜ、その業務をしているのか?」を聞く場面を想像してください。
もしかしたら、顧客のマインドとしても、その業務は本当は不要な業務だと感じていたり、そもそもなぜそれをやっているかちゃんと理解していない業務だったり、というケースは想定されます。
そんなときに、急に外の人間から「どうして、その業務をしているんですか?」「なんのために、その業務をしているんですか?」と聞かれたら、どうでしょうか?あまりいい気がしないのではないでしょうか。
あまりいい気がしなくても、正直にその旨を伝えてくれるのであれば、まだ問題ありません。
ただ、ここで「回避的な回答」をもらう、たとえば、その場を取り繕うためだけの理由が、顧客から出てきたらどうでしょうか?それを正として、プロダクトの改善計画を立てたら、間違うこと必至です。
そういうときは、5W1Hのwhy以外で聞いていくと、角を立てずに正しい回答を得られると思います。
- どういうときに、それをするんですか?
- 誰が、それをやるんですか?
こういう聞き方をしていくと、本当は不要だと思っていたり、面倒だと思っていたり、という本音を言ってくれやすい、という体感があります。そこまで引き出せれば、そこからは不要だと感じている理由などを聞き出していくのはそこまで難しくありません。また、もし必要な業務であれば、それはそれで5W1Hで仔細に把握できた方が良いです。
とはいえ人間は、人の善意にも悪意にも敏感なので、聴く側が相手の業務や活動に本当に興味や敬意があれば「なぜ?」という言い方をしても、正しい回答を得られるとも思います。
私は料理が好きなので、美味しいものを食べたとき、たまにカウンター越しにシェフにいろいろ聞くことがあります。たいていは、得意げに調理の秘密を教えてくれます。
おわりに
ここでは、この本に書かれている一例を出してみましたが、それ以外にも興味深い話がたくさん書かれています。
- 過剰コミュニケーションの技術
- シニアステークホルダーとはたらく(ポーカーゲームをする)
- 「ベストプラクティス」のワーストなところ
などなど、教科書的な試みをしてみたけど、そう簡単には上手くいかず、それでもなんとか、課題を乗り越える考え方が書いてあり、非常に面白かったです。
ぜひ、プロダクトマネージャーの方も、いやむしろ、それ以外の方にもおすすめの1冊です。
では、さようなら!
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