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読書:プロフェッショナルプロダクトオーナー プロダクトを効果的にマネジメントする方法
まえがき
- 他の人とコミュニケーションをとる時、相手が自分の言いたいことを理解していると思い込んでいるが、必ずしもそうではない。
- さらに、自分の言いたいことを正確にあるいは十分に考えていないにも関わらず、わかっていると思い込んでしまうこともある。
- この書籍は周囲の混乱と面倒ごとを最小限にしつつ、一貫性を持って理路整然と自分達の望みを伝える方法を紹介する。
- スクラムの大きな強みは、伝えていることがどれだけ明確であるか、相手がどれだけ認識しているかを日の頻繁に確認できること。
- 我々が扱っているのはコンテキストについて既知よりも未知のことが多い複雑なプロダクト。
- 短いサイクルの実験によってリスクをコントロールすることができる。
- プロダクトとは、何かを実行し、機能を果たし、変化や結果をもたらすもの。
プロダクトのライフサイクル
- 誕生
- 羽化
- 成熟
- 老化
- スクラムはプロダクトオーナーへの要求を単純化することで、ビジョナリーフェーズにおいて支援する。
- この書籍ではプロダクトオーナーの役割を担う人が、スクラムを使ってプロダクトを構想し、生み出し、成熟させる方法を説明する。
第1部:戦略
第1章:アジャイルプロダクトマネジメント
プロジェクトマインドセット vs プロダクトマインドセット
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プロジェクトマインドセット:インサイドアウト
- 成功はプロジェクトマネージャーが最初の計画(期間、予算、スコープ)にどれだけ忠実であったかで評価される。
- 実際は最初の計画を守っても(ビジネス的に)成功しなかったプロジェクトはある。
- 初期計画がどれだけ忠実に遂行されたかを内側から計測し、成功をインサイドアウトに定義する
- 事前にインサイドアウトで定義されたスコープ・期間・予算によって成功が規定されるため、プロジェクト進行中のビジネスの関与が弱まり、タスクの管理が強まる。
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プロダクトマインドセット:アウトサイドイン
- ビジネス目標に影響を与えるための唯一の方法は、できるだけ早く価値のあるものをリリースして仮説を検証すること ← プロジェクトマインドセットからプロダクトマインドセットへの切り替えにおいて、チームにこの印象を持たせる。
- プロダクトマインドセットはプロダクトの価値を最大化しる開発を強く促すために外側から計測するアウトサイドインのアプローチ。
- 市場からの早期のフィードバックを受け取るために、より頻繁なリリースを推奨する。
- タスクではなく目標を話し合うことで、チームはより創造的に解決策を考え、計画を自分のものと捉えるようになる。
- タスクのアサインや報告、管理職の判断を減らすことで無駄を削減する
- 目標はプロジェクトを届けることではなく、プロダクトを通して価値を届けること。
プロダクトマネジメントとは何か
- プロダクトを開発する組織には様々な計画のレイヤーがある
計画のレイヤー(上がより上位)
- 会社のビジョン
- ビジネス戦略
- プロダクトビジョン
- プロダクト戦略
- リリース計画
- スプリント計画
- 日々の計画
- 1, 2は通常、経営陣やCEOが定めるものであり、開発チームが実施する計画(6, 7)とは大きなギャップがある。
- このギャップをプロダクトマネジメントの隙間と呼ぶ(本書では)。
プロダクトマネジメントの隙間と3つのV
- どんな隙間でも自然と埋まってしまうもの。
- 隙間が大きいことで
- ビジネスと技術の分断
- 現場との関わり減少
- タスク管理への依存が高まる
- 階層かと受け渡しの増加
- ビジネス環境に適応した方向転換の難しさが高まる
- 無駄や手戻りが増える
- 顧客に提供する価値が減る
- 真のプロダクトマネジメントとは、トップからボトムまでの組織全体の至る所でアジリティを実現し、プロダクトマネジメントの隙間を埋めること。
- 隙間を埋めるために3つのVを活用する
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ビジョン(Vision):ビジョンが透明性を生み出す
- 自己組織化は勝手には起こらない。軍隊と同じように共有されたビジョンと明確な境界線の2つによって自己組織化が達成される。
- ビジョンはプロダクトオーナーの強力なリーダーシップとコミュニケーションによって示され、境界線はスクラムによって引かれる。
- チームの成功の30%は立ち上げによって決まる
- ビジョンの背景を知らないことが状況認識(シチュエーションアウェアネス)を奪う。
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価値(Value):価値を定義すると検査するものがわかる
- スクラムチームの仕事はビジョンを特定し、それに価値を通すこと
- 全てのものが大事だったら、何も大事じゃないのと同じ
- 最も価値のあるものを最初に目指し、それを完全に取り付けてから次に移る。常に価値を提供できる状態にしておく
- 「もしたった1つしか持てないとしたらそれは何?」
- 唯一の本物の証明は顧客を通じてなされる。それ以前のことは全て仮説に過ぎない
- 検証(Validation):検証は適応を引き起こす
- 多くのビジネス仮説は間違っているので、アイデアはできるだけ早く検証する必要がある
- プロセスの検証:スクラムチームがどのように(How)機能しているかを検査し適応する
- プロダクトの検証:スクラムチームが何を(What)作っているか検査し適応すること
- プロダクトマネジメント文脈における3つのCは後者のプロダクト検証に関するもの
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ビジョン(Vision):ビジョンが透明性を生み出す
プロダクトマネジメントとスクラム
- プロダクトマネジメントはスクラムよりもずっと広い世界。
- ほとんどのプロダクトマネジメントの活動はスクラムのフレームワークに含まれていない。
- その隙間を埋めるための役割がプロダクトオーナー