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[イベントレポート]Omiai×ココナラ 大規模toCサービスにおける技術負債との向き合い方

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2025年4月9日に株式会社Omiaiと株式会社ココナラとによる共催イベント「大規模toCサービスにおける技術負債との向き合い方」が開催されました。
技術負債というエンジニアリングの普遍的な課題について、両社から2名ずつが登壇するLTと、パネルディスカッション形式でお話しし、実際のプロダクト開発現場からのリアルな知見が共有されました。

当日の内容を一部抜粋する形でレポートします。

タイムテーブル

LT

「技術負債へのアプローチの仕方」/株式会社ココナラ アプリ開発グループマネージャー 中田有紀さん

中田さんからは、開発現場で技術負債の対応がどうしても後回しになりやすいというお話がありました。特に、非エンジニアとの認識のギャップや、技術的な取り組みがビジネス的にどう効くのかが見えづらいという課題感があるそうです。
そこでココナラでは「20%ルール」と呼ばれる時間の使い方を取り入れて、日々の業務の中で少しずつ技術負債に向き合えるような仕組みを作っているとのこと。また、大きめの負債に関しては、別プロジェクトとして立ち上げて一気に取り組む、という工夫も紹介されていました。
一度に全部やろうとするのではなく、少しずつ着実に前に進めていく。その姿勢が大切なんだというメッセージが印象的でした。

 

「Omiaiの拡張期に向けた技術負債への立ち向かい」/株式会社Omiai 開発責任者/VP of Engineering 小野晋太朗 さん

小野さんからは、10年以上運用してきたtoCサービス「Omiai」にたまっていた技術負債と、どう向き合ってきたかというリアルな話をしていただきました。
初期にスピードを重視していたことで、後から保守や改善が難しくなる場面が増えていったこと。それに対して、インフラの再構築やPHPのバージョンアップ、アーキテクチャ全体の刷新などを1年かけて段階的に進めてきたとのことでした。
現在はそのリアーキテクチャも一段落し、技術改善と新機能開発をバランスよく進めているフェーズに。移行時にはリスクに備え、いつでも戻せる形で段階的に切り替えていった点もとても参考になりました。

 

「大規模フロントエンドアプリケーションの技術負債解消」/株式会社ココナラ 技術戦略室テックリード 市原雄太さん

オンライン登壇となった市原さんは、ココナラにおけるフロントエンドの技術負債への取り組みを紹介。特に、モノリシックな構成でビルド時間が長くなり、開発やリリースのしにくさが課題になっていたそうです。
それを解決するために、マイクロフロントエンドを導入してアプリケーションを垂直・水平の両面から分割。さらに、サーバーサイド/クライアントサイド/ビルドタイムと3つの構成方式を使い分け、用途に応じて柔軟に対応しているとのことでした。
今後はUXの観点でもさらに改善を進めていく予定だそうで、現場の試行錯誤が感じられるリアルな発表でした。

 

「技術負債を言語化してみよう&解決した話」/株式会社Omiai 渡邊裕又さん

渡邊さんからは、「技術負債ってそもそも何なのか?」という問いを深掘りしながら、その可視化と解決の取り組みについて話がありました。
例えば、DB設計が原因で全然関係ない機能にも影響が出てしまうようなケースがあったそうで、そういった“見えないコスト”をどう認識し、どこにどれだけのリソースが浪費されているかを定量的に見せる工夫をしているそうです。
また、すべての負債に対応するのではなく、「事業にブロッカーになるもの」から優先的に着手するという戦略も紹介。技術的な話にとどまらず、経営的な目線とつながった実践が印象に残りました。

 

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、登壇者3名が実務での苦労や工夫を共有しました。
印象的だったのは、「技術負債の解消は“やるべきこと”ではあるが、全てを完璧にやろうとすると失敗する」という認識の共有です。特に、Omiaiの事例では、大規模なリアーキテクトを1年で完遂するために、優先度の判断と外部支援の活用によって取捨選択を徹底したという話が紹介されました。
また、「技術負債は、プロダクトの成長を阻害する“見えないコスト”である」という表現も印象的でした。日々の開発スピードやユーザー満足度の低下という形で、気づかぬうちにビジネスへの悪影響が広がるため、定量・定性の両面から影響を可視化することが重要であると語られました。
さらに、「エンジニアのキャリア形成と技術負債解消は両立できる」という視点も共有されました。問題解決力やアーキテクチャ設計能力の向上に直結する技術負債への取り組みは、エンジニアの成長機会として位置づけられるべきだという意見に、他の登壇者も深くうなずいていたのが印象的でした。

おわりに

本イベントを通して、toCプロダクトの成長と共に技術負債も不可避に生じること、その上で現実的な解消策を設計し実行する必要性が共有されました。登壇各社の取り組みは、大小にかかわらず多くのエンジニアやマネージャーの現場で応用できるヒントにあふれていました。

参加者アンケートでも「実践知が豊富で参考になった」という声をいただきました。今後もこうしたイベントを通じた知見共有が、技術的負債への健全な向き合い方を促進していくことを期待しています。
Omiai、ココナラは今後もエンジニア向けのイベントを開催していきます。

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