アイカツプラネット!とワッチャプリマジ!の描画比較メモ
どっかに書いておきたいけど一次資料が全然なく。。アイカツの方は来年に映画が出るのでそれ以降かな。
どちらもメディアミックスプロジェクトだけど今回はゲームの方について。
比較
(TBD)
アイカツプラネット!
アイカツプラネット! https://www.aikatsu.com/planet/ はトーセ開発・運営、バンダイナムコ販売のアーケードゲーム(カード自販機)で、バックエンドとしてプリマジ同様 Game Server Services を採用 している。
ゲームシステム
ゲームは1対1のバトルゲームであり、主なキャラクタ2体 + 3x2体までのサポートキャラクタ + 最大4着分のドレスx2(コスチューム)を1度の読み込みで描画することになる。
ドレスは"スイング"と呼ばれる ◇型 をしたカードに 特殊インクで印刷されたQRコードのID で指定される。筐体には4スロットあるがゲーム中に使用するは3スロットのみ。
過去シリーズやプリマジ(を含めたプリティーシリーズ)と異なり、ドレスのコーディネートは固定で、いわゆる"ミックスコーデ"ができない。
○ ×
- ○ 歌詞表示 。アクセシビリティに貢献していると言える。
- × ログイン、オフラインマッチングの時間 。ゲーム的に待ち時間はほぼ必要無いはずなのに待たされているケースが多いように見える。現に同じバックエンドサービスを採用し、同様なデータを同期しているはずのプリマジと比較しても長い。
全体にクリエイティブおよび運営のコストを抑え、コンテンツを継続的に長期間供給するための工夫が多いように思える。
描画戦略
ゲームはいわゆるスマートフォン上のリズムゲームと同様のものでポリゴン描写のライブシーンにノーツが並び、それをタップして遊ぶ。
筐体の重要な特徴として、フルHD画面を2枚備えていることで、その2枚の描画に対応するためにそれなりの工夫を入れている。しかし、後述のプリマジと比べると安定を取っているように見える。
ミックスコーデが存在しない 。つまり首から下のモデルを事前に構築したもので固定できるため、レンダリングパフォーマンスの変動が少なく、合理的な "重ね着" のために衣装モデルをオンデマンドで変更する必要もない。このため、実装は比較的容易になっている。
ライブシーンは1枚のみ描画し、上下画面で同じものを使う 。全く同じ画面ではなく、2D要素は追加されている。つまり、下画面はノーツおよびスコア等の表示、上画面は歌詞表示等に使用している。コピーをしているのか、GPU機能でオーバレイしているのかは不明。
2画面両方にキャラクタを描画するシーンでは背景を描写しない 。ライブシーンには背景が存在するが、これは2画面両方を使用してキャラクタを描画するシーンでは使用されない。衣装チェンジはゲームの勝敗で決定されるため注目度の高いシーンで、そこを確実に描画するための工夫と見られる。
セルフシャドウの追加 。描画にはセルフシャドウが含まれる。これは競合他社を含めて珍しい演出で、個人的にはあまり成功していないように思える -- 影色を設定していないため単純な乗算の影で色が良くない。セルフシャドウの描画自体は専用のデプスパスを持つシャドウマップのようだ。
全体に、堅実だが小さくまとまった印象がある。
ワッチャプリマジ!
ワッチャプリマジ! https://primagi.jp/ はシンソフィア・タカラトミーアーツ 開発・販売のアーケードゲームで、バックエンドはアイカツ〜同様 Game Server Services を採用 している。オーディオエンジンは引き続きCRI ADX2を採用。
ナムコは競合するアイカツ〜を擁しているが、伝統的にシリーズはナムコのロケーションにも少数配備される。
従来シリーズのプリパラ・プリチャンは紙製のカードに印刷するスタイルで、そのカードが友人への配布用に切り離し型のチケットを含んでいたことから オーバーエンジニアリングされた名刺印刷機 と呼ばれていた。それが今作は透明なプラスチックカードに熱転写/熱昇華印刷されるスタイルに変更され、他人への配布は要素としては無くなった。ロール紙でない固体への印刷は同社のポケモンガオーレ等で既に実績がある。
ゲームシステム
通常の人間の理解を拒むシーンの連続というのはシリーズの伝統だが、トップス・ボトムス・シューズ・(ヘア)アクセの4スロットにそれぞれアイテムを装備し、リズムゲームおよび連打によってスコアを稼ぐという従来の流れを踏襲している。
アイカツ〜と異なり、タッチセンサの遅延を嫌ったためかリズムゲームおよび連打ではハードウェアボタンを使用している。
おそらく世界初の ライブシーン中に硬貨投入を求めるゲーム で、従来はゲーム後に実施されていたカードショップ機能をライブシーン内で実施することによって待ち時間を圧縮している。
○ ×
- ○ 比較的低めに設定された操作限界高 。画面上部をタッチする必要が無いようにゲームデザインされている。
- ○ 待ち時間の圧縮 。カードをバックグラウンドで印刷するなどの工夫でユーザの待ち時間を可能な限り圧縮している。また、カードの同時読み取りやタッチパネルの採用でキャラクタクリエイション等の操作負荷を下げている。
- × カード連携の品質 。認識や組み立ての問題が散見される。また、ブランクのカードが出力されたり、カードが取り出し口に貼りつくといったトラブルもある。
細かい不具合は多い。例えばプリマジフロートタイム後〜フィナーレ直前のコーデメイツの軌跡が正常にアニメーションしていない等。
カードホルダを装着する関係上、タッチセンサを画面からかなり高い位置に設置する必要があるため、他社のようなタッチパネル活用を難しくしている。 ...の割にはサインとか書かせているが。。
2弾のアップデート
- 長押しノートに "なが〜おし" の吹き出しが追加された
- プリマジフロートタイム直前等SEの調整?
- 印刷中のミニゲームに通常のライブと同様の3D描写されたミニライブが追加
描画戦略
プリパラ・プリチャンの世代に比べて、ポストエフェクト等が現代的なフローに一新されている。また、シリーズで初めて変動60fpsを採用している。
衣装へのアウトライン描画追加 。従来は衣装のレンダリングコスト増を嫌ってか衣装にはアウトラインが入っていなかったが、今回からは追加されアニメ寄りの見た目になった。
法線シャドウのみ 。アイカツ〜がシャドウマップを採用したのに比べて、今作でも法線シャドウと簡易影のみになっている。
背景を含めた広告ブランディングに対応 。従来も現実のブランド連携や ちゃお 等の雑誌連携に専用のコーデを使用することがあったが、今作では背景のカスタマイズも行えるようになっている。もっともQAの手間を考えると現状の背景スクリーンの差し替え程度の活用に留まるだろう。
フォーカス演出等ポストエフェクトの強化 。ブラーエフェクトが効果的に使われるようになった ...が、負荷軽減策が基本的に入っていないため、引きの絵になったときに大量のパーティクルを描画するようなケースでフレームレートが顕著に低下してしまっている。
キャラクタ専用のレンダーターゲット 。ステージ内のスクリーンに描画されるキャラクタに異なる背景を合成するといった演出を入れている。このため、キャラクタは専用のレンダーターゲットを割り当てて通常の画面と追加のスクリーンで使い回していると考えられる。ターゲットの分離は背景ぼかし時のアーティファクトを軽減するためにも有効な手段と言える。 EDIT: 録画確認したら完全に別描きだった。。。
従来の紙への印刷から透明部分のあるプラスチックカードへの印刷に変更されているため、データをオーサリングする上でも白色をベース色として印刷するといった工夫が必要になっている。そのようなポイントを含めて 全体に運営とクリエイティブのコストが高く 、もっとコストを圧縮した形でモメンタムを維持し、2年目3年目にリローンチするといった戦略を持っていないと破綻が近い気がする。