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🔖 プロジェクト管理におけるチャージビリティ管理とは?

2024/12/19に公開

ソフトウェア開発プロジェクトで、「誰が、どの活動に、どれくらい時間を費やしているか」 を定量的に把握することは、ベロシティ向上や品質確保、スケジュール遵守に不可欠です。
「チャージビリティ(Chargeability)」管理は、活動を可視化し、KGI/KPI/KSFと結びつけることで、改善策を具体的かつ計画的に打てるようになる強力なアプローチです。


🔖 チャージビリティ管理の目的

1. 定量的な透明性確保

💡 活動の見える化
開発(コーディング)、設計、レビュー、テスト、要件調整、PoC、ミーティング、ステークホルダー調整など、すべての活動をカテゴリ化して時間を記録することで、プロジェクトで「何が起きているか」を定量的に把握可能。

2. KGI/KPI/KSF達成に向けた戦略立案

💡 KGI/KPI/KSFとの紐づけ
KGI(最終目標)を支えるKPI(中間指標)、それを達成するためのKSF(重要成功要因)を明確にした上で、チャージビリティで得たデータをもとに改善策を検討します。

3. 計画精度と品質向上

💡 ウォーターフォール計画精度UP
過去の実績データから、要件定義・設計・レビュー・テストといった各工程に必要な工数を見積もり、タスク漏れを減らします。
💡 品質改善
バグ多発時には、設計・レビュー時間が不足していないか、PoCや技術検証が十分かなどをデータで判断し、的確な対策を実行可能。


🔖 KPIツリー例

以下は「KGI: プロジェクト完了時に顧客満足度をX%以上にする」を例に、その下位にあるKPI、さらに支えるKSFをツリー構造で示した例です。

上記ツリーでは、スケジュール遵守率向上を狙う場合に要件調整やステークホルダー対応、ミーティング削減がKSFとなりうることが分かります。また、バグ削減には設計・レビュー強化が、ベロシティ向上にはコーディング時間確保とツール活用が関連する、といった因果関係が明確になります。


🔖 スケジュール遅延の原因と対策

原因例 チャージビリティでの示唆 KPI例 改善策(How)
要件調整不足 要件定義・仕様確認カテゴリ時間が週5h予定→実績2h 要件調整時間を週5h確保し、要件変更回数を月X回以下 要件確認ミーティング追加(週1回30分)、AsanaでQ&A共有、事前ドキュメント化
ステークホルダー決定遅れ ステークホルダー対応カテゴリの実績がほぼゼロ 対応遅れを1案件1日以内 Asanaでステークホルダー調整タスク化、期限設定、Slackでリマインダー導入
ミーティング過多による非本質工数増 ミーティングカテゴリが予定比120%超 ミーティング時間を月20%削減 議題定義テンプレ活用、非同期共有ツール活用(Asanaコメント)、定例を隔週化

🔖 バグ多発時の対策

原因例 チャージビリティでの示唆 KPI例 改善策(How)
設計不備 設計カテゴリ時間が見積10h→実績5hと不足 設計時間を週10h確保、バグ発生率X%→X-2%低下 設計レビュー会追加(週1回30分)、設計資料をAsanaに集約、要件調整ミーティング増
コードレビュー不足 レビューカテゴリが週2hのみ コードレビュー週5h確保 非同期PRレビュー(Jira+GitHub連携)拡充、週1回対面レビュー会
新技術不足 PoC/学習カテゴリが計画10h→実績3h PoC時間月10h確保、新技術関連バグ半減 PoC専用タスク作成(Asana管理)、2週に1回PoC成果共有MTG追加

🔖 Asana / Jira での定量的活用例

Asana

  1. カテゴリ・工数フィールド定義
    • 「カテゴリ」フィールド:要件定義、設計、レビュー、テスト、ステークホルダー調整、ミーティング等
    • 「見積工数」「実績工数」フィールド追加
  2. KPIモニタリング
    • ポートフォリオや高度な検索で、カテゴリ別時間集計→ KPI(例:設計週10h確保達成?)を即確認
    • 不足なら改善策(設計レビュー会増設、Q&A用ドキュメント整備)をAsanaタスクとして登録

Jira

  1. Issue Type / Labelによる分類
    • 「Design」「Review」「Meeting」等のLabel、Original EstimateとLog Workで見積/実績を記録
  2. ダッシュボード分析
    • Workload Pie Chartでカテゴリ別実績比率を確認し、KPI進捗を追跡
    • 設計ラベル付きチケットの総実績がKPI達成できていない→ 次スプリントで設計工数増加策実行

🔖 Mermaid図:改善サイクルイメージ

このループにより、問題発見→改善策検討→実行→検証のPDCAサイクルを回し、KGI達成に近づけます。


🔖 まとめ

チャージビリティ管理は、開発プロジェクトの時間配分を定量化し、KGI/KPI/KSFと結びつけることで、的確な問題特定と改善策実行をサポートします。
スケジュール遅延には要件調整不足や意思決定遅れ、ミーティング過多など多面的な原因があり、バグ多発には設計・レビュー工数不足などの要因が潜みます。
AsanaやJiraでカテゴリごとに工数を見える化し、KPIツリーで目標を分解すれば、計画精度向上や品質改善、リスク低減が可能です。
定量的なデータを武器に、継続的に改善サイクルを回すことで、最終的なKGI(顧客満足度向上、ベロシティ向上、品質改善)へとつなげていきましょう。

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