会話の中で「チェーホフの銃」は避けよう
\オカウチワニが1人でやっている okauchiwani-hitori Advent Calendar 2025 6日目の記事です!!!/
エンジニアの現場で働いていると、ふとした言い回しや言葉の選び方が気になることがあります。
意図があるのか、ただの表現なのか。深い意味があるように聞こえてしまって、つい反応してしまう。
QAエンジニアをしていると、なおさら"言葉の揺れ"に敏感になります。仕様書やレビューコメントを読む癖が、日常の会話にも影響するんですよね。
今回はそんな「言葉に引っ張られる問題」について、特に会話の中で"チェーホフの銃"を持ち出さないほうがいい理由に触れてみます。
言い回しのズレは、小さなノイズに見えて大きな誤解を生む
開発の現場では、ちょっとした表現の違いが大きな誤解につながることがあります。
- 「多分これは動くと思います」
- 「基本的には大丈夫です」
- 「一応テストしました」
- 「念のため動かしておきます」
言った側は特に深い意味がない場合がありますが、言われた側は「ん?なんでそんな言い方をしたんだろう?」と気になってしまう。特に QAエンジニアは"表現"の揺れに敏感なので、
- 「多分?」
- 「基本的には?」
- 「一応ってどういう状態?」
と、つい深読みしてしまう。もちろん悪気はないのですが、言い回しのズレがあると説明の再確認が増えたり、話のテンポが崩れたりするんですよね。
QAエンジニアにとって、言葉の「伏線」はかなり気になる
「気になる言葉」を聞くと、どうしても"伏線"として扱ってしまいます。
チェーホフの銃のように、提示された要素には意図があるのでは?という読み方を自然としてしまうんです。
例えば、
-
「この仕様はもう触らないと思います」
→ なぜ“触らない”と断言した?何か不安があるのか? -
「念のため確認しておきます」
→ “念のため”って何を懸念している?どこに不安がある? -
「ここの挙動は想定通りです」
→ 想定ってどこで定義されている?誰と合意した?
相手に深い意図はなくても、こちらは「意味があると解釈してしまう職業病」みたいなものがあります。
リスクにより敏感なQAエンジニアとしての強みでもあるのですが、会話に伏線めいた表現が入ると、どうしても深読みしやすくなってしまうんですよね。
「チェーホフの銃」を持ち込むと、不要な深読みを生んでしまう
「チェーホフの銃」とは、物語上で"一度出た銃は必ず発砲されるべき"という劇作の原則のことです。
物語では成立しますが、現実の会話でこれを適用してしまうと、ただのミスリードになります。
例えばこんなケースです。
「ちょっと気になる動きがあるけど、まあ大丈夫でしょう」
この一言だけで頭の中では、
- 何が気になった?
- 条件は?
- それは再現する?
- 未来に爆発するやつ?
と、大量の銃(伏線)が並びます。でも実際は「一瞬画面が固まって見えた気がした」くらいの軽さで、深刻な意味はないことも多い。つまり会話に伏線めいた表現を入れると、不要な深読みが発生するのです。
エンジニアやデザイナーとのコミュニケーションでも、「ちょっとした気になる」「なんとなく」などの表現は相手の読み取り力を過剰に刺激してしまうことがあります。
まとめ
チェーホフの銃は物語の技法ですが、これをエンジニアの現場に持ち込むと、ただの"ノイズ"になってしまいます。
- 言い回しのズレは誤解を生む
- QAエンジニアは言葉を伏線として受け取ってしまいがち
- 会話でチェーホフの銃が登場すると、深読みが発生する
- 現場では必要な情報だけ、表現を統一してシンプルに渡すほうが良い
言葉は仕様と同じで曖昧さがあると読み手が補完してしまいます。コミュニケーションのテンポを保つためにも、必要な情報だけをまっすぐにしていく。お互いの負荷を減らすためにも、会話はもう少しライトでいていいのかもしれませんね。
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