🗂️ Linuxのファイル構造を解説 📁📐🧭

📝 はじめに

Linuxは、ディレクトリ階層構造（ファイルシステム階層）に基づいたファイル管理方式を採用しており、すべてのファイルやディレクトリは「/（ルート）」を起点に組織的に構成されています。この仕組みを理解することは、Linuxを効果的に操作・管理するための第一歩です。本記事では、Linuxのファイル構造をビジュアルとともに紹介し、主要なディレクトリの役割、活用方法、典型的な使用例についても詳しく解説します。

🔰 ファイルシステムの全体像

Linuxのファイルシステムは「ツリー構造」を基本とし、すべての構成要素は1つのルートディレクトリ（/）から枝分かれしています。この構造は、視覚的にも論理的にも非常に直感的です。

/
├─── bin
├─── boot
├─── dev
├─── etc
├─── home
├─── lib
├─── media
├─── mnt
├─── opt
├─── proc
├─── root
├─── run
├─── sbin
├─── srv
├─── sys
├─── tmp
├─── vusr
└─── var

このような階層は、どのLinuxディストリビューションでも基本的に共通しており、他のUnix系システムとも類似しています。
ただし、一部のディストリビューションではファイル構造の細部や標準のパスが異なる場合があります。以下に代表的なディストリビューションごとの違いの例を示します。

🧩 ディストリビューションごとのファイル構造の違い

Ubuntu / Debian 系

• /bin, /sbin, /lib などは、最近のバージョンでは /usr/bin などに統合され、シンボリックリンクで管理されています。
• snap を使用することで /snap/ ディレクトリが追加される点も特徴です。

Fedora / RHEL / CentOS 系

• SELinux が標準で有効になっており、ファイルシステムに security context 情報が含まれます。
• dnf パッケージマネージャに関連したキャッシュは /var/cache/dnf に保存されます。

Arch Linux 系

• シンプルさを重視し、/usr/bin に多くのバイナリが統合されています。
• /etc の構成ファイルは最小限に保たれ、pacman によりバージョン管理されます。

openSUSE 系

• zypper によるメタデータの保存や構成が /etc/zypp に含まれます。
• YaST に関連する設定ファイルが /etc/sysconfig/ などに集中しています。

その他

• Alpine Linux などの軽量ディストリビューションは、標準のディレクトリ構造を保持しつつ、より小さなバイナリや簡略化された構成を採用しています。

このような違いを理解することで、ディストリビューションの選定やトラブル対応時に必要な知識をより深めることができます。

📁 各ディレクトリの意味と用途

• /（ルート）
  ファイルシステムの最上位に位置し、すべてのパスや構成がここを起点としています。

• /bin
  基本的なユーザー向けのコマンド（例： ls , cp , mv , cat , rm など）を含み、ほとんどのLinux操作に必要不可欠です。

• /boot
  OSの起動に必要なファイルを格納しています。Linuxカーネル、初期RAMディスク、GRUBの設定ファイルなどが含まれます。

• /dev
  システム上のすべてのデバイス（ハードディスク、USB、仮想端末など）をファイルとして表現する特別なディレクトリです。

• /etc
  システム全体の設定ファイルが集約されています。ユーザー管理、ネットワーク設定、サービス設定などもここに含まれます。

• /home
  各ユーザーごとに個別のディレクトリを持ち、個人データや設定ファイルを保存します。
  例：/home/taro ,/home/hanako など

• /lib , /lib64
  システムの基本的な共有ライブラリ（ .so ファイル）を格納しています。これらは/bin や /sbin 内のプログラムが依存しています。

• /media , /mnt
  リムーバブルメディア（USB、CD/DVDなど）や一時的なファイルシステムのマウントポイントとして使用されます。

• /opt
  追加で導入されたアプリケーションをこのディレクトリにインストールすることが一般的です。
  例： /opt/google/chrome/

• /proc
  カーネルとプロセスの情報を動的に提供する仮想ファイルシステムです。
  例： /proc/cpuinfo はCPUの情報を表示します

• /root
  スーパーユーザー（root）のホームディレクトリです。。通常のユーザーディレクトリとは別扱いです。

• /run
  起動時に必要な一時的なデータ（PIDファイル、ソケットファイルなど）を保存するためのディレクトリです。

• /sbin
  主にシステム管理用のコマンド（ shutdown , mount , fsck など）を格納しており、rootユーザー専用であることが多いです。

• /srv
  FTP、HTTP、DNSなどのサーバーサービスが利用するファイルを保存するディレクトリです。

• /sys
  ハードウェアおよびカーネルに関する情報を表示する仮想ファイルシステムです。デバイス構成や状態を確認するのに便利です。

• /tmp
  一時ファイル用の領域で、再起動時に内容は削除されます。スクリプトやアプリの一時的な作業ファイルに使用されます。

• /usr
  共有可能なアプリケーション、ライブラリ、ドキュメント、ヘルプファイルなどを含む大規模なディレクトリです。

  • /usr/bin ：一般ユーザーが利用するプログラムを格納
  • /usr/lib ：共有ライブラリ
  • /usr/share ：マニュアルや設定テンプレート、翻訳ファイルなど

• /var
  システムの運用中に内容が変化する可変データを保存します。

  • /var/log ：システムのログファイル群（例：syslog, auth.log）
  • /var/tmp ：/tmpより長期間保存される一時ファイル
  • /var/mail ：ユーザーのローカルメールボックス

✅ まとめ

Linuxのディレクトリ構造はシステム全体の整合性と管理の効率を高めるために設計されています。それぞれのディレクトリには明確な役割があり、ユーザーや管理者はその構造を理解することで、トラブルの原因特定や設定ファイルの所在確認、システム監視、パフォーマンスチューニングなど、あらゆる管理作業を迅速に行えるようになります。
また、ファイルシステムを理解することで、よりセキュアで安定した環境を構築でき、アプリケーションのデプロイやログ解析といった業務も円滑に進めることができます。

---

株式会社ONE WEDGE

【Serverlessで世の中をもっと楽しく】 ONE WEDGEはServerlessシステム開発を中核技術としてWeb系システム開発、AWS/GCPを利用した業務システム・サービス開発、PWAを用いたモバイル開発、Alexaスキル開発など、元気と技術力を武器にお客様に真摯に向き合う価値創造企業です。
https://onewedge.co.jp/