#10 【Chrome用】Google Chatの改行設定を変更してみた
追記
閲覧数が多かったのでchromeウェブストアに公開しました。
こちらのURLより適用してください。
インストール後、拡張機能のポップアップ(chromeのアドレスバーの横にあるパズルのピースの形のボタン)から改行設定をしてください。
ここから下は、開発時の内容です。仕組みが知りたい方はどうぞ↓
概要
Google Chat のデフォルトは、Enter
で投稿、Shift + Enter
で改行です。
今回作成した拡張機能を読み込ませることで、 Enter
で改行、Shift
, Ctrl
, Alt
のどれか + Enter
で投稿になります。
Google Chat のWindowsアプリ または Google Chrome で適用できます。
経緯
普段使っている他のチャットツールはいずれも Enter
が改行なので、Google Chat のコマンドになかなか慣れませんでした。
ググっても変更方法が見つからないため諦めかけてたのですが、Chrome の拡張機能としてコマンドを上書きすれば可能かもしれないと思いついたので実践してみました。
使い方
以下のファイルを1つのフォルダに配置し、パッケージ化されていない拡張機能として読み込ませることで適用されます。(参考: https://support.google.com/chrome/a/answer/2714278?hl=ja)
サンプルでは Shift + Enter
で投稿する設定としていますが、custom_line_break.js
の3行目を変更することで、Ctrl + Enter
や Alt + Enter
にすることも可能です。
{
"name": "Google Chat 改行キーカスタム",
"description": "Enterで改行、Shift or Ctrl or Alt + Enterで投稿。■確認環境 ブラウザ:Google Chrome 112.0.5615.138 端末:Windows11",
"version": "1.0.0",
"manifest_version": 3,
"content_scripts": [
{
"matches": ["*://chat.google.com/*"],
"js": ["custom_line_break.js"],
"all_frames": true
}
]
}
// 投稿キー設定: 何キー + Enter の同時押しで投稿するか
// shiftKey | ctrlKey | altKey
const POST_KEY = "shiftKey";
window.addEventListener("keydown", handler, true);
function handler(event) {
if (event.key !== "Enter") {
// Enterキー以外は何もしない
return;
}
if (event.isModified) {
// 無限ループ防止
return;
}
if (event[POST_KEY]) {
// 投稿キー + Enter の場合
// Enter 単体イベントを発火させて投稿を実行
const properties = [];
for (const key in event) {
properties[key] = event[key];
}
properties.shiftKey = false;
const modifiedEvent = new KeyboardEvent("keydown", properties);
modifiedEvent.isModified = true;
event.target.dispatchEvent(modifiedEvent);
} else {
// Enter 単体の場合
// 改行実行
document.execCommand("insertLineBreak");
}
// デフォルトの動作を抑止
event.preventDefault();
event.stopImmediatePropagation();
}
躓いたポイント
javascriptが適用されない
manifest.json の設定が誤っていました。
Google Chat のURLは https://mail.google.com/chat/~
なので、最初はmanifest.json の matches を*://mail.google.com/chat/*
にしていたのですが、どうやらチャットの入力欄はiframeになっているためそこまでスクリプトが届いていなかった模様。
iframe内部のURLである *://chat.google.com/*
を指定し、"all_frames": true
の設定を追加したところ適用されるようになりました。
event.shiftKey が書き換えできない
初めは、イベントをキャッチして、event.shiftKey
の値を反転させるだけで動作するんじゃないかと思っていたのですが、event.shiftKey
は読み取り専用プロパティのため上書きできませんでした。。。
そのため、方針を変更して、最初にキャッチしたイベントは抑止して、shiftKey
を反転させた新たなイベントを発火させる方針としました。
デフォルトの動作が抑止できない
改行を止めるのは、event.preventDefault()
ですんなりできたのですが、投稿がなかなか抑止できなかったです。
window.addEventListener
の第三引数をtrue
にすることでイベントキャッチのタイミングを早めて、event.stopImmediatePropagation()
を実行することで抑止できました。
改行イベントを起こせない
これが一番苦労しました。
Shift + Enter
のイベントを発火させても改行が実行されませんでした。
実際の入力時と同じ流れになるように、
Shift
のkeydown
→Shift
のkeypress
→Shift+Enter
のkeydown
→Shift+Enter
のkeypress
の順で発火してもダメでした。
どうやら、Google Chatの入力欄ではcontenteditable="true"
によりdiv
を編集可能にしているようで、改行はJavaScriptのイベントハンドラではなくブラウザによって実行されている様子。
私の場合は、contenteditable
属性の存在を知らず、Google自作のカスタム属性の一つだと思っていたので気づくのに時間がかかりました。
最終的に、document.execCommand("insertLineBreak");
という関数を実行することで解決しました。
今後の課題
- 改行キーの設定をコードからでなくUIでできるように
-
document.execCommand()
がdeprecated
なので置き換え
以上です、ありがとうございました!
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