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「技術的には可能です」の少しマシな言い方

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2025.09.22 7:40 全体的にイエス・バッド法になっていたところをイエス・アンド法に書き換えました。身についてないなぁ

はじめに

たびたび話題になる「技術的には可能です(でも影響範囲でかいし、品質に影響与えそうだし、結構コストかかるし、スケジュールきついし・・・無理じゃね?)」問題ありますよね。

口に出したことより、心の中の声の方がでかいみたいな。

そしてこれは、言われた側からは非常に不評でもあります。

私は比較的最近、この問題とうまく付き合えるようになりましたので、少しアイデアを共有したいと思い、この記事を書きました。

解決策

それは「できる」と「やる」を分離して

  • できる:自分の責任
  • やる :相手のバトン(責任)

とすることです。

  • 「はい、できます。リリーススケジュール調整が必要になりますが、やりますか?」
  • 「はい、できます。追加コストが発生しますが、やりますか?」
  • 「はい、できます。影響範囲が広いので慎重に進める必要がありますが、やりますか?」

みたいな感じで、これを一息に伝えます。

「できる」と答えるからには、そのための条件を伝えることは、答える側の責任だと思います。

その上で、やるか・やらないか決定するのは、受け取った側の権利でしょうし、「やる」ならその条件を整えるのは受け取った側の責任でしょう。

「技術的には可能です」みたいな木で鼻をくくったような答えをする必要はありません。心の声を素直に伝えましょう。

・・・え?そんなこと言える関係にない?

そのプロジェクト終わってるから諦めましょう。これが腹割って話せる関係性は、プロジェクト成功の必須要件です。

「じゃあ見積もって」対策

先のような回答をすると、気軽に「じゃあ見積もって」と言われることがあります。これにもコツがあります。

聞いてきたのがPMなら「いや分からんけど5人日くらいじゃないっすか?」で良いのですが、聞いてきたのが顧客だったりするとそうもいかないでしょう。その場合は

お金かかってもやるなら見積もります

これです。いや、もちろんもうちょい丁寧に言いますが大切な本質はこれです。

とは言え、「いやいや、程度によるよ、金額聞かなきゃ判断できないよ」となるので「見積もらずに最低限の判断できる情報」を提供します。

承知しました。○○人月(円)程度は追加で必要と思われますが、この規模感でも進めるべきかご判断いただけますでしょうか?
その上で、進めたいということであれば正式にお見積りいたします。詳細検討により上振れする可能性もありますので、あらためてご検討ください。

とかですかね。

ただ弊社もそうですが、社内稟議なく金額は出せないこともあるでしょう。その場合は

1か月程度のリリース延期と現在の5名チーム体制維持が必要になります。

など。そこからいくらかかりそうかは、相手に判断してもらえば金額を伝える必要はありません。

顧客に先に求めすぎと感じるかもしれませんが、見積もりはプロジェクト内でも中心的なメンバーにそれなりの負担がかかります。

それはプロジェクトのリスクになりますので、顧客の為にも、軽い気持ちで見積もりを請け負うことも避けるべきです。

そこはバランスを見た上で、本気度(重要度)を確認いただいた上で、対応すべきだと思います。

おわりに

大切なのは「できる」と「やる」を分離し、自分は「できる」に、相手に「やる」責任を持ってもらうことです。

またその際に、安易に見積もりの依頼を受け入れず、相手の本気度を確認しましょう。

さあこれであなたにも「できますか?」

Discussion

和守和守

おれ知ってるんだ。「できます。」以降の付帯事項って相手の脳内からカットアウトされるんだ。もしくは伝言ゲームの最中に消えてくって。

Atsushi NakamuraAtsushi Nakamura

であれば、証跡を残すのが良いと思います。

「改めてメールしますね」
「一度持ち帰ってQAに回答しますね」

などです。それも無視するような関係は、そもそも仕事をするべき相手ではないかもしれませんね。

nakamotonakamoto

非常に興味深いので、類似の無茶振りにどう対応するかの知見をシリーズ化していきたいですね。

私はついつい、「技術的には可能ですが」って言ってしまう方なので、気をつけたいと感じました。

PoolaPoola

オレンジジューステストですね

Atsushi NakamuraAtsushi Nakamura

それだと、顧客が私を試していることになりません?そういう意図はないと思いますが。

PoolaPoola

ワインバーグはコンサルタントの文脈でそれを書いているので、むしろ「私」側の視点かと。

りょうじりょうじ

承知しました。それでは見積もりします。
とか言ってしまった方が良くないですか?
技術的には可能ですが云々は、お互い不幸になる気がします。

もしくは、あまりいい機能ではないので、こうした方がいいと思いますとか言った方はいいと思います。当然、金の問題ではなく、やるべきでない機能もたくさんあります。

Atsushi NakamuraAtsushi Nakamura

まず「少しマシな言い方」であって、すべてのパターンを全網羅した完璧な対応という意図の記事ではない点をご理解ください。

あと個人的には見積をそんな簡単に請け負いたくないと思っています。
機能実装だけの見積なら、それほど負担はありませんが、それを組み込んだ場合のプロジェクト全体への影響なんかを考え始めるとPMなどの関与が必要になったり、そもそも見積の提出に承認が必要な企業の場合、請負開発だと金額的にかなり上層部の承認がないと提示できない事が多いからです。

もちろん相手が本気で、お金だしてでも欲しいなら見積もります。