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【Python】コードスタイルガイドのPEP 8について解説

2024/08/04に公開

1. PEP 8とは

PEP 8(Python Enhancement Proposal 8)は、Pythonコードの書き方に関する標準的なスタイルガイドです。Pythonコミュニティで広く採用されており、可読性の高い一貫したコードを書くための指針を提供しています。

2. 歴史と成り立ち

  • 2001年7月5日:Guido van Rossum(Pythonの創始者)とBarry Warsaw によって最初のバージョンが提案されました。
  • その後、数回の改訂を経て、Pythonコミュニティの標準的なスタイルガイドとして確立されました。
  • PEP 8は、Pythonの哲学である「読みやすさが重要」という考えを反映しています。

3. 特徴

  1. 包括性:コードレイアウト、命名規則、コメントなど、コーディングのあらゆる側面をカバーしています。
  2. 柔軟性:厳格なルールではなく、ガイドラインとして機能します。
  3. 継続的な更新:Pythonの進化に合わせて定期的に更新されています。
  4. コミュニティ主導:Pythonコミュニティの合意に基づいて策定されています。

4. 主な記載内容

4.1 コードレイアウト

  • インデントには4スペースを使用します。タブは使用しません。
  • 1行の最大長は79文字です。ただし、長い文字列やコメントは72文字に制限します。
  • 関数やクラスの定義は2行の空行で区切ります。
  • クラス内のメソッド定義は1行の空行で区切ります。
  • 括弧内の要素を複数行に分ける場合、閉じ括弧は最後の要素と同じ行か、新しい行の先頭に配置します。
  • 二項演算子の前で改行し、演算子を行頭に配置します。

4.2 命名規則

  • 関数名、変数名、メソッド名:スネークケース(例:function_name, variable_name
  • クラス名:パスカルケース(例:ClassName
  • 定数:大文字のスネークケース(例:CONSTANT_VALUE
  • パッケージ名とモジュール名:短い、全て小文字の名前を使用(例:mypackage, mymodule
  • プライベート変数やメソッド:先頭にアンダースコアを1つ付ける(例:_private_variable
  • 「マジックメソッド」:前後にダブルアンダースコアを使用(例:__init__, __str__

4.3 インポート

  • インポートは別々の行に記述します。
  • インポートは標準ライブラリ、サードパーティ、ローカルアプリケーションの順に記述し、それぞれのグループ間に空行を入れます。
  • ワイルドカードインポート(from module import *)は避けるべきです。
  • インポートは通常、ファイルの先頭に配置します(ドキュメント文字列とモジュールコメントの後、モジュールのグローバル変数と定数の前)。

4.4 空白の使用

  • 括弧の内側にスペースを入れません。
  • カンマ、セミコロン、コロンの後にスペースを入れます。
  • 関数呼び出しの括弧の前にはスペースを入れません。
  • 代入演算子(=)の前後にはスペースを1つずつ入れます。
  • 比較演算子(==, <, >, !=, <>, <=, >=, in, not in, is, is not)の前後にスペースを入れます。

4.5 コメント

  • コードと矛盾しないように保ちます。
  • 完全な文として書きます。
  • インラインコメントは控えめに使用し、明確に意味のある場合にのみ使用します。
  • ブロックコメントは段落として書き、各行を'#'で始めます。
  • ドキュメンテーション文字列(docstrings)は全ての公開モジュール、関数、クラス、メソッドに書きます。

4.6 文字列

  • 一貫性のある引用符の使用(シングルクォートまたはダブルクォート)を心がけます。
  • 三重引用符を使用する場合は、常にダブルクォート(""")を使用します。

4.7 式と文

  • 複数の文を1行に書くのは避けます。
  • 条件式の比較において、定数を左側に置くのは避けます(例:if x == 4 は良いが、if 4 == x は避ける)。
  • isis not 演算子を使用して、None との比較を行います。

4.8 関数とメソッドの引数

  • インスタンスメソッドの最初の引数は常に self とします。
  • クラスメソッドの最初の引数は常に cls とします。
  • デフォルト引数に可変オブジェクトを使用する場合は注意が必要です。

4.9 プログラミングの推奨事項

  • コードはできるだけPython 3と互換性を持たせるようにします。
  • 例外を捕捉する際は、具体的な例外クラスを指定します。
  • return 文は一貫性を保つようにします(常に値を返すか、常に何も返さないか)。
  • string モジュールの代わりに文字列メソッドを使用します。
  • 相対インポートの使用を推奨します。

5. PEP 8の重要性

  1. 可読性の向上:統一されたスタイルにより、他の開発者のコードを理解しやすくなります。
  2. 保守性の向上:一貫したコードスタイルにより、長期的なコードの保守が容易になります。
  3. コラボレーションの促進:共通のガイドラインがあることで、チーム開発がスムーズになります。
  4. Pythonの哲学の実践:「読みやすさが重要」というPythonの哲学を具現化しています。

6. まとめ

PEP 8は、Pythonプログラミングにおける重要なスタイルガイドです。これに従うことで、より読みやすく、保守しやすいコードを書くことができます。ただし、PEP 8はあくまでもガイドラインであり、状況に応じて柔軟に適用することが重要です。多くのPython開発者がPEP 8を参照し、これに基づいてコードを書くことで、Pythonコミュニティ全体のコード品質の向上に貢献しています。

PEP 8を完全に暗記する必要はありませんが、基本的な原則を理解し、日々のコーディングで実践することが重要です。また、多くのIDEやコードエディタがPEP 8に基づいたコードフォーマッティングツールを提供しているので、これらを活用することで効率的にPEP 8に準拠したコードを書くことができます。

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