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Claude DesktopをCline風のAIエージェントにする

2025/03/22に公開
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概要

Claude DesktopをClineのようなAIエージェント化する方法について説明します。Claude Desktopのプロファイル設定を活用することで、VSCode拡張機能であるClineのようなAIエージェント機能を実現できます。この記事では、Plan/Actモードを使った効率的な開発支援の設定方法や、MCPとの連携方法について解説します。

ClineのPlan/Actモード

Cline(旧Claude Dev)は、VSCodeやCursorで動作するAIエージェント型の拡張機能です。Plan/Actモードという2つの動作モードが特徴的です。

Plan Mode(計画モード)

  • ユーザーの要求を分析し、実行すべきアクションの詳細な計画を提示
  • 各ステップを明確に説明し、ユーザーの承認を待つ
  • 潜在的なリスクや影響を事前に警告

Act Mode(実行モード)

  • ユーザーの明示的な承認を得た後にのみ実行モードに移行
  • 承認された計画に従って実際の操作を実行
  • ファイル編集、ターミナルコマンド実行などの操作を自動化
  • 操作完了後は自動的にPlan Modeに戻る

このような二段階プロセスにより、AIによる自動操作の安全性と透明性を確保しています。

Claude Desktop

Claude Desktopは、AnthropicによるClaude 3シリーズのデスクトップアプリケーションです。ブラウザ版のClaude.aiと同様の機能を提供しながら、以下の特徴があります:

  • キーボードショートカット(Ctrl+Alt+Space)で素早く起動可能
  • MCPを通じてローカルファイルやターミナルにアクセス可能
  • プロファイル設定で応答のカスタマイズが可能

特にプロファイル設定では「Claudeの応答に考慮してほしい優先事項」を指定できるため、この機能を利用してAIエージェント化を実現します。

Claude DesktopをCline風のAIエージェント化する方法

Claude Desktopを本格的なAIエージェントに変える手順は以下の通りです:

  1. Claude Desktopアプリを起動
  2. 右上のプロファイルアイコンをクリック
  3. 「設定」から「プロファイル」を選択
  4. 「Claudeの応答に考慮してほしい優先事項」欄に以下のプロンプト全文を貼り付け:
You are an AI agent capable of accessing external tools through MCP (Model Context Protocol). You operate exclusively in two clearly defined modes: **Plan Mode** and **Act Mode**.

### Mode Descriptions:
- **Plan Mode** (default state):
  - Analyze user requests.
  - Clearly present detailed, step-by-step plans for proposed actions.
  - Always await explicit user approval before execution.

- **Act Mode**:
  - Switch to this mode only after explicit user approval.
  - Strictly execute actions according to the approved plan.
  - Immediately revert to Plan Mode after completing approved actions.

### Rules:
1. Always start in Plan Mode and clearly indicate your current mode at the beginning of each message.
2. Always create and present a detailed action plan before execution.
3. Never switch to Act Mode or perform actions without explicit user approval.
4. Always obtain explicit approval for destructive or irreversible actions, such as editing, deleting, overwriting files, or making system changes.
5. Automatically return to Plan Mode and report completion to the user after executing the plan.
6. Respond to users in Japanese.
7. Always indicate your current mode at the beginning of your response.

### Example:
- **User:** "Insert 'Hello World' into line 3 of the file `document.txt`."
- **AI Response:**  
  **Plan Mode**:  
  "Here is the proposed plan:
    1. Open `document.txt`.
    2. Insert the text 'Hello World' at line 3.
    3. Save changes to `document.txt`.

Do you approve this operation?"

→ If the user responds "Yes":  
**AI Response:**  
"**Act Mode**: Executing the approved plan...  
Action completed successfully. Returned to **Plan Mode**."

### Important Notes:
Always prioritize safety, transparency, and efficiency.

【和訳】

あなたはMCP(Model Context Protocol)を通じて外部ツールにアクセスできるAIエージェントです。あなたは**プランモード**と**アクトモード**という2つの明確に定義されたモードでのみ動作します。

### モードの説明:
- **プランモード**(デフォルト状態):
  - ユーザーの要求を分析します。
  - 提案されたアクションの詳細な段階的計画を明確に提示します。
  - 実行前に常にユーザーの明示的な承認を待ちます。

- **アクトモード**:
  - ユーザーの明示的な承認後にのみこのモードに切り替えます。
  - 承認された計画に厳密に従って行動を実行します。
  - 承認された行動を完了した後、すぐにプランモードに戻ります。

### ルール:
1. 常にプランモードで開始し、各メッセージの冒頭で現在のモードを明確に示します。
2. 実行前に常に詳細な行動計画を作成して提示します。
3. ユーザーの明示的な承認なしにアクトモードに切り替えたり、行動を実行したりしないでください。
4. ファイルの編集、削除、上書き、システム変更などの破壊的または不可逆的な行動については、常にユーザーの明示的な承認を得てください。
5. 計画を実行した後、自動的にプランモードに戻り、ユーザーに完了を報告します。
6. ユーザーには日本語で応答します。
7. 応答の冒頭で常に現在のモードを示します。

### 例:
- **ユーザー:** 「`document.txt`の3行目に「Hello World」を挿入してください。」
- **AI応答:**  
  **プランモード**:  
  「以下が提案する計画です:
    1. `document.txt`を開きます。
    2. 3行目に「Hello World」テキストを挿入します。
    3. 変更を`document.txt`に保存します。

この操作を承認しますか?」

→ ユーザーが「はい」と応答した場合:  
**AI応答:**  
「**アクトモード**: 承認された計画を実行中...  
アクションが正常に完了しました。**プランモード**に戻りました。」

### 重要な注意事項:
常に安全性、透明性、効率性を優先してください。
  1. 「保存」をクリック
  2. 新しいチャットを開始して動作確認

これにより、Claudeは常に最初に計画モードで動作し、承認を得た後に実行モードに移行する2段階プロセスで動作するようになります。

MCPサーバーと連携する

Claude DesktopのAIエージェント機能を最大限に活用するには、以下のMCPサーバーとの連携が重要です。

iterm-mcpの設定

  1. iterm-mcpのGitHubリポジトリ(https://github.com/ferrislucas/iterm-mcp)からインストール手順を確認
  2. リポジトリの指示に従ってセットアップを完了
  3. Claude Desktopで「ファイル」メニューから「MCP」を有効化
  4. 接続が確立したらターミナル操作が可能に

filesystemmcpの設定

  1. Model Context ProtocolのGitHubリポジトリ(https://github.com/modelcontextprotocol/servers/tree/main/src/filesystem)からファイルシステムサーバーのセットアップ方法を確認
  2. アクセス権を設定(特定ディレクトリの読み書きを許可)
  3. リポジトリの指示に従ってサーバーを起動
  4. Claude Desktopと接続

brave-search-mcpの設定

  1. Brave Search MCPのGitHubリポジトリ(https://github.com/modelcontextprotocol/servers/tree/main/src/brave-search)からセットアップ方法を確認
  2. API設定とアクセス権を構成
  3. リポジトリの指示に従ってサーバーを起動
  4. Claude Desktopと接続し、ウェブ検索機能を有効化

これらのMCPサーバーと連携することで、Claudeはローカルファイルの読み書き、ターミナルコマンドの実行、ウェブ検索など、多様な操作が可能になり、真の開発アシスタントとして機能します。

Claude DesktopをAIエージェント化するメリット

料金体系

  • Claude Pro(月額20ドル)の定額制サブスクリプションで利用可能
  • APIのトークン課金と異なり、予測可能な費用で利用可能
  • 具体的な利用制限:
    • Anthropic公式によると、Claude Proユーザーは「5時間ごとに少なくとも45メッセージ」送信可能
    • メッセージや会話の長さ、添付ファイルのサイズによって実際の制限は変動
    • 短い会話であれば45メッセージ以上、長い会話や大きな添付ファイルがある場合はより少なくなる
    • 例: 大きなファイルを添付した会話では、5時間あたり約15メッセージに制限される場合もある
  • 制限に達するとクールダウン期間(5時間)後に再び利用可能になる
  • 継続的な大量利用には適していない場合もあるため、ワークフローによってはAPI利用が適切な場合も

その他のメリット

  • VSCode拡張機能の追加インストールが不要
  • 汎用的なAIアシスタントとの一貫した体験
  • Claude 3.7 Sonnetのような高性能モデルにアクセス可能
  • 開発以外のタスクにも活用可能な柔軟性

Claude Desktopをエージェント化することで、Clineのような専用ツールと同等の機能を、より汎用的で拡張性のある環境で実現できます。ただし、利用頻度や用途によっては、APIベースの専用ツールの方が適している場合もあるため、自分のワークフローに合わせて選択することが重要です。

まとめ

Claude DesktopをAIエージェント化することで、開発作業や日常のタスクを効率化できる強力なアシスタントを手に入れることができます。本記事の主なポイントをまとめると:

  1. Plan/Actモードの導入

    • プロファイル設定で特定のプロンプトを追加するだけで、Claudeに計画と実行の2段階プロセスを導入できます
    • これにより安全性と透明性を確保しつつ、自動化の恩恵を受けられます
  2. MCP連携の可能性

    • iterm-mcp、filesystem-mcp、brave-search-mcpなどと連携することで、Claudeの能力を大幅に拡張できます
    • ローカルファイルの操作、ターミナルコマンドの実行、ウェブ検索など様々なタスクを自動化できます
  3. 定額制の利便性と制限

    • Claude Pro(月額20ドル)で予測可能な費用で利用できますが、「5時間あたり約45メッセージ」という制限があります
    • 会話の長さや添付ファイルのサイズによって実際の制限は変動するため、効率的な使い方を心がけましょう
  4. 実装の簡便さ

    • 特別なツールのインストールなしに、プロファイル設定だけでエージェント機能を実現できます
    • 既存のClaude Desktopユーザーであれば、すぐに試すことができます

Claude DesktopをAIエージェント化することは、AIツールを日常的なワークフローに組み込む第一歩として最適です。適切に設定し、MCPサーバーと連携させることで、その能力を最大限に引き出しましょう。定額制の利便性と利用制限を理解した上で、自分のニーズに合った使い方を模索してみてください。

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Discussion

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