Snowflake Intelligenceを触ってみた。
はじめに
はじめまして。株式会社NTTデータグループ 技術革新統括本部 AI技術部の鈴木皓士と申します。
2025年11月4日に、Snowflake IntelligenceがGA(一般公開)となりました。
本記事では、このSnowflake Intelligenceを実際に触ってみた内容をご紹介します。
Snowflake Intelligenceを触るにあたり、Cortex Analyst、Cortex Search、Cortex Agentsを構築します。これらの機能に関心のある方にもぜひ読んでいただければと思います。
この記事は、NTTデータ Snowflakeアドベントカレンダーの8日目です。
対象読者
本記事は以下のような方を対象としています。
- データウェアハウスとAIをセットで導入したいと考えている方
- Snowflakeを利用中で、データの民主化に取り組みたい方
- Snowflakeの新機能について知りたい方
Snowflake Intelligenceとは
Snowflake Intelligenceは、これまでSnowflakeが提供してきたAI機能を活用し、データに対する質問への回答、分析結果の提供・可視化を行うエージェントです。これまでに提供されたSnowflakeのAI機能の例は以下のとおりです。
| 機能名 | 機能概要 |
|---|---|
| Snowflake Cortex Analyst | 自然言語での質問に対し、Snowflake上の構造化データを分析して回答を生成する機能。 |
| Snowflake Cortex Search | 非構造化データをベクトルデータベース化し、ベクトルとキーワードによるハイブリッド検索を可能にする機能。 |
| Snowflake Cortex Agents | LLM、Cortex Search、Cortex Analystを組み合わせ、自律的にデータ探索、集計、可視化を行い、最終的な回答を生成する機能。Snowflake Intelligence内部の実行エンジン。 |
Snowflake Intelligenceを使用することで、ビジネスユーザーでも簡単にデータ分析できることが期待されます。
実際に触ってみた
今回は、Snowflake Developer Guidesに掲載されているGetting Started with Snowflake Intelligenceを参考に進めます。Snowflake RegionはAmazon Web Services (AWS) Asia Pacific (Tokyo)を使用しています。
各AI機能の構築
Snowsight(SnowflakeのWeb UI)に従って、Cortex Analyst、Cortex Search、Cortex Agentsを構築します。Cortex Analystの構築にはセマンティックモデルが必要です。セマンティックモデルは、AIがデータの意味を理解するための"論理ビュー"のような役割を果たします。ここでは、ダウンロードしたファイルにある作成済みセマンティックモデルmarketing_campaigns.yamlを使用します。YAMLファイルをアップロードするとセマンティックモデルの編集画面が開きます。画面右側のプレイグラウンドを開くと、プロンプトを入力し、Cortex Analystの挙動を確認できます。
実際にSnowflake Intelligenceを触ってみる
Snowsightのタブから「AIとML」→「Snowflake インテリジェンス」と進むとSnowflake Intelligenceのウィンドウが開きます。ChatGPTに似たシンプルなUIとなっています。

Snowflake Intelligenceのホーム画面
まず、参考ページで質問例として挙げられている、6月から8月までの製品カテゴリー別の売上動向を質問します。

Snowflake Intelligenceの回答
AIエージェントが集計・分析・可視化まで自動で実行し、参考ページで期待されている出力と同等の出力が得られました。
結果をもとに、なぜFitness Wearの売上が7月に急増したのかを聞いてみます。

売上急増の要因を分析し結果を出力
このようにAIエージェントが自律的にSnowflake上のキャンペーン情報とソーシャルメディア情報にアクセスし、原因を分析してくれました。こちらの質問も参考ページで期待されている出力と同等の出力が得られました。
ビジネスユーザーでも自然言語で分析が可能になる、というSnowflake Intelligenceの特徴を体感することができました。
セマンティックビューの生成機能を使ってみた
上記では作成済みのセマンティックモデルを利用しましたが、手動で作成する場合はテーブルやカラムの定義や説明を記述する必要があり、工数が大きくなります。できるだけ簡単にセマンティックモデルを作成したい要件を想定し、追加でAI-assisted generator(2025年11月現在プレビュー)を試しました。
AI-assisted generator機能はSnowsightのタブから「AIとML」→「Cortex 分析」から「新しいセマンティックビューを作成」を選択することで利用できます。

Generating Semantic Viewの画面
作成済みのセマンティックモデルを用いたCortex Analystの代わりに、ここで生成したセマンティックビューを用いたCortex AnalystをCortex Agentsに設定し、同様の質問をしました。その結果、作成済みのセマンティックモデルの時と同様に、参考ページで期待されている出力と同等の出力が得られました。

6月から8月までの製品カテゴリー別の売上動向を教えてくださいの回答
作成済みのセマンティックモデルと生成したセマンティックビューの大きな違いは、結合したいテーブル同士の関係性を表すRelationship項目の記述有無です。作成済みのセマンティックモデルには結合方式のSQLが記述されているのに対し、生成したセマンティックビューにはその記述がありません。しかし、Snowflake Intelligenceは、Relationship が定義されていないことを検知し、以下のように自律的にテーブル探索・結合推論を行っていました(Show Details より確認)。

エージェント思考ログ
このように、セマンティックモデルに不足があっても、Snowflake Agents が補完してくれるケースを確認できました。
まとめ
本記事では以下の内容を紹介しました。
- Snowflake Intelligenceの構築手順を確認
- Snowflake Intelligenceを実際に動かし、自然言語での質問・指示に対して適切な回答を得られることを確認
- AI-assisted generatorによるセマンティックビュー生成を検証
- セマンティックモデルに不足があっても、Snowflake Agentsが補完し、回答を導くケースがあることを確認
終わりに
Snowflake Intelligenceはチャット形式のUIで自然言語で利用できるため、ビジネスユーザーでも直感的に分析を行える点が大きな魅力です。一方で、ビジネスユーザーがSnowflake Intelligenceを自力で機能させるには、セマンティックモデルの構築が課題となります。今回の検証では、AI-assisted generatorの実用性やエラーに対するエージェントの補完能力を確認し、今後はビジネスユーザーでも最小限の設定で分析エージェントを構築できるようになると感じました。ただし、SQLが分からないユーザーがAIが出力した分析結果の正しさをどう確認するかは引き続き重要な課題です。
今後もSnowflakeのAI機能の進化に注目していきたいと思います。
参考
Getting Started with Snowflake Intelligence
https://www.snowflake.com/en/developers/guides/getting-started-with-snowflake-intelligence/
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