これからのAI活用はどうなる?AOAI Dev Day 2025で体感したAzure OpenAIの最前線
Azure OpenAI Service Dev Day 2025とは?
Azure OpenAI Serviceを活用するビジネスパーソンやエンジニアのためのコミュニティイベントです。昨年度も開催されており、今年度はさらに規模を拡大しての開催となりました。Azure AI、エージェント、AI駆動開発、責任あるAI、エージェントブームの現実、予想されるフェーズなど、AIを利用した開発に関連する最先端の情報が盛りだくさんのイベントです。
開催概要
- 開催日:7月18日(金)
- 場所:大手町プレイス ホール&カンファレンス
- 参加人数:約800人
- 公式サイト:https://aoai-devday.com/
参加目的
- 今後の自身の業務に役立ちそうな情報を収集するため。
- 生成AIの最新状況をキャッチアップするため。
講演内容紹介
本イベントでは、20を超えるセッションが開催されていました。本記事では、私が参加した中から印象に残った3つのセッションに絞って簡単にご紹介します。
エージェントファーストな開発環境 - GitHubプラットフォームの進化と展望
GitHubの服部佑樹氏より、GitHub Copilotの最新アップデートを通じて見えてくる、ソフトウェアエンジニアリングの新しいパラダイムについて講演がありました。AIエージェントを単なる補助ツールではなく、チームの一員とみなし、人とAI間の知識ギャップを埋めていくことが今後の開発スタイルに不可欠であると強調されていました。
印象的だったのは、GitHub Copilotのエージェントモードについて、デモを交えながらご紹介いただいたことです。Issueを作成してエージェントを割り当てると、自動でコーディングし、Pull Requestまで投げてくれるというものでした。その後もチャットベースで修正指示を与えることができ、人間と錯覚するかのようなスムーズなやり取りに驚きました。
「現場で活躍するAIエージェント」を実現するチームと開発プロセス
株式会社Algomaticの菊池琢弥氏より、「現場で活躍するAIエージェント」開発の過程と今後の展望について、「アポドリ」開発の具体的なエピソードを交えてご紹介いただきました。「アポドリ」は以前から知っていたサービスだったため、その開発の裏側を知ることができ非常に興味深かったです。
強調されていたポイントは、以下の3点です。
- 領域は狭く深く
- まず人間がやってみる
- ドメインエキスパートが開発する
印象的だったポイントは「ドメインエキスパートが開発する」です。ドメインエキスパート"と"開発するということは誰でも意識すると思いますが、ドメインエキスパート"が"開発する、というのは驚きでした。MCPやエージェントなどがより簡単に実装できるようになってきたこともあり、AIの知識よりドメイン知識の方が重視されるようになってきているのだと改めて気づかされました。
BEYOND THE RAG -とりあえずRAGを超えていけ!本当に使えるAIエージェントを目指して-
KDDIアジャイル開発センター株式会社の三宅潤也氏より、RAGやマルチAIエージェントがリアルな業務や組織課題にどのように役立つのか?それらをどのように設計・実装し、活用してきたのか?という点について、実際の取り組みをもとにお話しいただきました。
業務に生成AIを導入するにあたって、「とりあえずRAG」という時代は終わったと話されていたのが印象的です。様々なツールやサービスの進化により実装ハードルは下がっていますが、だからこそなぜ作るのか?何のために?が重要で、現場で価値を出すためのユースケースを見極める必要があると強調されていました。改めて、知識や技術力があるというだけでは太刀打ちできなくなってきているということを痛感しました。まずは現場業務を十分に理解し、実際にその業務をやっている方々へのリスペクトを忘れないという点を意識していきたいです。
おわりに
近年、AIの技術的なハードルが下がってきていると感じています。その一方で、AIを実際の業務で効果的に活用するためには、AI技術に関する知識やスキルだけでなく、業務や現場に即した深いドメイン知識がますます重要になっていることを強く実感しました。どれだけ高度なモデルを使えても、それをどう使い、どのような場面で適用するかを見極める力がなければ、真の価値は引き出せません。
また、生成AIに関しては、やはり最終的には使い手の力量が最も重要であると再認識しました。ただ情報を「知っている」だけで満足せず、実際に自分で「触ってみる」「使ってみる」という姿勢が、実践的な理解を深めるためには不可欠です。
さらに印象的だったのは、登壇者のプレゼンテーションスキルの高さです。話し方や間の取り方、声の強弱など、聞き手の感情にしっかり訴えかける伝え方に感動しました。私のプレゼンはどうしても機械的で平坦になりがちなので、今後は相手に届く表現力を意識し、聞き手を引き込む話し方を学び、磨いていきたいと思います。
最後に、今回本イベントに参加してLLMの多岐にわたるユースケースや実装パターンの解説、ビジネスへの活用の最前線を垣間見ることができ、非常に刺激を受けました。これだけの規模のコミュニティイベントはなかなかないと思うので、参加出来てよかったです。来年以降も開催されるようであれば、ぜひまた参加したいと思います。

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